9月7日、シカゴのホテルを早朝5時に出発したのには理由があります。訪米時はあの9.11からちょうど10年目ということで、9月11日にNYで式典が予定されており、空港は厳戒態勢。


所長のブログ


ということで、当然搭乗手続は長蛇の列。空港到着は団体旅行ということもあって、フライト3時間前までということに・・・


所長のブログ

やっとの思いで到着したNYは雨。当然、休む間もなく事務所視察に向かいます。


NY最初の訪問は、米国公認会計士 大島齊藤事務所 です。


所長のブログ

大島先生からは日米の相続税(遺産税)に関するレクチャーを、齊藤先生からは米国中小企業の記帳実務の紹介として、最新版のQuickBooks のデモと、accountingtoday の記事を用いた米国会計事務所の現状に関するレクチャーをして頂きました。


大島先生の、日米の遺産に関する税金の考え方の違いもお聞きして面白かったですが、齊藤先生のQuickBooks最新版のデモで興味深かったのが、もはやオンライン決済システムになっている点です。クレジット・カード社会のアメリカならでは。ということかもしれませんが、決済が主で会計は従。極めて合理的ですが、帳簿の記帳が命であるTKC会員からすると、「うーん。日本も将来、こうなるとすると・・・」と、大いに考えさせられる内容でした。また、accountingtodayの記事解説では、①米国会計事務所業界全体としては不況であること②M&Aにより会計事務所が巨大化することで生き残っていること③ニッチなサービスを展開し、特色ある事務所が伸びていること、という様なご説明を頂きました。何か、米国特有の話があるのかな。と思っていましたが、日本の会計事務所の現状と、ほぼ同じことに、世界的に会計サービスが成熟産業になってきているのかなと、感じた次第です。


ちなみに齊藤先生は、今回のツアーにずっとアテンドして頂いておりました。理由をお聞きしたら、アメリカではこんな会計事務所ツアーなんてなく、こういう機会でもない限り、他の事務所を見学する機会などないので。ということでした・・・血縁的集団なんで、何でも会員にはノウハウ公開!のTKC全国会というのは、本当に世界でも稀な集団なんですね。



所長のブログ


で、夜はタイムズスクエア近くのマリオットホテルに移動し、近くの日本食レストランで大島先生と齊藤先生を囲んで夕食会。全国から集まった先生方と、NYで貴重なお話をさせて頂きました。ただ、まだ時差ボケは治らず・・・


夜中の2時30分に目が覚め、日本のTKC全国会事務局から届いた宿題を並木先生とやることに。結果、良いものが出来たので今となっては良い思い出ですが、強行軍の中の強行軍・・・



明けて9月8日、NY2日目です。この日は2社訪問。


午前中はKPMGのNY事務所



2年ほど前まで、会計士試験の受験仲間が在籍してたので、どんなところかなと期待して向かいました。



所長のブログ


当然ですが、最大手の会計事務所なので一番立派です。竹内先生より「米国における最新税務の諸問題」というタイトルでレクチャーと、事前に送付しておいた質問の回答を頂きました。聞きたかったIFRSに関することについては、担当の方がお休みということで詳細は聞けませんでしたが、やはりIFRSに合わせて、法人税法の改正予定として、棚卸資産のLIFO(後入先出法)廃止が案としては挙がっているものの、まだ何も決まっていない状態ということでした。事前に日本で聞いていた通り、やはり米国でIFRSを全面導入するにはハードルが高いな、と、感じた次第です。



オフィスからの眺めは、それは素晴らしいです。



所長のブログ


さて、NYでの訪問3件目、今回の最後の視察先は JOSEPHSON LUXENBERG KANCE & DOLINGER, PC

です。


米国人だけのローカル事務所で、ローカル企業が顧客ですので、今回の訪問の中で、TKC会員事務所ともっとも近い事務所です。




所長のブログ


事務所内に講義スペースがないということで、近くの(といっても結構歩きましたが)貸会議室でレクチャー。事前に送付しておいた質問をベースに回答頂きました。金融機関と仲が良い!ということがウリだということなので、さっそくどうやって関係構築されたのか、聞いてみました。答えは「ゴルフ」・・・なんと日本的な!


もっとも我々に近い事務所でしたので、ここぞと色々聞いてみましたが、IFRSもBRP(ブルーリボンパネル)も実務感覚としては、事務所として積極的に取り組むつもりはないことが良く分かりました。最大の関心は製造業がなくなり、サービス業中心となったアメリカで、いかに顧客を安定的に獲得していくか。日本から逆にヒントをくれないかと言われた時には、正直、びっくりでした。


ただやはり、中小企業の資金調達については、学ぶべきでしょう。顧客企業の資金調達をすべく、かなり日本的ですが、ゴルフや飲食で関係を構築し、関与先企業が資金を借りて事業展開したい。となれば、全力を尽くす。もちろん、アメリカの金融機関が借入に際し、Audit、Review、Compilationといった決算書の「保証」を会計事務所に求めており、それが会計事務所の収益基盤になっている。という実務があるからこそですが、ここだけはこれから、日本の会計事務所も覚悟を決めてやらなければならない時代に入ったといえるでしょう。


これから我々がやるべきことは・・・やはりドイツ税理士の実務をベースとした「日本版ベシャイニグング」、会計事務所による中小企業の決算書保証業務の確立ですね!!


事務所視察、最後の質問は「How many times do you play golf one year? 」という素晴らしい質問を、同じ関東信越会のO先生が繰り広げ、笑いとともに終わりました、O先生、今回の視察旅行で「自由のおじさん」という称号を手にされました。


そんな感じで、あっという間に過ぎた視察旅行でした。


興味が湧いたという会員先生、来年も企画されるそうですので、ぜひ来年チラシが届きましたら、TKC出版さんへ 申し込みを!




所長のブログ


所長のブログ


所長のブログ