鳩山氏は国家の統治システムを壊した!!?? | 東京リーシングと土地活用戦記

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花岡信昭メールマガジン810号【2010・6・20】★★


<<鳩山氏は国家の統治システムを壊した>>


 鳩山由紀夫氏が首相を辞めなくてはならなかった理由について、どうもはっきりとした指摘が出ていない。メディアも識者も避けているように見える。

 本当のことをいってしまうと、日本政治の水準があからさまに分かってしまうからだろう。だから、こういうメルマガなら、直截的に書けるのかもしれない。

 鳩山氏が首相辞任に追い込まれたのは、普天間問題の迷走で社民党が連立離脱したことの責任を取ることと、「政治とカネ」の問題によるといわれている。

 本人もそう言っている。だが、本来、いわなくてはいけないことは、首相という一国の政治リーダーたる資格、資質、教養を決定的に欠いていたという点ではないか。

 実母から毎月1500万円もらっていて、それを知らなかったという「子供手当て」問題など、どうでもいい。いってみれば、鳩山家がときの総理大臣を出すまでにいたったのだから、鳩山家で面倒をみてきた甲斐があったというものだ。

 この問題が明るみに出て、側近は、「田園調布のお屋敷を売却することをお考えください」とおそるおそる進言した。

 母親からの贈与であることを認め、贈与税を支払うのが一番いいという判断による。

 「どのくらい必要なのか」

 「6億円ちょっとです」

 「そのくらいなら、家を売らなくても大丈夫だよ」


 そういったやりとりがあったといわれる。側近はそのあまりのあっけらかんとした物言いにのけぞったという。

 普通の人の感覚なら6億円といわれれば、田園調布の屋敷を売り払わなければ無理と思うのが当然だ。それがそうでなかったところに、鳩山家なるものの尋常ならざる所以がある。

 いってみれば、「井戸塀政治家」の極致にあったのであり、このあたりはわれら下々の人間には理解不能領域だ。

 まあ、金持ちというのはいつの時代にもいるのであって、そのおぼっちゃまが首相になったのだから、「政治とカネ」の問題としてひとくくりにするのも無理がある。次元の違う世界の人たちがやったことなのだ。

 首相としての致命的な問題は、むしろ別のところにあった。いうまでもなく普天間問題だ。

 それも「県外・国外移設」という当初の公約を果たせなかった、3党連立が壊れた、といった経緯はどうでもいい。政治にウソはつきものなのであって、公約通りにいかなかったことを責め立てるのはこれまた無理がある。

 一番の問題は国家の統治構造をがたがたにしてしまったことだ。システムとしても意識のうえにおいても、である。

 およそ、外交・安全保障というのは国家の基幹政策である。それは国家・国民に責任を持つ首相が最高の政治決断をしなければいけない。

 だから、首相は自衛隊の最高指揮官なのだ。今の世の中では、だれも戦争などないと思っているが、国家というのは、必要に迫られて戦争に打って出ることがまったくないとはいえない。

 これはいかに憲法9条という「平和憲法」を持っている日本であっても、同様だ。というよりも、現憲法の解釈でも「専守防衛」という名の戦争行為は認めているのである。

 だから、内閣総理大臣の最高の意思決定は「開戦の決断」にある。その基本的な、あるいは当然の心構えがない政治家は、首相になってはいけない。


 死刑執行書にサインしない人が法相になってはいけないのと同様だ。自分の代でサインしなかったら、次の法相が大量にサインしなければならなくなる。

 鳩山氏には国家リーダーとしての最高意思とでもいうべき心備えが完全に欠落していた。普天間移設を通常の政治課題と同じ次元でとらえてしまった。

 外交・安保政策は現実のものだ。将来の理想像などを頭に描いて行動されては困ることになる。

 徳之島の3人の町長が声高に「基地反対」を叫び、あろうことか、首相官邸にまで乗り込んできて、首相に直談判するという、あってはならないことまで認めてしまった。

 この3人の町長には「分際」という言葉が理解できないらしい。国家の安全保障に関する最高の政治判断が必要とされるテーマなのであって、町長ごときが、とあえていうが、生意気な口をきいていい話ではない。

 鳩山氏が首相として致命的な失態を演じたのは、このシーンにあった。沖縄の米軍は日本の安全保障のためにだけ存在するのではない。東アジアの安定と平和を担保する最も重要な部隊である。

 それを、首相と地元町長との話し合いで決めるようなことがあっては、断じてならない。これは統治システムを根底から覆すことになる。

 3人の町長の基本的資質を問う声がまったく聞かれないのはどういうことか。

 首相の立場にあったら、徳之島移設がどうしても必要だという判断にいたったのであれば、町長ごときが、とまたいうが、いかに反対しようとも断固貫徹する、ぐらいの構えがなくてどうする。

 そうでなければ、国民は国家の安全保障をこの首相に託せないではないか。

 もっとも、普天間移設は4年前に日米合意した名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸部以外にあり得ないというのが、当初から分かっていた話だ。

 鳩山氏も外務省や防衛省の担当者からじっくりと話を聞いて「お勉強」していれば、こういうぶざまな展開にはならなかった。

 かくして、民主党政治が打ち出した「政治主導」なるものを、いかにも低次元のものにおとしめてしまったのである。



あーーーうんざり・・・・・・!!