カルピスのこと。 | 在英邦人、でも心はキューバ

在英邦人、でも心はキューバ

期間限定、シャンハイ在住。
英国&ニッポン共に年2回ペースで里帰り中。

カルピス。


想像しただけで

子供の頃のジリジリ暑い夏休みを思い出す。


カルピスにはノスタルジックな記憶。

母が作ると、薄く、

父が作ると、やたらと濃かった。


大人になってからはもう何年も(何十年も)

飲んだことがなかったけれど

先日行ったマンチェスターで

現地の知人、グルメなイギリス人男性に頼まれて

日本食材を調達しに行ったお店でみつけて衝動買い。


ロンドンの日系スーパーでも売られているはずだけど

意識したことがなかった。


いつの間にかボトルではなくて紙パックになっていた。

水玉模様のデザインには見覚えがある。


カルピス、じゃなくて 「カルピコ」 だった。





calpis



マンチェスターのお店はジャパニーズレストランの地下にあって

小さいながらもなかなかツボを抑えた品揃え。


オーナーらしき英国人男性に

Where are you from ?  と話しかけられ

日本人だというと、止まらないおしゃべりが始まる。


去年までマンチェスター近郊のボルトンに所属していた

ナカタ、を知っているか、ときかれて

面識はないけれど、と付け加えたうえで

「モチロン!彼は日本のフットボール界のヒーローだもの」

と答えた。


ナカタはここの常連だったんだよ、と教えてくれた。

そして 「カルピコ」 は彼のお気に入りだった、と。


へえ~っ、カワイイもの飲んでたんだなあ、なんて

急に親近感が湧いてきたりして。


それで思わず買い物カゴの中に...。


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カルピスが、「カルピス」 でなく 「カルピコ」 な理由。

ピン、とくる。


十年以上前、日本に住んでいた英会話学校の講師たち、

アメリカ人やオージーのグループと親しかった時期があって

「日本に氾濫するヘンな英語」について

仲間内でよく話題にのぼっていた。


意味不明なTシャツの文字とか、街なかの広告、

マグカップにプリントされた妙な英語(もどき)を見つけるたびに、大うけ。

私はその都度、これはこういう意味、と

「ジャパングリッシュ」 の説明役だったから

いつも 「Why ?」 を連発されていた。


カルピス、は、英語圏の人には

「カウピス」 Cow piss (牛のオシッコ) に聞こえて

当時の爆笑ネタのひとつ。

なんでそんな名前を飲み物につけるんだ、って。


ちなみに 「ポカリスエット」 も

そのものズバリ 「スエット」 sweat が 「汗」だから、

よくそんな名前のドリンク飲む気になるね~とからかわれた。

口にする液体、飲み物に「汗」、ってのもたしかにナンだよな~。


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ローマ字の 「CALPICO」 の下には

カタカナで 「カルピス」、そして 「SINCE 1919」 の表示が。


世界がこれだけ縮まって

日本の製品が海外の片隅にまで流通するような時代がくるなんて

90年近く前には想像もつかなかったんだろうな...。




calpis


calpis



側面には作り方のアドバイス。

カルピス1 : 冷水4、が黄金比率。

ほお~っ。



それにしても、やっぱり 「カルピコ」、より 「カルピス」。

蝉の声、蚊取り線香、ラジオ体操やプール、

遠い日の夏の思い出と直結。


夏だけじゃなくて、日曜日も。

「ハイジ」だって「マルコ」だって「フランダースの犬」だって

カルピスのスポンサーで見てたんだから。


「黒人マーク」も知ってるよ。

人種差別になるから云々で使用禁止になったらしいけど。

(そういう意識の方が「差別」かもと感じてしまう...)


今も普通にスーパーの棚に並んでいて

子供がいる家庭のお母さんは買ってきたりするんだろうか。

それともどこかの誰かから必ずお中元で届いたりするんだろうか。


いろんな思いに駆られつつも

ロンドンは肌寒くて、イマイチ飲みたい気持ちになれず

まだ封を切っていない。


カッと強い陽射しが照ったら、開けてみようと思うのだけど。