まさか、入江君と沙穂子さんのデートに出くわすなんて・・・



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こんな時、いつもなら涙でぼやける天井が今日ははっきり見える。


―今日は、もう涙も出ないや・・・


私は、何をする気にもなれず虚ろな心のままベッドに寝転んでいた。



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悔しいけど、お似合いの二人だった。
私じゃ釣り合わないのはわかっているけど、でも入江君の隣に座っているのは私で

あって欲しかった。
二人が一緒にいるところなんて、見たくなかった。
沙穂子さんの幸せそうな顔が、憎らしかった。


―入江君、もう帰って来たかな。


私は無意識に部屋を出ていた。
カーテンを揺らす風の冷たさとひとりぼっちの寂しさに、体と心が一緒に震えた。
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入江君の部屋の前に立ってみる。
私にはもう、ドアをノックする勇気すらないみたい・・・
私の大好きな入江君は、たったドア一枚の向こう側にいるのに、私の前に立ちはだ

かる壁はどんなにがんばっても、もう越えることは出来ないんだね・・・
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入江君は、沙穂子さんと結婚する。
この事実をどうしても受け入れられなくて、いくつの眠れない夜を過ごしただろう。
どんなに冷たくてもイジワルでも入江君が誰のものでもなければ、私はずっと入江

君を好きでいられたのに・・・


―どうやったら忘れられるんだろう?


もう、想うことも許されないのなら、このまま夜の風に紛れてどこかへ消えてしまい

たいとさえ思うよ。



「お前ら、本当にお似合いだよ」

入江君に言われたことが、どうしてこんなに悔しいの・・・

どんなに紛らそうとしても、涙はあとからあとから零れ落ちた。
itakiss85

でもね、こうしてひとりになれば、やっぱり私は入江君のことばかり考えている。

あきらめなきゃいけないことは・・・忘れなきゃいけないことはわかってるんだけど。



私・・・金ちゃんを好きになれるかな・・・


ねえ入江君・・・今何してる?誰のこと考えてる?

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ねえ入江君・・・今、無性にあなたに会いたいよ・・・


                                            END





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