● 【夏休み連載（３）】傲慢だった私が台湾で泣きながら学んだたったひとつのこと
自分をデザインできる人を増やす講師 関亜紗子です。
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その１はこちらから 調子に乗っていた台湾留学初期編
その２はこちらから カビ大量発生事件
と、こんなふうに、母の愛に触れて、
「親の愛というのは偉大だ…」と感動した台湾留学なかばでした。
一週間、台湾に滞在して、私が新しい部屋を見つけるのに
付き合ってくれた母は、大量のパイナップルケーキを抱えて、
日本に帰っていきました。
「私は今まで、どうして親をうっとおしいなんて思えたんだろう」
そんな風に、家族のありがたさを実感する出来事でした。
一方で、まだまだ無意識に「傲慢関」は根を張っていました。
語学学校のクラスメイトの日本人とはつるみたくない！
そんな暇があったら中国語の勉強をしなくちゃ！
という気持ちは健在でした。
日本人やほかの留学生といるのをできるだけ避け、
台湾の現地の友人をたくさんつくり、ずっと彼らと一緒にいました。
そして、中国語も上達していき、
毎日がとても充実して楽しい！と思っていた真っ只中のとき。
そんな台湾留学が半分過ぎたころに、
私は、またある事件を起こすのです。
ある日、語学学校に行くと、同じ時期に台湾留学に来た友人（日本人）が、
「やっとビザとれたんだよ～(≧▽≦)」
と嬉しそうに語っているのです。
関：「！？」
(°Д°；≡°Д°；)
関：「び・・・ざ・・・？」
大慌てでビザの期限を確認すると
残り2日！！
この期限を過ぎると、台湾に不法滞在になってしまいます。
急いで台湾の現地移民署に行って確認すると、
移民署の担当者：
「今からビザ延長を申請して、もし申請が通らなかったら、不法滞在になりますね。」
と冷酷な返しが。（※自業自得）
関：「ど…どうすれば法に触れずに済むのでしょうか」
移民署の担当者：
「あなたは幸い日本人なので、台湾以外の国に一度出国して、
もう一度台湾に入国すれば、観光ビザが3か月おりますよ。」
日本人は、ビザが世界一取りやすく規制が少ないので、
台湾に限っては、観光ビザが一回につき3か月も与えられるのです。
そのため、一度でも海外に出れば、また観光ビザがリセットされ、
新たに3か月また台湾に滞在できるようになる、とのことでした。
とはいえ、あと2日で一度台湾を出る…！？
その手続きを、どうすればいいのかパニックでした。
現地の旅行代理店に行けばいいのか、それとも直接空港に行ってしまったほうがいいのか。
困った末に、クラスメイトの、日本人駐在妻の女性に、
涙ながら電話をしました。
関：「Mさん…助けてください」
Mさんは、状況を理解すると、
「ちょっと待っててね」
と電話を切りました。
そしてそのわずか10分後に、
「今ね、友達の日本人がやってる旅行代理店に電話して、
明日の沖縄行きの航空券を手配してもらったら、
●●（駅名）まで取りにってね。」
と電話が。
心細かったのがゆるんだ安堵と、
Mさんがそこまで私のためにしてくださったことがありがたすぎて、
電話口で泣きました。
毎回、語学学校の小テストで、
私よりも低い点だったMさんでした。
「あさこちゃん、勉強頑張っててすごいねえ。
私は旦那さんについてきただけだけど、
人生は長く生きてるから、何でも聞いてね。」
思い起こせば、そうやって、いつでも私の様子を見ていてくれた人だったのです。
それなのに私は、
「中国語を習いに来たのだから、
もっと意識が高い人や、現地の友達といなきゃ
ためにならない！」
と、Mさんの心配や心遣いを、
いつも話半分で聞いてしまっていたのです。
どうして私は、
たかが小テストがちょっとできたくらいで、
そんなに傲慢になれたんだろう。
どうして私は、
自分の知らないところでいつも見守っていてくださった
Mさんのやさしさにそれまで気づけなかったんだろう。
そんな申し訳なさも、一挙にやってきて、
涙が止まりませんでした。
Mさんは、駐在妻で旦那さんのお仕事の台湾駐在についてきたひとで、
毎日とても優雅に暮らしていらっしゃるように見えました。
でも、この事件のあと、Mさんとじっくり話すようになって、
長く中国語を勉強しているのに、成長が遅い自分や
ほかの駐在妻との価値観の違いで悩んでいることや
（駐在妻はセレブっぽい人が多くて金銭感覚が合わないらしい）
自分だけ台湾で目的を見つけられないことを自分で責めていたりすることなど…
Mさんのことをいろいろ知ることができました。
すべての人に、それぞれの事情があって、
いろんな悩みも持っていて、
それでも、懸命に生きている。
その背景を、私は理解しようとしていなかったのだなと感じました。
留学は、語学だけを学びに来たと思っていた自分の浅さを思い知りました。
それを理解したとき、
日本人も、台湾人も、他の留学生も関係なく、
どんな人からも、たくさんのことを学ばせてもらえるとわかりました。
誰もが、自分を成長させてくれる存在なのだと、教えてもらいました。
台湾留学で私が学んだものは、
「自分一人でできることなどない」
いつも誰かが、自分の知ら、ないところで、
私を守ってくれていたからこそ、できることなのだと。
そして、誰もが教えと学びをくれる師匠であることも実感しました。
自分が相手を理解しようとしたり、興味を持つことで初めて、
相手の本当の価値の片鱗が見えてくるものだと。
それを見えないのであれば、自分が知ろうとしていないだけなのだと。
これが、私が台湾にいる一年間で学んだことです。
ほかにも、台湾にいる間には宗教に気が付かずに入っていた事件や、
虫大量発生事件や、
一年間で元気に5キロ太った話など、
おもしろおかしいことはまだまだたくさんあったのですが笑、
今、私が、「与えてもらったことに感謝したい」と思う気持ちの根っこは、
この台湾での経験が、培ってくれたものだと思います。
私もまだまだ不出来な人間なので、
調子に乗ったりすることも、もちろんいまだにあります。
そんな時に、いつも思い出すのは、この台湾留学での出来事です。
この世に生まれてきた意味は、
自分が優れていることやすごいことを示すことではなくて、
ご縁をつないでもらった大切な人が、
いつでも、できるだけ、笑っていてくれるように。
そのために、自分ができることを、
心を込めて、全力ですることなんだ。
そんな風に思わせてくれる、大切な思い出なのです。
これで、夏休み連載はいったん終わりますね。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
お盆は、大切な人や、あなたへ命をつないでくれたご先祖様へのお墓参りなど、
ゆったり豊かな時間を、過ごしてくださいね＾＾
【これまでの記事】
その１はこちらから 調子に乗っていた台湾留学初期編
その２はこちらから カビ大量発生事件
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