〈フクシマの悪夢〉 ―増え続ける小児甲状腺がん―
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三上英次
この国では、24時間コンビニが開いていて必要なものはすぐ買える。映画も見られるし、DVDショップのラインナップも豊富だ。119番をすれば消防車は来てくれる。子どもは学校に通える。国会議事堂はあるし、最高裁の建物も立派だ。
だが…、それらはうわべだけのことで、本当はこの国はすでに〈国家〉の体(てい)を成していないのではないだろうか――。
ふとそんな思いにとらわれるのも、〈3.11〉による原発事故以降、
○ 10数万人の人たちがふるさとを追われ
○ 除染対策とやらで大手ゼネコンだけが潤い、原発労働者は使い捨て、
○ 復興予算が不正流用され
○ 形だけの「子ども被災者支援法」は作られたまま放置
○ 原発の汚染水流出には、有効な手立てが見つからない
というのが、2年5ケ月前から今までの状況だからである。さらに、「脱原発」の声をあげる国民(主権者)に、公務員ら(下僕)がSLAPP訴訟をしかける。「美しい国」を標榜する総理大臣が、放射能にまみれた国土をそのままに海外での原発“訪問販売”に奔走する。そして、一部報道に見られるように、「巨悪を眠らせない」はずの検察が、原発事故の責任を問われるべき原子力ムラの関係者らを不起訴にしようとしている。もし〈国〉といったものがあるのならば、その〈国〉が他のすべてを投げ打ってでも最優先で取り組まなければならない原発問題に、何ひとつ有効な手が打たれず時間だけが過ぎて行っているようにも思われる。
・・・
さて、福島県「県民健康管理調査」検討委員会が8月20日に「福島で小児甲状腺がん18名」を発表した翌21日、お昼のNHKニュースは、これまで通り、そのニュースには一切ふれず、むしろ次のような“時間つぶし”としか思えないニュースを流し続けていた。
○ 松阪投手、自由契約に
○ 海外の学生対象の就職面接会開催
○ パキスタンの神学校、アメリカの制裁対象に
○ サバの水揚げ、昨年の倍近くに
子どもたちを見殺しにするような〈国〉、いまだ何ひとつ収束していない中で、なお原発「再稼動」を画策するような〈国〉、これが本当に「美しい国」などと呼べるのだろうか。
(了)