今回は、ウォーミングアップについての情報を掲載させて頂きます!


ウォーミングアップは,スポーツ傷害を予防する上で不可欠なものと考えられていますが,その内容や方法,考え方などは各指導者によって異なり,効果的な内容から不適切な内容まで様々な印象を受けます。それは“代々受け継がれて来た内容”や“体育の授業前に行う準備体操の影響”など様々な理由があると思われますが,ウォーミングアップの大きな目的は『スポーツ傷害の予防』と『より良いパフォーマンスの発揮』であり,これらを実現する為にはウォーミングアップの本質を理解する必要があります。



従って,今回は2回に渡ってウォーミングアップに関するコラムをUPします。内容は,①ウォーミングアップの目的及び効果について,②ウォーミングアップ構成時の留意点と適切な方法について,この2つになります。これを機に,今一度ウォーミングアップについて考え,パフォーマンスの向上はもとより,傷害の予防へも繋げて頂ければ幸いです。

それでは第1弾,“ウォーミングアップの目的及び効果について“を詳述していきます。これは,様々な説が多くの方々によって述べられていますが,中でも重要な点をピックアップし以下に述べて行きます。

①体温・筋温の上昇

この目的・効果がウォーミングアップにおいて最も重要な要素であるとされています。

体温の上昇に伴い血液循環が向上し,各組織・器官における酸素の取込みがスムースになると共に,心肺機能の準備にも繋がります。また,同時に筋温が高まる事で筋肉の細胞間質や腱に含まれるたんぱく質の粘性が低下する一方で,弾性が高まります。結果,筋肉の柔軟性が向上し,筋力発揮能力の向上とスポーツ傷害の予防へ繋がります。

②神経系・内分泌系・呼吸器系・循環器系の働きの活性化

ウォーミングアップによって中枢神経の興奮が高まり,運動に対する神経系の反応が向上するとされています。尚,①での体温の上昇による生理学的反応としても,神経の伝導速度が向上し,反応速度の上昇へ繋がると考えられています。また,交感神経からアドレナリンの分泌が促進される事で,筋肉や呼吸器・循環器系が活性化され,一方では他器官系の働きが抑制されます。つまり,運動を遂行する上で必要な器官へ集中的に諸エネルギーを供給し,全身性に運動への準備を整える事に繋がります。

③心理的準備

ウォーミングアップでは身体的な準備のみならず,集中力の向上を含め運動に対する心理的準備にも繋がります。その後に控える練習や試合への気持ちの切り替えなど,チーム全体あるいは各個人の心理的な調整に有用とされています。

④体調や環境面の把握

これは競技レベルが高いカテゴリーに位置する選手程,敏感に捉え且つ重要性が増す要因と言えます。ウォーミングアップの最中に日毎に変化し得る体調を把握し,試合や練習開始までの短時間内に調整を図ります。また,同様に日々異なる気候やピッチ(グランド)のコンディションも把握し,より良いパフォーマンスの発揮やスポーツ傷害の予防に繋げます。

⑤予行練習的要素

各スポーツ動作をウォーミングアップに取り入れる事は,その後の試合や練習における反応速度を高めるとされています。つまり,予行練習により脳へ各種特異的な動作の理解を促すと共に,身体の準備を整え,急激な動作によるスポーツ傷害を防ぐ事へ繋がります。

さて,ここまで“ウォーミングアップの目的及び効果について“をお読み頂きありがとうございます。少し専門的な知識を含み,難しい内容となってしまいましたが,これはとても重要な事です。指導者側の考え方・捉え方一つで,未然に防ぐ事のできるスポーツ傷害はとても多くあります。従って,指導者の立場におられる方は,是非,部分的だけでもご理解頂ければ幸いです。



それでは,次回は“ウォーミングアップ構成時の留意点と適切な方法について”をUPします。具体的には“ウォーミングアップにおける静的ストレッチは必要悪か?”や“ウォーミングアップ時の服装は?時間は?”など,今まで実際に相談を受けた事例や目の当たりにしてきた光景などを基に,今回述べた目的及び効果等を考慮しながら詳述していきますので,是非,次回のコラムも読んで下さい!







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