繰延資産は、支出に見合う財貨、役務をすでに費消しているため、財産的価値がない。


しかし、その効果が将来にわたって発現すると期待されるために、合理的に期間配分させるために認められていますよね。


そして、これは収益費用アプローチの観点(動態論的思考)によった処理だと思います。


一方、資産負債アプローチに基づけば、繰延資産のうち経済的便益を有すると考えられれば、資産計上も認められると思います。


無形資産論点整理によると、、、


無形資産の本質は、物理的な実体を伴わない資産と考えられ、資産の本質は、将来のキャッシュ・フローの源泉たる経済的資源をもたらすものであると考えられるが、物理的な実体を伴わない繰延資産の性格である、将来にわたって発現する効果の内容も、これと同様に考えられる。


とのこと。


たとえば、開発費のうち資源の開発などは、将来のキャッシュインフローも増やすと思いますし、経済的便益を有すると思うので、これが、識別可能であり、無形資産の認識要件である測定可能性と一定程度の蓋然性が認められれば資産計上されると思います。



ここで疑問に思うのは、経済的便益という文言と財産的価値という文言の相違です。


繰延資産の当面の処理によれば、上述の開発費の例においても、支出既費消であるため財産的価値はないことになります。


しかし、将来のキャッシュインフローの流入を伴うと判断されれば経済的便益はあると思います。


そして、経済的便益があり、無形資産の認識要件をみたすならば、分離して譲渡可能、つまり識別可能であることも考えられますし、だとすれば財産的価値(=換金価値)をも有するように思えます。


この辺がなんか矛盾しているように感じます。


IFRSでも開発費の一部は無形資産として資産計上してるみたいですし。


繰延資産に財産的価値がないと言い切っていいのでしょうか?