かの有名なアンパンマンが
愛と勇気だけが友達さ、って歌ってるけど

壮大なオトコのロマンを饒舌に語るのは
どう考えても話は別、だと思うんですけどね


ねぇ、チャンミンさん










夢とロマンとあとひとつ










めまぐるしく変化する世界に身を置く彼は
明らかにワタシより現実主義、だと思っている


好きなものは好き

嫌なものは嫌


割と、いやかなり適当を身に纏ってきたワタシには
当然理解しがたい部分も最初はあったのだけれど



ワタシが何でこんな話をしてるかっていうと
ファンの皆様が一番興味を示すであろう、彼のカバンから

まともには口に出来ない用語が並ぶ
それはそれは、いかがわしいDVDが出てきたから



「……なにこれ」

「ん?」



数秒、目をぱちくりさせたチャンミンだけど
見つかったことに対して動揺するわけでもなく



「DVD、ですけど」


そう、一言呟いて

ソファーの上、うつぶせで寝転がって
雑誌を読む手を再びゆっくりと進めだしてる



まぁ、そうですよ

ワタシが今手に取ってるのはDVDですよ



コレクション多数とは伺ってましたけど
まさかこんなところでお目にかかるとは思いませんでしたよ



「何で…入ってんの…」

「キュヒョンに返してもらってそのままにしてたんです」



あまりに突然のことに呆然としているワタシがさすがに気になったのか
よいしょ、と重い腰を上げるように起きあがって、浅く腰掛けたチャンミン


気分的にはどうなんだ

随分と冷静な顔をしているけれど



そりゃあね、男の子がそういう類のものが好きなのは承知してるつもりだ

きっと年を重ねてもオトコ、なら興味が無いわけないって思ってる



別にそれに対して呆然としてるわけじゃないんですよ

リュックからメガネ取ってほしい、って言われて
近くにいたのがワタシだから仕方ないなってかわりに探して


まさかそんなシロモノが出てくるとは思わないでしょう?



問い詰めるわけでもなさそう、と判断した彼が

ボクはやっぱり会社の制服シリーズが好き、だとか
胸より細い脚とかの方が好き、だとか


悪びれる風もなく饒舌に語ってるから

返す言葉もございません



「なんかさ、」

「ん?何ですか?」

「あまりにイキイキして語るから、もう凄いとしか言えないわ…」



好きなものはトコトン…好き

もうね、さっきの言葉に追加してあげるよ



「じゃあワタシなんかじゃ物足りないでしょ?」



もう自虐的になるしかありませんよね

スタイル抜群な女性に囲まれる世界に身を置いて
プライベートな時間だってさぞかしそういう人がいいんだろう、って



嗚呼、なんか馬鹿らしくなってきた

こんなコンプレックスだらけのワタシを
どうしてキミが選んだのか、未だに解けない謎だから



その場にしゃがみこんだワタシにゆっくり近付いて

目線を合わせるように同じようにしゃがみこんだ彼が告げる



「ヌナはさ、普通だからいいんですよ」

「なにそれ…」



言ったあと、フフって微笑まないでほしい

ワタシがその笑顔に弱いって絶対わかっててやるんだから



「雰囲気が美人って良くないですか?」

「それって……誉めてくれてるの?」

「えぇ、もちろん」



しゃがんでうずくまった状態からもう一度顔を上げると

それはそれは、柔らかな視線がワタシだけに落ちてくるんだ



いつだって彼は王子様のようだから

はらわた煮えくりかえりそうになったって
一度見つめられれば、時が止まったように動けなくなる



「夢もロマンも大事ですけどね、」

「……」

「ヌナがいなきゃ、意味が無いんですよ?お?」



恥ずかしいことだっていとも簡単に言ってのける

顔に出さないようにしたってきっと
いつもよりワタシの顔は赤く染まってるはずだ



近付いてくる顔を避けるようにうしろに下がって
気付けば背中はすでに壁に当たって、これ以上は無理だと知らせられた



「別に逃げることないじゃないでしょう?」

「いや、なんとなく…ねぇ…」

「往生際が悪いんですよ、ヌナはいつも」

「そんなこ……「シーッ」」



彼の人差し指がワタシの唇に触れて

それ以上、言葉を発することは許されなかった



指よりももっと生暖かいものが

ワタシの唇を捉えたから





離れるのが惜しいと言わんばかりに

そう、何度も何度も





荒々しさも繊細さも

どちらも混ざったような口づけ


その間、ワタシの身体を這う指は…とても優しい



「ヌナだから、いいんです」



そう告げられて

再び落ちてくる何か、を想像して


ゆっくりと目を閉じた










どんなところが好き、だなんて愚問すぎる

貴女の魅力は日常のどんなところにも隠れてるんだから



こっちはそれに気付く輩が居ないかどうか

むしろ心配だっていうのに



夢もロマンも語り出したら
止まらないほど大事なもの、だけど



ヌナ、貴女がいなきゃ

何もかもはじまらないんだって



まぁ、気付かなくて焦っちゃうような

そんな貴女も心から愛しくてたまらないんですけどね、フフッ




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本格的な復活の前に、とりあえず。

しかしワタシの文才の無いこと...
(似通った話にばかりなってしまうんですよね)


※タイトル拝=確かに恋だったbot