仏教の教えでは、私たちの考え、思うこと、言うこと、行うことのすべてが、業という貯金通帳に蓄えられるとしています。
いいことをすれば貯金通帳はプラスに、悪いことをすればマイナスされます。
とくに、人に知られずに行うよいことには、大きな利子がついて、その貯金も多くなり、その結果もたらされる幸福も大きくなると考えます。
そのため、禅では、人が気がつかないようなところで奉仕したり、功徳を施しなさいといいます。
このことを表している言葉が「陰徳は耳鳴りのごとし」です。
「陰徳」とは、ひそかに行う善行です。
「耳鳴り」とは、自分だけがわかり、人にはわからないという意味です。
「耳鳴り」がしても、自分にはわかりますが、他人にはわかりませんよね。
誰かのためによいことをしたり、助けてあげたりしても、相手から感謝の言葉すらないことが往々にしてあるものです。
そんなとき、「あの恩知らず!」と言いたくもなりますが、それでは、徳を損なってしまいます。
そこはぐっと我慢して、「陰徳は耳鳴りのごとし」と唱えてみましょう。
発想の転換にもなりますし、私たち自身の運を好転させてくれます。