【X'masナイト】 サンタからのプレゼント
(投稿者:ゆこまさん)




私は薬房へ買い出しに来ていた。

明日遠征からヨンが帰ってくる。

(けがをしてるかもしれないわ、足りないものを補充しておかなきゃ。)

薬房を出ると柄の悪い男たちに取り囲まれた。

怖くて身動きがとれない。

(ヨン、助けて!)と目をつぶる。

バタッバタッと音がする。

軽やかに身を躍らせヨンが次々を敵をなぎ倒してゆく。

私の手首をぐっと掴むと自分の方に引き寄せてくる。

「チグンと言ったら走ります。いいですね。・・・チグン!」

ヨンの拳が相手の腹にめり込んだ瞬間思い切り走る。

町はずれまで来ていた。

「全くあなたという人は・・大人しくしておれないのですか。」

「だって明日帰ってくるというから薬を買い足しに来たのよ。でも何故?帰るのは明日のはずじゃ?」

「思ったより早く片付いたので・・飛んで帰って参りました。一刻でも早く顔が見たく・・典医寺にも屋敷にもいないので。探しました。俺がいなければどうなっていたか・・」

「ごめんなさい」

謝る私の頭をポンポンとなでてギュッと抱きしめられる。

「そなたは俺の大事な人です。そのことをお忘れなきよう。典医寺までお送りします。王様に謁見しますので終わり次第迎えに参ります。」

私はヨンの香りに包まれうっとりと眼を閉じた。

「さあ、饅頭でも買って帰りましょう。」

手を取り合って歩き出す。

(あ、足くじいたかも・・)

ヨンは足を引きずる私に気付くと「全く手間のかかるお人だ」と笑うと私を抱き上げた。

「恥ずかしいから・・歩けるわ。」

「俺がこうしたいのです。大人しくなさってください。」

蕩けそうな眸で見つめられ、私はヨンの胸に頭を預けた。

すると空からひらひらと白いものが降ってきた。

「わあ、初雪よ。一緒に見られたわね。」

二人は嬉しそうに微笑みあった。

夕方、典医寺でウダルチのみんなの診察をしていた。

元気な姿にほっとしてついはしゃいでしまった。

バン!とものすごい勢いで扉が開くと不機嫌な様子でヨンが立っていた。

ウダルチをじろりと睨むとみんなはこそこそ逃げ出した。

ヨンがじわじわと間合いを詰めてくる。

「・・なによ、診察してただけじゃない・・」

逃げられない・・壁まで追い込まれた。

「そなたは俺の気持など何もわかっていない。大事な人だと先ほども申したはず。もう我慢できませぬ。」

ヨンは私の顎に手をかけると優しく口づけた。

だんだん息もつかせぬほどに深くなる・・私は耐え切れず溶けそうになる。

「・・そなたを思い切り抱きたい。早く屋敷へ帰りましょう。」

耳元に舌を這わせながら囁かれる。

屋敷へ戻るとヨンは「よろしいですね。」と熱い眸で見つめてくる。

抱き上げると荒々しく閨の扉を蹴り開けた。

翌朝ヨンの腕の中で目が覚める。

額、眉、筋の通った鼻、ふっくらと厚い唇。

そして私の好きな長い睫毛にそっと触れる。

(ああ、幸せだな)

ふと窓の外をみるとキラキラ光っている。

何かしら、とそっと布団から抜け出し外を見る。

(わあ、いつの間にこんなに)

外は一面の銀世界だった。

(確かこのキラキラしたの・・ダイヤモンドダストよね。きれい・・)

「何を見ておられるのですか」

後ろから愛しい人に抱きしめられた。

「ダイヤモンドダストよ、ヨン!」

「だいや・・何です?」

「ん~、小さな氷の結晶よ。きれいでしょ。」

「俺にはそなたのほうがよほどきれいです。」

そういうと首筋に口づけた。


-------------------------

ゆこまさんのX'masナイト

素晴らしい
この文才…

見事に1つのお話になっているように見えて、15個以上 というよくばりオーダーをふんだんに盛り込んでおります

ほんわかムードに、欲張りなゆこまさんの注文を見逃してしまうほどの、素敵なお話でした

いいなぁ、私も、ゆこまさんが書いてくれた、このお話のストーリー、ぜひ体験したいです

悪党に助けられる
チグン使う
手を引かれ逃げる
頭ポンポンされる
街中で抱きしめられる
饅頭もらう
手をつなぐ
お姫様抱っこ
共に雪を見る
嫉妬
壁に追い込まれる
顎くい
深い口づけ
耳元で囁かれる
閨の扉蹴り上げ
ヨン顔パーツチェック
しっかりラブラブで致す


でも、どれも、これも、
すごくイイです

やってほしい(涙目)

これでもかと、乙女のくすぐりポイントを詰め込んだ素敵なお話でした



  チェヨンの帰京

チェヨンは逸る思いで、遠征先から馬を飛ばし開京へと向かっていた

此度の任務は危険が伴うものであった

ゆこまは、何も俺に告げる事はなかったが、おそらくその事を、分かっていたのだろう

出立ちの日ゆこまが俺に向けた、その目が…心配と不安で、張り裂けそうな胸の内を、語りかけていた

無理をしていないだろうか、笑顔を忘れていないだろうか

ゆこまの笑顔がとにかく早く見たくて、屋敷へと向かった俺に、下働きのミンスが、ゆこまの不在を告げた

聞けば俺の手当てのためにと、街に出たというではないか

まったく、大人しく屋敷で待っておれば良いものを…あの方はじっとしておるという簡単な事が、何故出来ぬのだと笑いが漏れる

街に出れば、ゆこまがたちの悪い男どもに取り囲まれていた

はっ…

あなたはどこに行ってもそのように、悪目立ちして…

まったく、男の目を引く美貌だという事を、あなた自身が、もっと自覚して欲しい

ゆこまがそこに居るだけで、周りの者たちは目を離せなくなってしまう、気になり近寄ろうと付け狙う

俺の気をどこまで、ハラハラさせれば気が済むのだ

恐怖で目をつぶる、ゆこまの前に立ちはだかり、狼藉を働く男どもを、なぎ押していく

この方はお前たちなどに、相手が出来るような女じゃない、俺ですら手を焼いておるのだ

この程度なら、剣など使うまでもない、さっさと消え失せろ!

ここは街中だ
俺の身分が知れれば、厄介だ

ゆこまの手首を掴み上げ、俺の方に引き寄せ、耳元で囁く

「チグンと言ったら走ります。いいですね。・・・チグン!」

逃げようと身を翻した瞬間、大きな男が殴りかかってきた。この者たちの頭(かしら)だろうか…太り体格の良いそいつの腹に、思い切り拳を突き付ける

そいつらがひるんだ瞬間、俺は、ゆこまの手を引いて、そのまま、街の中を颯爽と走り抜けた

「ハァ…ハァ…ハァ…」

ゆこまがあがった息を整える

「全くあなたという人は・・大人しくしておれないのですか。」

本当にどこまで心配させれば気が済むのだ…これでは、安心して遠征など行けるものか

俺にとっては、戦いに行く恐怖より、ゆこまを一人残して行くことが、どんなに気が重い事か…

「だって明日帰ってくるというから薬を買い足しに来たのよ。でも何故?帰るのは明日のはずじゃ?」

薬など買いに出るくらいなら、屋敷で大人しく待っていてくれる、それのがよほど俺の薬になる

「思ったより早く片付いたので・・飛んで帰って参りました。一刻でも早く顔が見たく・・典医寺にも屋敷にもいないので。探しました。俺がいなければどうなっていたか・・」

「ごめんなさい」

俺は胸が心配で痛み、あなたのせいで病んでしまいそうだ…薬なんかより、もっと良薬があるだろう…

そう心の中でチェヨンは呟いて

謝るゆこまの頭をポンポンとなでて、ギュッと抱きしめた

ゆこまをこの腕に抱きしめれる、その事だけで、十分俺の心は癒されるのだから…

ゆこま、あなたが
俺の最高の良薬なのです

腕の中の愛しい妻、ゆこまの温かさを感じて、チェヨンは腕に力を入れ強く抱き寄せた


ゆこまさんへのお礼のお話です
本当にありがとうございました


シンイでX'masナイト応援してください…どうぞポチッとクリックの協力宜しくお願いいたします。




にほんブログ村