イスラエルは1967年6月に聖地エルサレムを占領・併合した。

聖地エルサレムは、ユダヤ教・イスラム教・キリスト教の聖地であるため、

宗教という観点からも多文化社会になった。



宗教はそれだけではない。

北部のハイファには、イランで生まれた

新宗教のバハーイー教がある。



またキリスト教といっても、カトリック、プロテスタント諸派

それ以外の宗派、東方諸教会に属する人々もいる。



細かく見ると、ギリシア正教徒、カトリック教徒、

その傘下にある合同(帰一)教会に分類される、

メルメット派、マロン派、さらに、シリア正教会、

アッシリア正教会といった単性論派キリスト教徒、



19世紀以降に改宗したプロテスタント諸派の信者もいる。

これらのキリスト教徒は、イスラエル国民なのだが、

アラブ意識をもっている。



日常的にはアラビア語を母語として生活しているが、

日常生活に不可欠なのでヘブライ語にも堪能である。



さて、イスラエル人口の2割強を占める、

異形で際立つ超正統派ユダヤ教徒たちを見てみよう。



彼らの居住区は、メア・シェアリーム、

テル・アビィブ近郊のブネイ・ブラクなどがある。



この人々は、カタフーンと呼ばれる黒色のフロックコート

黒い帽子、長いひげ、鬢にはビオート(巻き毛)といったいでたちで、

暑い夏でも、真っ黒な服を着ている。

このような外見、そして日常生活でも、区別される集団だ。



金曜日の日没から始まる安息日(シャバト)には、

いっさいの労働を禁止されている。



そのとき、彼らの居住区域を車で通過することは

まかりならない、もし入ろうものなら、実力行使にでる。

凄まじい抗議、バリケードまで作って阻止などを起こす。

この件で、警官隊と衝突するニュースがたびたび流れるらしい。



敬虔な男性は信仰のために生活のすべてを

捧げて神への祈りに専心する。



その妻が働いて家計を支えている場合が少なくなく、

政府からの補助金が不可欠になっている。



ところが、兵役の義務(男子約3年間)を免除され、

女性の信徒は兵役の代替として社会福祉などに

従事すればよいことになっている。



当然、一般のユダヤ系イスラエル国民からの風当たりは、相当強い。

人口の2割強だから、イスラエル社会の代表とはいえない。



この超正統ユダヤ教徒たちの拠点は、

アメリカのニューヨークにもあり、彼らの日常語イディッシュ語文化

の中心にもなっていて、このようにして、アメリカとイスラエルは

つながっている。



このように見てゆくと、ユダヤ人は非常に独特で、

特に、先鋭化したユダヤ教徒は、危険な香が漂う。



カエサルは、寛容な精神の持ち主だったので、

当時、ユダヤ教を許していた。



しかし、ヴェスパシアヌスの時代には、

あまりに先鋭化しすぎて、マサダの砦、全滅、

そして、ディアスポラが起きたが、その反省はまったくないようだ。



それどころか、それを美談としている。

人間は、理解されないと、どんどん先鋭化し、

急進的になり、無知蒙昧な暴挙に出てしまう。



カエサルの評価が高いのは、ユダヤ人であるのは、

当時の事情があるためだが、冷徹である彼のとき、

暴挙に出ていれば、皆殺しか、生き残ったものは、

すべて奴隷として、売り払っただろう。



ヴェスパシアヌスだから、離散ですんだのである。

当時の情勢をよく知ることができるのは、

「ユダヤ戦記」を書いたヨセフス・フラウィウスのおかげである。



ちなみに、彼はユダヤ人とローマ人の

誹謗中傷に悩まされ、裏切り者の烙印もおされた。



ずれた。



超正統ユダヤ人をどうみるか、一番は、兵役の義務を果たさない

この一点に尽きるだろう。(ローマ時代と同じ)



アメリカでもユダヤ人は、ジューと呼ばれ、

人種差別されることが多い。



ヨーロッパで起きた反ユダヤ、ナチのユダヤ排斥、

それが貧困大国アメリカで起きぬ保証はない。