イスラエル人は、ユダヤ人であると考えるのは間違いだ。

移民国家イスラエルは、世界中に離散している

ユダヤ人社会から、人口供給を受けている。



現在においても世界で最大のユダヤ人人口を

擁する国家は、アメリカ合衆国であって、

「ユダヤ国家」のイスラエルではない。

きちんと統計を米国がとっていないので、

正確な数字ではないが、人数をあげておく。



ずいぶん古いデータだが、イスラエルは、590万人

米国は、650万人といわれている。

そして、世界中に離散しているユダヤ人は、約1,300万人らしく、

ということは、半数以上が米国にいる。

(歴史的経緯はのちに譲る)



イスラエルには、基本法に「帰還法」があり、

それにしたがって自由に移民し、

イスラエル国籍を取得することができる。



例えば、アメリカ旅券とイスラエル旅券を

同時に所有しつつ、二つの「祖国」を自由に往来できる。



かつて、ディアスポラ(離散)を経験したユダヤ人は、

イスラエルとこの相互関係が、彼らのアイデンティティの軸になっている。



離散の地におけるユダヤ人は、その居住地に生活の現実である。

それぞれ所属する国家の市民として生きてきたし、

その社会に溶け込んで同化していると感じている場合が多い。



ディアスポラ以前、つまり、マサダの砦に行き着くまで、

全てのユダヤ人が戦ったわけではなく、

急進的な人々に引っ張られてしまっただけであり、

途中離脱したヨセフスもそうであるし、

エジプトの長官もユダヤ人であった。



2000年以上前から、ユダヤ人は常に分裂していた。

ディアスポラ以後、各地に散ったユダヤ人は、同化している、

もしくは、そう感じている場合が多いが、他方、

キリスト教社会の中で宗教的・民族的な少数派である。



したがって、ユダヤ人迫害を伴う暴力的な反ユダヤ主義の波が、

いつ襲ってくるかもしれない潜在的恐怖心が存在している。



だから、ユダヤ国家は離散状態にあるユダヤ人にとって、

非ユダヤ人社会における物理的暴力に対する

安全な避難場所として確保されねばならない、

という、ねばならない、という要請性格を持っている。



いつ反ユダヤ主義の悪夢が再び蔓延するかわからないという

悲観的な現状認識が、ユダヤ人の間で共有されているのは、

ナチスによるホロコーストや、それ以前のヨーロッパ社会に

はびこったユダヤ人迫害の数々の惨禍から学んだ教訓からきている。



これを明確にするのは、「帰還法」である。

この法律は、1950年に制定された。



内容は、世界各地において反ユダヤ主義が広がって

ユダヤ人の安全が保てなくなった場合、

いつでも避難所としてイスラエルに逃げてくることができる、

というもので、安全のための担保なのである。



米国内に多くのユダヤ人が暮らしているが、

米国社会が、ここまできた以上、反ユダヤ主義が、

いつ吹き荒れるかわからない。



そのため、米国に大きく食い込んでいるユダヤ人は、

おそらく、なんでもやる、ことになる。



米国内で、ジューイッシュと呼ばれ、けっこう冷たい目が、

長く彼らに向けられていて、米国の人口規模では、

非常に少数派になっているのに、彼らの経済力は強力無比である。



自由、平等、民主主義と謳っている米国が、

多数派である弱者に冷酷な仕打ちを行っているので、

いつ反ユダヤになってもおかしくはない。

かつて、ドイツがそうであったように・・・。