大ちゃんの演技を見て泣いた人の気持ちを今更考える | ののまめブログ

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この頃ヒゲがはえてきました。
おばさんになるつもりがおじさんになってきた永遠の17歳。
斜め上な高橋大輔ファンの戯言ブログなので読んで怒らないでね。

宇野昌麿くん JGP Riga Cup 2013 銅メダル よかったですね。
3Aも入れてきているし。ちょっと転び方が怖かったけど大丈夫だったようで。
それにしても、昌麿くんはスピードが落ちずにプログラムが作品にちゃんとなっているところがすごいです。 他のメダリストの選手と比べても、表現力についてはJrの域を超えているとおもうし、何よりもスケートの伸びが見ていて気持ちがいい。
満知子先生もさぞや将来が楽しみでしかたがないに違いない。うまく育って欲しいもの。

25 Shoma UNO (JPN) - ISU JGP Riga Cup 2013 Junior Men Free Skating

ちょっと思っちゃったんだけど、大ちゃん来年も現役続けちゃおうかななんて思ってくれたら、ぜひ昌麿くんを大ちゃんと同じGPSの大会にエントリーして一緒に滑らせてあげて欲しいななんて思う。フィギュアスケートの歴史のなかで名選手として残っていくだろう高橋大輔と同じ試合で戦う空気感というのを肌で感じて欲しいと。
ゆづと世代交代と言われている大ちゃんだけど、スケートの質からいくと大ちゃんと世代交代と言えるのは昌麿くんの方ではないかなと思うのだ。
今回の試合でも、他の選手とちがって内面から出てくる表現というのかそういうもので人の目を集める術は大ちゃんと似ているし。
まだ大ちゃんが現役だから世代交代という言葉は使いたくはないんだけど、昌麿くんの演技を見てちょっとそんな事を思ったりなんかした。

本日も東京は暑かった。暑かったので引きこもりをしていたののまめ・・・いや、二度寝三度寝してぐーたらしつつこれではいかんともかく何かせねばと、寝ては起き、寝ては起きの合間にHD内の録画を編集したりダビングしたりしていた。
そしてまたその合間にevery.で放送されたフレンズでのソナチネの演技をしつこくリプレイ。
自分の書いたフレンズでのソナチネについての感想文を読みなおしつつ、その時の気持ちや会場の雰囲気を思い出して、エブリの映像を見ていたんだけど、初日は全体のディティールがぼけていて何をどう感じたらいいのか戸惑ったけれど、楽では全く別物になっていたソナチネ。
映像で見ていても、胸に迫るものがやっぱりある。
前も書いたけれど、作品としてはこづのほうが出来上がっていると思う。多分というか間違いないだろうけど昨年と同じショートプログラム滑るゆづなんかは、更に昨年よりも肉付けをして完成度をより高めている段階にいると思うし、ノブナリの今シーズンのプロを見ても彼もプログラムとしてはほぼ出来上がっていたと思う。
町田くんもそうだし。そういう日本男子の面々からすると、大ちゃんはまだやっとディティールが明確になってきた段階ではないかと思う。
その反面、プログラムの完成のプロセスが他の選手とは違うのではないかなと感じた。
芸術品を作り上げるための産みの苦しみというか、大ちゃんはこんな感じで自分のプログラムを作り上げていっているんだろうなと、今回フレンズの演技を見てそんなことを思った。各エレメンツの精度をあげるだけでなく、どうそこに自分の感情を入れ込むか。
フレンズの観客の呼吸や会場の空気感も含め自分の作品にしようとしている。意識してやっているのか無意識なのかはわからないけど、ただいつも大ちゃんの演技を見て思うのは、彼だけリンクの上だけで演技をせず会場全体を自分の舞台のように思って演じているということ。
ショーや試合を見ていても、会場の隅々まで演じているスケーターの意識で支配されていると感じるのは大ちゃん以外感じたことがない。
といっても、私もせいぜい生観戦はここ数年だから、それ以前の選手にはそういう人もいたかもしれないけど。
昨年GPFでソチのリンクを見て、包み込むような会場の作りが気に入っていると大ちゃんは言っていたけれど、自分がその舞台で演じ観客がどう答え、その答えがまた自分にどう戻ってくるのかというのまで想像できているのではないかなと思う。
楽の大ちゃんの演技は、まだ粗削りではあったけど、大ちゃんの演技に命の輝きを見た。
ちかくの席に座っていた人は泣いていたけれど、その方は、多分大ちゃんのプログラムを向かうひたむきなその姿の美しさに涙していたのではないかと思う。

昨年あたりだったか、大ちゃんのインタビューで答える姿を見ていて、ちょっとデジャヴみたいなものを感じたことがあって、それからしばらくして自分の持っている本を整理していた時に、「人生生涯小僧のこころ」という塩沼亮潤さんの本を見つけて久々読み返していたのだけど、この方の話していること、そしてこの方が経験して得た答えと大ちゃんが全く同じ事を言っていることに気が付いたのであります。
この塩沼亮潤さんというのはどういう方かというと、千日回峰行という荒行をされたお坊さんです。
現在40代半ばになられているけれど、20代前半から30代初めにかけて、標高1300m超のある山中を山が開いている間毎日ほぼフルマラソンと同じくらいの距離回峰してまわるという行で、一旦その行を始めるとやめることができなず、もし不足の事態がありやめざる負えない時は、身に着けて歩いている短刀か紐で首を括って自死しなくてはならないという荒行をされた方です。
更にはその千日回峰行が終わったあとは、四無行といって9日間 断食・断水・不眠・不臥をしつつお経を唱え続けるという行をされるわけですが、その行のおりに、介添えをするお坊さんが、この塩沼亮潤さんの姿を見て涙したということがあったそうで (でもこのくだりは別の本に書いてあったけど) ひたむきに行に向うその姿が美しくて泣いたのではないかと書いてあったのだけど、多分フレンズで大ちゃんの演技を見て涙していた方も、同じ思いだったんじゃないかなと。
every.の映像で見る大ちゃんの演技は美しいわけではないんだけど、ひたむきに作品として作り上げようとするその姿勢に美しさを感じて、私も胸にぐっときたんだなとフレンズの時気持ちを思い出した。

この塩沼阿闍梨さんの本だけど、普通お坊さんが書かれた本というのは、ちょっと正座でもしてありがたく読まなくてはならないようか堅苦しさというものがあるけれど、この方はいたって普通。ある意味青春小説でも読んでいる感じがする。
修行期間も今の大ちゃんと同じ年代にされたこともあり、現代の普通の青年の言葉で書いてあることや、情けない事かっこ悪いこともその時に感じたままに書いていること。そして凄まじい行をしているにも関わらず、大ちゃんと同じく読んだ後ほんわかするような気分になること。
この方がこの修行中で感じて、そしてたどり着いた答えと同じことを、大ちゃんも口にしているということにちょっと驚くと思う。
ちょっとばかり、長くなっちゃったけど、塩沼阿闍梨さんと大ちゃんの共通点については、またいずれ書いてみようと思うけど、この方の本は結構おすすめ。大ちゃんの言動とリンクしながらよむとより楽しめる一冊。


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