増税前に揺れる心 駆け込み消費9兆円超の衝動
2013/12/17 7:00日本経済新聞 電子版
前回の消費税率引き上げは1997年。その時には駆け込み消費(需要)が盛り上がったが、今回はどんな選択を消費者はするのだろうか。5%から8%へ――。来春の消費増税に向けカウントダウンが進むなか、考えてみた。
■前回の1.7倍の争奪戦
97年の増税直前の3月31日は平日だった。当時を振り返るとスーパーの店内は週末のような混雑ぶり。「少しでも余計な支出をしたくない」「税率が上がる前に買っておきたい」と一世帯が一つ余計にモノを買うだけで、駆け込みの需要は瞬く間に数千万個のボリュームになる。メーカーや小売店は品切れしないようにせっせと商品を供給したため、駆け込み消費が盛り上がった。
前回の消費税引き上げの時は、直前に冷凍食品などをまとめ買いする消費者の姿が見られた(1997年3月30日、横浜市のイトーヨーカ堂鶴見店)
では、来春はどうだろうか。電通の試算によると駆け込み需要の規模は9兆3000億円になるという。前回の消費増税時と比べると1.7倍の規模だ。住宅・リフォームや自動車など高額品だけでなく、化粧品や冷凍食品など全部で23の商品分野を幅広くカバーして予測したという。
内訳を見てみよう。9兆3000億円のうち21%に当たる約2兆円を高額の住宅・リフォーム関連が占める。ファッション衣料も前回と比べると5割増しの1兆6200億円。情報家電も3割増の1兆円に達する見込み。また試算では増税の1カ月間が駆け込みのピークになる見通しだ。
住宅は注文住宅の場合、2013年9月までに契約すれば、完成・引き渡しが14年4月以降でも現行の消費税5%が適用されることになっている。このため7~9月期の国内総生産(GDP、2次速報値)の住宅投資は駆け込み需要で前期比2.6%増えた。11月の新車販売台数も前年同月比16.1%増の45万7370台。3カ月連続で前年実績を上回っている。
さて消費者はどう対応しようと考えているだろう。消費増税を前に悩みもあるはずだ。
「保存食品にも消費期限がある」「日用品もあまり古くなると気持ちよく使えない」。しかも「買いだめする資金的余裕や保管スペースには限界がある」。そこに「もしかしたら増税後の売り上げ不振をカバーしようと小売店が大きな特売をするかもしれない……」という不安が重なってくる。
それで「事前に買っておくべきだという『焦り』と、増税後に買った方が特売や新商品で得をするかもしれないという『冷静さ』との間で、揺れながら消費行動を選ぶことになる」(電通総研の袖川芳之研究主幹)という。
今回の消費増税直前の日並びはとカレンダーをめくってみた。3月29日と30日は土曜日と日曜日の週末にあたる。いわば「駆け込みサタデー&サンデー」。そして31日は月曜日ながら最後の1日。1日限りの特別セールも予想される。29~31日は駆け込み消費の最後の大波になりそうだ。
■反動減の谷の深さは?
ただ、不透明なのは今回の消費税率アップは来年4月の1回きりではなく、その1年半後の15年10月に2段階で予定されていることだ。電通の調査では、税率が8%になる来年4月より10%に上がる15年10月の方が「非常に圧迫感がある」とする人が多かった。1ケタから2ケタに税率のケタが上がることに対する心理的抵抗が大きいことがうかがえる。
来春の駆け込み後の反動減に関して博報堂は簡便性の高い中食や外食、嗜好品、趣味・レジャー・ファッションのカテゴリーで支出を抑える動きが強まるとみている。「前回は3カ月ほどで反動減は回復した」(博報堂の消費税対策研究プロジェクトの辻田敏宏リーダー)ものの、今回は2段階増税の影響で先が見通せないのが消費者にとっても小売店にとっても共通の悩みだ。
所得が伸び悩む中、限られた財布の中身と相談しながら消費者は当然の結果として無駄のモノや衝動買いを減らし、本当に必要なもの、自分にとって価値のあるものを選ぶようになる。堅実性は増すはずであり、増税を挟んだ消費動向から目が離せない。
(日経新聞 消費産業部次長 白鳥和生)
意欲指数なんて・・・参考にならない・・
3カ月ほどで反動減は回復した??? ありえない・・
あの時の、売り上げの落ち込み、反動を全くいれていない・・
経済が・・・増税後・・
どんなに大変な事になったか・・特集してほしいね・・
どんな状態だったか具体的にね・・・
現場に居た人間は・・忘れないよ・・