リクエスト第5回目は、mayumiさんからのリクエストひらめき電球


今回のリクエストをいただいた時点では、台湾版のイタキスは見たことがなかった

mayumiさんからは、日本版イタキスをベースにしたリクエストです。


柏原さん演じる入江君が佐藤さん演じる琴子に言った最終回の「もうどこにも行くな、

俺のそばにいろ」と言うセリフを元に結婚前~結婚までの2人をというリクエストをいただ

きました★


リクエストでは、結婚前から結婚までということでしたが、やはり台湾版とは設定が

違っていることと、キューブ自身が日本版のイタキスを最終回(それもとびとびで・・・)

しか見たことがないということもあり、とてもご満足いただけるものが出来たとは思って

いません・・・力不足でごめんなさい。

でも、日本版最終回のラストを再現するつもりで精一杯書かせてもらいました。

どうか、これでおゆるしを・・・


☆日本版イタキスを知らない方へ

 キューブの過去記事にイタキスの日本版と台湾版を比較した記事がありますこちら

 今回のお話は、この記事の内容から作った物語です。

 日本版を知らない読者の方は、先にこちらをご覧になってから物語をお読みください。
Japan1


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 ~俺のそばにいろ~


「このまま琴子ちゃんを帰しちゃっていいの?このまま引止めなかったら、もう二度と琴子

ちゃんは帰ってこないわよ」
お袋が、俺の顔を覗き込みながら言った。


―引き止めてどうするっていうんだ?


その時の俺は、まだ自分の本当の気持ちに気づいてはいなかった。
俺は、責めるような、お袋と裕樹の視線に耐えかねて、自分の部屋へ戻ろうと立ち上がった。
俺が、琴子を追いかけると勘違いしたお袋は、階段を上がっていく俺を見て大きなため息

をついていた。


2年間、新潟の看護学校へ通うためこの家を出ていた琴子が戻ってきたのはほんの数日前・・・
看護士の実習を斗南大学病院で行うためだった。
そして、実習を終えて再び新潟に戻る琴子に、お袋は今までと違う何かを感じたのだろうか・・・


―だからと言って、どうして俺があいつを追わなければならないんだ?


琴子がいなかった2年間を思い返してみても、琴子がいないことで寂しいと思ったことも悲し

いと思ったこともない。


いつも迷惑ばかりかけられて、いつでも気持ちを押し付けてきて、いつもまとわり付いていた
琴子がいなくなって、清々していたんだ。


医者になる決心をして、懸命に勉強してきた・・・琴子がいない分、この2年間はわずらわしい
こともなく、勉強に集中することができた。



でも・・・



琴子は、俺が医者になるから自分も看護士になりたいと思ったんだ・・・そして、あいつはこの

2年間、あんなに好きだ好きだと言っていた俺から離れて、俺のために必死で勉強して来た

にちがいない。


琴子と初めて会ったときのことが思い浮かんだ。
高校の入学式の日、学校の廊下で出会いがしらのキス・・・あの出会いが、今日までの始まり。



さまざまな思い出が頭を駆け巡る。



「このまま引止めなかったら、もう二度と琴子ちゃんは帰ってこないわよ」
お袋の言葉が、頭の中に浮かぶ・・・


琴子がいない2年間・・・俺は寂しくなんかなかった。
でも、それは琴子が必ずここへ・・・俺のとこへ帰ってくるってわかっていたからじゃないのか?


琴子がまとわりつかなくなって、清々していた。
でも、琴子のことを考えない日は一日としてなかったんじゃないのか?


琴子の笑顔も、怒った顔も、泣き顔さえもこんなにも心に焼き付いている・・・


「もう二度と琴子ちゃんは帰ってこないわよ」
何か熱いものが胸の中に込み上げて、もう一度お袋の言葉が浮かんだ瞬間に俺は部屋を飛

び出して走り出していた。


俺は駅へと続く道を走りながら、必死に琴子の背中を捜していた。


―琴子、行くな!


目の前に踏み切りが見えてきた。
きっと、琴子はその踏み切りを渡って駅へと向かったに違いない。


早く・・・早くあの踏み切りを渡って、琴子を・・・


しかし・・・


点滅し始める警報灯。
無情に下りてくる遮断機。
目の前を通過していく電車が、俺の視界から琴子を消し去った。


「琴子!・・・琴子!!」
胸の中にいっぱいになった思いが、叫びとなって溢れ出た。
俺は、何度も何度も琴子の名前を呼んでいた。


―間に合わなかった・・・


俺は、遮断機の上がらない踏切りの前で、悔やんでも悔やみきれない思いを抱えて立ち尽く

していた。




そんな時だった・・・


ふと、背後に何かを感じた。
それは、何の前ぶれもなく、俺の背中から真っ直ぐに心を貫くような”気配”だった。


高鳴る鼓動・・・胸が熱くなる。


きっと間違いない・・・


俺は、確信をもって一気に振り向いた。


そこには、大きく目を見開いて琴子が立っていた。
「入江君が、私を呼んでいるような気がして・・・」
すでに潤みはじめた瞳で、俺をじっと見つめながら琴子が言った。


―そうだよ・・・この俺が、あんなでかい声でお前を呼んだんだ!どういうことかわかるだろ。


俺は、喉まで出かかった言葉を飲み込んで、琴子を抱き寄せた。


「もうどこにも行くな、俺のそばにいろ」
俺は、力一杯琴子を抱きしめながら、その耳元に囁いていた。


不思議なほど、自然に出てきた言葉だった。
だからこそ、それが俺の本当の気持ちなのだと、自分でも納得できた。


琴子がこの腕の中にいる・・・


―もう二度と離さない・・・


琴子が、嬉しそうに微笑んだ。
俺は、その笑顔に引き寄せられるように、琴子の唇にくちづけた。


そうさ・・・ずっと、ずっと好きだった。
ずっと前から、琴子だけを・・・
失くしてしまう前に、気付けてよかった。


ずっと一緒にいよう・・・俺が、本当の自分でいられるのは、お前の前だけなんだから・・・


                                                END


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 ~あとがき~


直樹が琴子に告白するこのシーンで、日本版直樹と台湾版直樹には、決定的に違う点

があります。

それは、琴子を失うかもしれない理由です。

台湾版直樹は、金之助に琴子を盗られてしまうかもしれないと思った時点で、自分の

本当の気持ちに気付きますが、日本版直樹にとって金之助は恋のライバルとまでは

いかない存在です。

琴子が再び直樹の前を去ることになった時、もしかしたらそのままもう帰ってこないか

もしれないという思いに駆られて、初めて自分の気持ちに気付くという展開です。

だからこそ「どこにも行くな、俺のそばにいろ」というセリフになるわけですね。

「お前が好きなのは俺だ」という、ちょっとひねくれた台湾版直樹のセリフはいかにも

直樹らしいですが、日本版直樹のセリフも散々冷たくしたくせに、命令口調な感じが

直樹らしいと思いませんか?べーっだ!


このシーン、とっても感動的でしたよ♪

前にも書きましたが、このシーンをジョセフ&アリエルでも見たいなと思いましたニコニコ



いつものように、「いかがでしたか?」と聞くのがちょっとコワい気がします。

お話自体は、結構気に入っているのですが、ちゃんとリクストに答えられていないです

からね・・・mayumiさん、ごめんね・・・


                                         By キューブ





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