高校では音楽の授業が楽しかった。
それは、先生が良かったから。

森田恭雄先生、声楽家、オペラ歌手。

テナーからバリトン、
その声に生徒は魅了されてしまった。

教科書は、ほとんど使わなかった。
テキストは、いつも自作のプリント。

蚤の歌、サンライズ・サンセット。
蝶々夫人、サウンドオブミュージック。

オペラとミュージカルばかり。
それが楽しくて仕方なかった。

いま、趣味でカルメンを練習している。
この楽しさは、あの時代に起因する。

1972年5月、日生劇場で上演。
日本で最初のスイートチャリティ。

開演は、午後6時。
先生、さぞかし忙しかったろうな。

昼間は高校生に音楽を教えて、
夜は、ミュージカルに出演する。

ハーマン、ダンスホールの支配人役。

プログラムをオークションでゲット。
2千円は、ボクには安い買物だった。

改めてオークションの意味を知った。

夢や想い出を買うんだね?
だからプライスレスなんだ。

あのジョン・レノンのレインコート、
買ったのは息子のジュリアンだった。

あれも夢と想い出を買ったんだね。
生きてる時には、もらえなかった。

スイートチャリティのポスターが、
音楽教室の後ろの壁に貼られていた。

44年前の記憶が鮮明に思い出される。
まさに、このプログラムの表紙だった。

大切な想い出です・・・。