読者の皆さまには、いつも私のお話を楽しみにしてくださいまして、ありがとうございますひらめき電球


さて、changaさんの爆弾投下により、お約束しました金ちゃん主観のお話ができあがりました

ので、ぜひお読みください。

果たして関西系読者の方を満足させられる物に仕上がっているかどうか、ドキドキのアップ

です。


それで、お読みいただく前にひとつ言い訳を・・・あせる

金ちゃん主観の前作「似た者同士」は、金ちゃんの独白という形のお話でしたので、全編に

渡って関西弁を使ってお話を書きましたが、今回のお話では相手役に直樹が登場します。

そうなると2人の会話が主のお話になるわけで、いわゆる金ちゃんの語り部としての部分も

関西弁にしていしまうと読んでいてとても違和感を感じてしまいました。

(最初は語りの部分も関西弁で書いてみたの・・・( ̄∇ ̄*)ゞエヘヘ)


そこで、今回のお話では関西弁はセリフ(心のつぶやきを含む)のみとさせていただきましたので

どうぞご了承ください。


金ちゃんから見た直樹&琴子の物語・・・どうか、お楽しみいただけますように音譜


<追記>

コメントを37までいただいた時点で、関西弁の表記でご指摘いただいたものに関してはご覧になってわかる

ように添削をしてあります。

ちゃんとおかしいところ教えてくれて嬉しいです(*^^)v確かに言われてみればなるほど~ですね・・・!

先生方ありがとうございました♪


携帯からご覧の方へ・・・

今回の添削のために<ruby>というhtmlタグを使用しています。これはどうやら携帯ではタグがそのまま表示

されてしまうようで、ちょっと(っていうかかなり)見づらくなってしまって申し訳ありません。

どのように表示されているかは、もし可能であればぜひPCで見てみてくださいね。


いずれは完全版をアップしますので、しばらくはこのままでがまんしてください・・・d(^-^)ネ!ひらめき電球

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


   ~Believe~


俺は、入江のオフィスを探して大学病院の長い廊下を早足で歩いていた。


クリスと結婚式を挙げるためイギリスに渡っている間に、琴子と入江の間に起きた出来事を
俺が知ったのは、帰国してまだ2日目のこと・・・
それは、しばらく休業していた店を再開するために、あれこれと雑用に追われている最中の
ことだった・・・




「まったく!病院ちゅうとこはなんでこういりくんどるんや?!」
誰にともなく文句が口をついて出る。


俺は、目の前に見えたナースステーションの前で立ち止まると、近くにいた看護師に声をか

けた。
「なあ看護師さん!入江の・・・そうやない、入江先生の部屋はどこや?」


俺の剣幕に体をのけぞらせた看護師が震える指で先の角を指さしながら答える。
「そ、その角を曲がったら3つ目のドアが入江先生のオフィスです」


「そうか、おおきに・・・」
俺は、努めてにっこりと笑いながら礼を言うと言われた通りに廊下を進んでいった。


やっと辿り着いた『入江直樹』と名札のついたドアの前に立って、まずは呼吸を整えるために
ひとつ深呼吸をする。そして、自分に気合を入れるように強く握りしめた拳で目の前のドアを

叩いた。すぐに中から「はい?」という声が返ってきて、俺はドアを開けながら部屋の中に顔だ

けを入れて声を掛けた。
「入江、俺や・・・」


「金之助?・・・珍しい客だな。イギリスから戻ったのか・・・まあ、入れよ。」
入江は、思ったよりも嫌な顔もせずに俺を部屋に招き入れると「適当に座ってくれ」と言いなが

ら壁一面に並んだ本の中から何かを探しているようだった。



「どや?琴子とは仲ようやっとるんか・・・」
俺は、部屋の真ん中に置かれた机の前の椅子に腰かけると、本棚に向かったままの入江の

背中に向って尋ねた。
すると、入江は俺の問いかけには答えもせず、振り向きもしないで「何か用か?」と聞き返した。


「なんや、人の質問にはちゃんと答えるもんやろ・・・まあええ、ほらイギリス土産や、お前は
あんまり酒はやらんかったな、でも少しはええやろ」
俺は無造作に紙袋に入れられたワインの瓶を机の上に置いた。


「そういえば結婚したんだったな、おめでとう。それにしても、オレに土産なんていったいどうい

う風の吹きまわしだ・・・」
入江がやっと振り返って、不思議そうな顔で俺を見ながら言った。


「無事に結婚式が済んだしな・・・それもお前や琴子のお陰や思うてこうして挨拶に来たんや、

なんか文句あるんか?」
俺は、肝心なことを切り出せずに半分は口から出まかせの言葉を並べた。


「いや・・・それならいいが」
入江は、何かに感ずいているのか、さもおかしそうに笑うと再び俺に背を向けた。
ほんの少しの間、2人の間に気まずい沈黙が流れ、俺が思い切って話を切り出そうと顔をあげ

た時、相変わらず背中を向けたままの入江がポツリと言った。
「誰かに何か聞いたのか?・・・」


「何かってなんや・・・」
俺は内心ドキッとしながら聞き返した。


「しらばっくれるなよ、文句を言いに来るならまだしも、お前がオレに帰国の挨拶なんてありえ

ないことだからな」
入江は、一冊の本を抜き出してから振り向くと、俺の目をまっすぐに見据えて言った。


―それもそうやな・・


俺は入江の言葉に妙に納得して頷くと、大きく息を吐き出してから切り出した。
「そや、帰国してすぐに琴子の目のこと聞いたんや・・・失明するかもしれんて、それ本当なんか(ホンマか?)?」
俺は、つい声を荒げてしまいそうになるのを懸命に抑えながら尋ねた。


「ああ、本当さ」
入江は淡々と、こっちが拍子ぬけしてしまうほどにあっさりとそれを認めた。


「お前なんでそんなに冷静に・・・」「まだわからないさ!」
俺がいらだちをあらわにして思わず叫ぼうとした言葉を、入江が思いもよらない程大きな声で

遮った。


「な、何がわらないんや(何がわからへんねん?)?・・・」
俺は、入江の思わぬ反応に、ひるみながらもなんとか聞き返した。


「今の現状では、このまま行けばいずれ琴子は失明する。それが事実だ。でもこれから先の

ことはわからない・・・そう言うことだ」
入江は、手に持っている本のページをパラパラとめくりながら、それでこの話は終わりだと言

わんばかりに言い放った。


「何やそれ、ちっとも説明になっとらんやろ!もっと・・・」
俺は、納得が行かずさらに食い下がろうとした時、不意に目の前の机の上で電話が鳴りだした。


「悪いな、ちょっと待ってろ」
入江は、俺にそう言うと立ったまま受話器を取って話し始めた。


俺は、机に寄りかかるようにして電話している入江の声を聞きながら、あらためて部屋の中を
見まわした。
窓際に置かれた小さなソファには、明らかに琴子が作ったと思われる「直樹」とアップリケが
つけられた大きなクッションが置かれている。
そして、反対側の壁際には、これも明らかに入江の趣味とは思えないケーキ屋のミニチュア

が置かれてた。大方琴子が持って来て飾ったのだろうと思えた。
机の上には看護師姿の琴子が患者と一緒に写った写真が飾られ、パソコンの画面には2人

が並んで笑っている画像が映っていた。



思えば入江との付き合いも随分と長い・・・
高校の入学式の時に、俺は琴子に惚れ琴子は入江に惚れた。
ずっと終りのない追いかけっこをしながら、ついに俺の想いは報われなかった。
それでもクリスに出会って結婚して、やっと琴子を忘れられたと思った矢先に琴子の目のこと

を知った。
そして、矢も楯もたまらずここへ駆けつけて俺はいったいどうしようと思っていたのか・・・


この部屋には琴子が溢れている。


―職場だっていうのに、照れもせずにようこんな物を飾っておけるもんや・・・恥ずかしい奴ちゃ。


その時、俺の脳裏にはこれまで琴子を挟んで、入江と相対してきたたくさんの出来事が次々と

浮かんでは消えていった。
そして、何も言わずとも答えは出ている・・・不意にそう思えた。



「悪いな、落ち着かなくて・・・」
電話を終えた入江が、受話器を電話に戻しながら言った。


「ほんなら俺帰るわ・・・」
俺は、何かつきものが落ちたような気分で、ふらりと立ち上がった。


「えっ?・・・まだ話の続きがあったんじゃないのか?」
入江が驚いたように声を掛けた。


「ええんや、もうようわかったし、こっちもいきなり来たんやしな・・・ほな、たまには琴子と店に

も顔出しや」
俺は、入江に軽く手をあげて出口に向かって歩きはじめた。すると俺の背中に向って入江が

声をかけた。


「お、おい、金之助!お前らしくなくないな。新婚旅行の土産を口実に、本当は琴子の目のこと

でオレに文句言いにきたんじゃないのか?」


―まあ、確かにな・・・


俺は、入江の相変わらずの言い草に思わず苦笑いを浮かべて振り向いた。


「何や?<琴子の目を治さんかったら、俺がお前をボコボコにぶん殴ったる>とでも言ったら

俺らしいんか?」
俺は、わざと少し凄味のある言い方をしながら答えた。


「まあな、当然そう言いに来たんだと思ってたよ」
入江が、不敵な笑みを浮かべながら俺を見た。


「言うてもええけどな・・・」
俺は、入江を真似て口元に笑みを浮かべながら一旦言葉を切った。


「いいけどなんだよ」
入江が先を促すように言った。


「わざわざ俺がそんなん言わんでも、お前ならなんとかするやろ・・・」

俺は首だけを入江の方へ向けて、さらりとつぶやいた。


「えっ?・・・」
入江が、少し驚いたように呆けた声を出した。


じゃな(ほな)、ほんま旨いもん食わしてやるさかい近い内に店に来いや、クリスも喜ぶしな・・・」
俺は、もう入江の返事は待たずにオフィスを後にした。

―入江直樹・・・高校の時から俺にとってはいつも目障りな奴やった。俺から琴子を奪って、そ

のくせいつも琴子を泣かして、とにかく気に食わん奴やった。それが、今じゃたぶん俺はあいつ

を心から信頼してる。まったくしゃくに障る話やな・・・結局、俺も変わったし、入江も変わったっ

てことなんやろな―


俺は、病院の廊下を出口に向って歩きながら、ふと立ち止まって振り返った。
最初は、入江の言ったように半分は文句を言うつもりでオフィスに乗り込んだはずだった。
それが、あの部屋の中を見回している内に、その気はすっかり失せていた。


―あの入江が、あんなデカイ声でまだわからないって言ったんや・・・


その力強い言葉は、今の事実を変えてやるという入江の決意のようにも聞こえた。
きっと入江なら、自分の全てを賭けてでも琴子を守ろうとするだろう。
決してあきらめはしないだろうと思えた。



―当然やな。何だかんだ(何やかんや)言うてもお前が琴子にめちゃめちゃ惚れてること、俺は知ってるで・・・



                                             END


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


さて、いかがだったでしょうか・・・はてなマーク

お叱り、赤ペン添削、なんでもお受けしますのでコメントお待ちしています``r(^^;)ポリポリ


今回の設定では、琴子の目のことを書いてしまったので辛い思いをさせてしまったらごめん

なさいね・・・でも、最後にはポジティブな仕上がりになっていると思うので後味はスッキリし

たんじゃないかと思いますがどうでしょうか・・・合格


さらに、これはきっと誰かに指摘されそうなので先に書いておきますけど、今回初めて英語の

タイトルでお話を書きました。

金ちゃんが主役のお話でタイトルが英語っていうのも何かなぁ~とは思ったんですが、今回

のお話が出来上がってそれしか浮かばなくて・・・あせる でも結構深いでしょ?自己満足(≧m≦)ぷっ!


まあ、その点も含めて感想など聞かせてくださいね・・・v(=∩_∩=) ブイブイ!!



                                           By キューブ





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