相馬野馬追に復興の証をみる | クリエイジ コラム ◆ 一週一冊良い本を読もう ◆

相馬野馬追に復興の証をみる

 地震と原発事故そして風評被害の三重苦に喘ぐ相馬。この辺りは穏やかで風光明媚である。古くは万葉集にも歌われた松川浦。その白砂青松は日本百景の一つでもある。魚貝はもとより松川海苔でも知られる。夏の風物詩として世界的にも有名な行事は例年7月下旬に開催される相馬野馬追である。野馬追はこの地を領有した相馬氏の始祖平将門を嚆矢とする。放した馬を敵と見做し軍馬の駆引きを演習したのが原点である。古式に則り甲冑に身を固めた500騎に及ぶ騎馬武者の出陣、行列は戦国絵巻である。色とりどりの甲冑や旗指物、軍馬の蹄の音と嘶きに魅せられる。
 今回の震災で今年は開催が危ぶまれている。震災で行方不明になった馬も数多い。開催側は大きな痛手を受けた。観客は例年数十万人に及ぶというが今回の地震や風評被害により観客がどれだけ集まるか予測し難い。野馬追は東北に夏の到来を告げる伝統行事。人馬一体となって繰り広げられる勇壮な催しは必ず心に明かりを灯し力づけてくれる。鎮魂そして復興の証として東北に夏を告げる相馬野馬追の開催を念願する。
「松がうらにさわゑうら立ちまひとごと思ほすなもろ我がもほのすも」万葉集巻十四東歌
「夏告げる駆ける人馬の嘶きに再生新た相馬の空は」
http://www6.ocn.ne.jp/~nomaoi/

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