二人の小学生の会話を耳にした。一人がこう言った。

「もしドラえもんが本当に居たら便利だよな。」

私が小学生の頃、いや私より相当年上の方も小学生の頃はこんな会話をしたことがあるはずだ。私は「いつの時代も子供の会話は変わらぬものだ。」と微笑ましい気持ちになった。
しかし、しかしである。次に出てきたセリフに私は凍りついた。

「どこでもドアがあったら脱北(だっぽく)出来るよね。」

「だっだっぽく~!?」私は腰が砕けそうになった。もう一人の小学生が言葉を返す。

「北朝鮮にどこでもドアはないだろう~。」

いや、どこでもドアはどこの国にもないと思うが。私は彼らの会話を聞いて、なぜが「俺も年をとったな」と思った。

【2003年4月8日に書いた文章を転載】