元々は、

社会心理学などで知られるようになった心理学用語で、

確証バイアス、確証Bias」という言葉があります。

 

この「確証バイアス」というのは、

私達の誰しもが、

物事の原因や理由を考えて行く時に、

必ずと言って良いほど陥ってしまう、

独特の心理的な傾向の事を言います。

 

何かに疑問を感じている時に、

その原因や理由を調べながら追及して行く際には、

必ず陥ってしまうのが、

確証バイアス」という、

無意識のうちに、心の中で抱いてしまう先入観と傾向性

なのです。

 

具体的な例を次に挙げてみますね。

 

例1:最近体調が悪くて、何かの悪い病気なのではないかと家庭医学書などで調べる時


夜に眠れないとか、食欲がないとか、体重が減って来ているなどの症状は、

癌や鬱病や様々な病気の症状と当てはまりますので、

治り難い病気になってしまったのではないかととても心配になった経験は

どなたにもある事でしょう。

 

こういう時には、家庭医学書の中に載っている病気の症状が、

「自分にも当てはまる所がないか?」

という点だけを必死になって探し続けるので、

類似した症状を沢山見つけることが出来てしまうのです。

 

つまり、「重い病気になってしまったに違いない」という先入観から探すと、

類似した症状に、自分でも沢山思い当ってしまう、ということです。

 

これが、一つ目の、世間でも最もよくある「確証バイアス」の例です。

 

 

例2: 何かの犯罪の疑いをかけられて、警察や検察官に取り調べられる時

 

実際に、どのような犯罪を犯したのかにはあまり関係なく、

警察署や検察庁の取り調べ室で尋問される時というのは、

一般的に、

「どうしてこの警官や検察官は、ここまで人を悪く疑うのか?」

という気持ちになるほど、

「お前は悪い人間で犯罪者だ!」と一方的に決めつけて、

最初から最後まで、悪人であると凄いプレッシャーをかけられます。

 

このように、犯罪者であるとか、悪人であると決めつけて、

個性や人権などは除外視して取り調べられる時には、

どんな些細な事であっても犯罪を隠した証拠ではないかと、

あらゆる事が犯罪に関係していると思い込んで尋問されるので、

これも、二つ目の

典型的な「確証バイアス」による先入観がなさせるものです。

 

同じような、「確証バイアス」の先入観によって、

実際の原因は全く別の所にあるかも知れないのに、

わざわざ関連していそうな出来事を荒探しされて、

一方的に、悪者として決めつけられて弾劾や追及を受けるケースが、

現実の、実社会では、数え切れないほど多くあるのです。

 

同性愛者であればエイズではないかと疑われたり、

イスラム教徒であればテロリストではないかと疑われたり、

外国人であれば不法滞在者ではないかと疑われたりすることが、

アメリカやヨーロッパだけでなく、日本でも増えつつあります。

 

例3: 幼い頃から何らかの障害を持った障害者に対して、

「あなたは、生まれつきの障害者なのだから、

こういう事は、あなたには出来るはずがない。」

などと、一方的に決めつけられて差別や偏見を受ける時

 

こういう差別的な偏見で見られる時にも、

それを証明したい側の人は、

悪い例だけを沢山かき集めて、偏見を実証しようとします。

こういう心理的傾向性なども、

典型的な「確証バイアス」の例です。

 

次回のブログでは、

この「確証バイアス」という心理的傾向性が、

なぜ、大半の人達のに起こってしまうのかについて、

最新の脳神経科学に基づいて解説します。