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これは、2月1日に既に公表されている「中小会計要領」の普及策が取りまとめられたものです。


金融庁のHP では、「中小企業関係者、金融機関関係者、会計専門家等(以下「各機関・団体」という。)が一丸となって「中小会計要領」の普及・活用に取り組むことで、中小企業が「中小会計要領」に従った会計処理を行い、その結果、中小企業の経営力の強化や資金調達力の強化等に繋がることが期待されます。」と、普及に向けた強い意思が示されています。



なぜ、これが歴史的転換なのか。


それは、会計そのものの本質は「慣行」である以上、「中小会計要領」は全国約250万社の中小企業に「使われて初めて」本当の意味での会計基準になるからです。


つまり、「使われ」なければ意味がないのです。


このため、「普及」するか否かは極めて重要な意味を持ちます。


中小企業にとっての会計、それは経営者と限られた利害関係者(税務署と金融機関がそのほとんど)のための会計です。この中で、今まであまり重視されてこなかったのが経営者と、金融機関です。誤解を恐れずに言えば、中小企業の会計は税務署のためにあった。といっても過言ではないでしょう。


しかし、今日の検討会報告書の中で着目すべき記述があります。


(1)日本政策金融公庫による取組
①日本政策金融公庫(中小事業部)は、「中小会計要領」に従った計算書類を作成し、かつ期中における資金繰り管理等の会計活用及び財務の改善を目指す中小企業に対し、優遇金利(基準金利▲0.4%)で貸付を行う融資制度(「中小企業会計活用強化資金(仮称)」)を創設し、平成24年度より貸付を行う。
②日本政策金融公庫(国民生活事業部)は、「中小会計要領」に従った計算書類を作成する中小企業に対し、利率を▲0.2%優遇する。(「中小企業会計関連融資制度」)
③日本政策金融公庫(国民生活事業部)は、マル経融資(経営改善貸付)において、中小法人に対して「中小会計要領」に従った計算書類の提出を推奨していく。


(3)信用保証協会による取組
信用保証協会は、「中小企業の会計に関する指針」に従った計算書類を作成した中小企業に対する保証料割引の経験を踏まえつつ、「中小会計要領」の創設段階における普及・促進への協力として、中小企業会計割引の見直しについて検討を行う。


簡単にいえば、「中小会計要領」に準拠した決算書を提出した会社は「安い金利でお金が借りられる」あるいは「融資がスムーズに行われる」ということです。このことは、中小企業経営の現場において、極めて重要な意味を持ちます。


では、このような優遇策を利用するためには、どの様にすれば良いのでしょうか。それには、日本税理士連合会が定める「中小企業の会計に関する基本要領」の適用に関するチェックリストを、顧問税理士に添付してもらう必要があります。



このチェックリストに、「中小会計要領」に記載されている、ある重要な項目が盛り込まれました。これは、今までにない項目です。


15 すべての取引につき正規の簿記の原則に従って記帳が行われ、適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に会計帳簿が作成されているか。

これは、「中小会計要領」の最大のエッセンスでもある、以下の項目をチェックするものです。

8. 記帳の重要性
本要領の利用にあたっては、適切な記帳が前提とされている。経営者が自社の経営状況を適切に把握するために記帳が重要である。記帳は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って行い、適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に会計帳簿を作成しなければならない。


どうでしょうか。これからは、自身の経営のために、適時・正確な記帳を行なっている会社は、金融機関から安い金利でスムーズに資金を借りることができますが、そうでなければ、金融機関とは良いお付き合いができなくなる。と、断言することができます。


会計の重要性を認識した会社だけが、これからは業績を伸ばし、地域を引っ張っていくことになるでしょう。


そういう会社のお手伝いをする。これが、これからの会計事務所の大きな役割になっていきます。