読者のみなさまには、いつも私のお話を楽しみにしていただいて、ありがとうございます
まずは、この場を借りて、お礼とお詫びとご挨拶をさせていただきます。
2吻が最終回を迎えて、最初に書いたお話「kiss20へ捧げる物語」には、思いのほかたく
さんのコメをいただき、本当にありがとうございました。
また、kiss20の動画をアップした記事には、熱い想いのコメをたくさんいただきながら、
おひとりおひとりにコメレスを差し上げられなくて、申し訳ありませんでした。
さらに、2吻の終わりが近づくにつれ、はじめてコメくださる方が増えたのもとても嬉しい
ことでした・・・私ごときに、こんなにも熱いご支持をいただいて、本当に心から嬉しく思っ
ています。
これからも、この創作意欲が続く限り、みなさんに喜んでいただけるようなお話を綴って
行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします・・・
さて、「kiss20に捧げる物語」を書いて以降、数日間沈黙していましたが、私なりに、いろ
いろと気持ちの整理もできましたので、再び始動したいと思います。
正直に言って、kiss20の展開は、衝撃的で感動的で、隙間だらけのようで、アリの入る隙
間もないようで、とにかくkiss19までとはまったく別物のような感じがしてなりませんでした。
そして、kiss20を題材にして二次小説を書こうと思えば、ツライ展開は避けられず、どうし
ても書く気持ちになれなかったのも事実です。
そこで、まず先に「kiss20に捧げる物語」で、曖昧に終った最終回のその後を書きました。
あのお話は、本当に「降りてきた」と言いたいほど、すっと浮かんで書いたお話です。
ただ、まえがきもあとがきも、書く気になれなかったのですが・・・
そして、今回のお話ですが、kiss20のエピの中で、なんとしても書きたいと思ったのは、直
樹が琴子を探してまわる、あの切ないシーンです。
もう、この先2吻のドラマが進むことはないので、じっくり小出しにしながら、最終回の余韻を
お楽しみいただければと思い、キーボードまかせの連載にしようと思います。
最低でも3~4話はお付き合いいただくことになるでしょうか・・・いいですよね?
前置きがながくなりました・・・それでは、どうかお楽しみいただけますように・・・
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~愛された軌跡 -1-~
オレの心に深く刻まれた、あの日の記憶・・・それは、オレがお前を探して、辿った軌跡・・・
そして、それこそが、お前がオレを愛した軌跡・・・オレがお前に愛された軌跡・・・
今、もう一度二人で行こう・・・あの日、すれ違ったままの思い出を、再びひとつにする為に。
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頭の上で、目覚まし時計のアラームが鳴りだし、オレは、手探りでそれを止めると、いつも
のように隣で寝ている琴子へと手を伸ばした。
しかし、目を閉じたまま滑らせた手は、どこまで行っても琴子の体に触れない・・・
―ん?・・・
朝日の眩しさに薄っすらと目を開けると、琴子は寝ておらず、オレは半身を起こして部屋を
見回した。
ふと、あの琴子が失踪した朝の記憶が蘇り、オレは無意識にサイドテーブルの上を見た。
すると、まるであの日を再現するかのように、フォトフレームの下に挟まれた紙片が目に飛
び込んできて、オレは、血の気の引く思いでそれを引き抜いた。
『愛しのダーリンおはよう~、今朝はとっても気持ちよく目が覚めたので、先に起きて美味し
いコーヒーを入れて待ってるからね~あなたのハニーより』
―なんだ、これ?
オレは、あきれながらその紙片をベッドの上に投げ出すと、もう一度ベッドに寝転んだ。
もう二度とそんなことがあるわけはないとわかっていても、心臓の動悸はおさまらず、今で
もあの日の記憶が、これほどにオレを動揺させるということに、驚いていた。
「まったく、何でこんな紛らわしいことを・・・」
オレは、誰もいない部屋で、声に出して悪態をついた。
そして、天井に向かって大きなため息をついた時、ふいに部屋のドアの開く音がして、琴子
が飛び込んできた。
「あっ・・・入江君、お、おはよう・・・もしかして目覚まし時計で起こされちゃった?・・・」
琴子がバツの悪そうな顔をして聞いたことに、オレは不機嫌な顔のまま「ああ」と答えた。
「ご、ごめんね。目覚まし時計切っておくの忘れたの思い出して、あわてて来たんだけど、
遅かったんだね・・・せっかく、今日は入江君お休みだから、ゆっくり寝かせてあげようと思
ったのに・・・」
琴子が、うつむきながら言っているの見ながら、オレはなんだかほっとしてベッドの上に体
を起こした。
「来いよ・・・」
オレは、ベッドサイドに立っている琴子の腕を掴んで、引き寄せると、ベッドの端にストンと
座った琴子を、背中から抱きしめる・・・
「お前、今すごーく罪なことしたのわかってるのか・・・」
オレは、琴子の耳元で囁いた。
「えっ?・・・罪なことって?・・・」
琴子が、驚いて振り返る。
そんな琴子の反応がおかしくて、オレはふっと吹き出して笑った。
「ねえ、なになに?・・・目覚まし時計を止めておかなかったこと?」
琴子の言葉に、オレは笑いながら首を横に振った・・・そしてその時、オレの頭にはあるこ
とがひらめいていた。
「じゃあ、なに?・・・ねえ、ちゃんと謝るから教えて~」
「なあ、琴子・・・今日は、天気もいいし、二人で碧潭へ行かないか・・・?」
オレは、琴子の言葉を無視して、つぶやいた・・・
すると、それまで眉間に皺を寄せながら食い下がっていた琴子の顔が、急に驚きと戸惑
いの表情に変わり、いぶかしげにオレを見つめている。
「な、なんだよ・・・」
オレは、横目でちらりと琴子の顔を見ると、すぐに目をそらして琴子の返事を待った。
「ね、ねえ?・・・そ、それって、デートってこと?」
琴子が、しどろもどろになりながら尋ねる。
オレは曖昧な笑みを浮かべながら「まあ、そういうことになるかな・・・」と答えた。
すると、琴子の表情がみるみる満面の笑顔に変わり、黄色い悲鳴をあげた。
「きゃあーホント?・・・入江君から、デートに誘ってくれるなんて初めて!嬉しい~!」
琴子は、半ば叫ぶようにそう言うと、オレの首に抱きついて、延々とキスの雨を降らせる。
「わ、わかったから、離れてくれよ・・・喜んでくれるのはいいけど、こんなことしてたらいつ
までたっても出かけられないだろう!」
オレが苦笑しながら言うと、琴子は「ごめん」と言いながらやっと立ち上がった。
「じゃあ、まずは朝ごはん食べなきゃ・・・早く着替えてきてね・・・」
琴子は、はにかんだ笑みを浮かべながらもう一度オレの頬にキスをすると、ドアに向かっ
て歩き出した。
その時、ベッドから立ち上がろうとしたオレの手に、琴子が書いたメッセージの紙片が触れ
オレはふと琴子を呼び止めた。
「なあ、琴子?・・・お前、今日はどうしてそんなに早起きだったんだ?」
振り向きながら琴子が答える。
「お腹をね、思いっきり蹴っ飛ばされてビックリして目が覚めたの・・・」
「えっ?・・・お腹って、まさかオレが?・・・」
オレは、驚いて聞き返した。
すると、琴子は声をあげて笑いながら首を横に振った。
「ちがうよ~もう、わかるでしょ?この子が、私のお腹を中から蹴っ飛ばしたの・・・すごく
元気なんだよ!」
お腹を指差しながらそう言った琴子の笑顔が、幸せに輝いている。
オレは、その笑顔に引き寄せられるように、琴子の前に立つと膨らんだお腹をそっと撫でた。
―この中に、オレと琴子の子供がいる・・・
どんなに頭でわかっていても、男のオレには絶対に実感できないその痛みや重みを抱え
て、琴子は少しずつ母親になる準備をしてる・・・
この頃では、小児外来にやってくる母親たちと同じ表情をする琴子に、はっとさせられるこ
とが何度もあった。
「じゃあ、下で待ってるね・・・気が変わると困るから、早くしてね・・」
琴子は、弾むように部屋を出て行き、階段を降りながら嬉しそうにオフクロを呼ぶ声が聞こ
えてきた。
オレは、水で顔を洗うと、洗面台の鏡に映った自分に問いかけた。
「何で急に、碧潭へ行こうなんて言ったんだ?」
ふいにあの日の記憶を呼び覚まされて、心に残された傷の深さに驚かされた。
オレは、あの日の記憶を風化させたくないのか、それとも違う思い出と塗り替えたいのか・・・
ただ、あの日琴子を探して・・・本当に狂うほど探して、心に焼きついたままのあの景色を、
今度は琴子と二人で見たいとふと思った。
オレは、苦笑しながら手早く仕度を済ませ、久しぶりの二人での外出に、嬉々と心弾ませ
ている琴子の待つ階下へと降りていった。
つづく
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さて・・・いかがでしょうか
読者のみなさまのブーイングが、聞こえてきそうで怖いです・・・
まだ、何も始まる前につづき・・・ですか?ってね・・・
まあ、プロローグということで、お許し願って、この先もチマチマ書いて行きたいと思います。
ぶっちゃけ、こんなにゆったりとした気持ちで、お話を書くのはひさしぶりなんですよ~
だって、今まではすぐに次の週が来ちゃいましたからね・・・そしたら、今度は次の回の隙
間が気になって、休む暇がなかったじゃないですか・・・
ちょうど、2吻の撮影をしている頃に、1吻のお話をポツポツとアップしていた頃を思い出し
ました。
書くことが楽しいという気持ちは、いつも変わりはありませんが、書くことに追われるのでは
なく、じっくりと時間をかけて書けることが、2吻が終ってしまって寂しい心の、今はちょっと
救いになっているように思います。
さて・・・いろいろ生意気に語っちゃいましたが、つづき気になりますよね・・・
気になってくれないと困りますぅ~~``r(^^;)ポリポリ
次回も、どうぞお楽しみに
By キューブ
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