サムスン、TV・スマホで防戦 中国電気大手がシェア急拡大 | 海外ビジネスを考える

サムスン、TV・スマホで防戦 中国電気大手がシェア急拡大



韓国のサムスン電子がスマホや薄型テレビで追われるレノボに追われる。サムスンは日本企業を追いかけ、新興国を足がかりにシェアを拡大してきたが、今度は逆にレノボ・グループやTCL集団などの中国電機大手が新興国でサムスンの牙城を崩しつつある。サムスンは高級機種へのシフトでかわす構えだが、競争力を失った日本企業と同じ道をたどる恐れは残る。


サムスンは中国携帯電話市場で首位に立つが、シェアは低下している。調査会社によると、2013年1~3月の出荷台数シェアは17.0%で、3年前より8.4ポイントも下落した。代わって台頭したのがレノボなどの中国ブランド。中国の薄型テレビ市場では、サムスンの苦戦ぶりがより鮮明だ。


TCLはサムスンと基幹部品の液晶パネルを相互に供給する体制になっており、画像の鮮明さなどでほとんど差はないが、それでいて価格は40インチ型でサムスン製品よりも1千元安い約4千元だ。TCLは東南アジアや中南米などの海外の新興市場でも、12年の出荷台数を前年比70.4%増と大きく伸ばしている。


中国企業は新興国のなかでも所得の高いブラジルに攻勢をかける。レノボは現地電機メーカーのデジブラスグループを1月に買収したうえ、新工場を稼働。ブラジルのパソコン市場で7位前後だったレノボのシェアは3~5年で3位以内に入ると予想される。


レノボのマーケティングはスポーツイベントの広告に巨費を投じるサムスン流をまねる。サッカーのロナウジーニョ選手(ブラジル)、バスケットボールの米NBAコービー・ブライアント選手らスターを広告に使い、北京五輪など巨大イベントのスポンサーになった。後発新興国ミャンマーでは、中国勢の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)がスマホでサムスンを追う。


低価格品中心の中国企業は低収益に苦しむが日本、韓国企業も同様の状態から世界シェアを拡大することで収益力を高めてきた。サムスンを脅かす存在となった中国企業から目が離せない。