この夏、「飯田線の活性化」がらみで県外からのお客様をご案内した時のこと。

 時間調整をするべく、ある橋をご案内することにしました。

 春日街道を北上し、セブンイレブンの脇から「西天竜幹線水路」沿いに南下すると…

橋の上

 6トンまでの重量制限がありますね。

 これ、水路が中に通っている橋なんです。

 かつては西天竜幹線水路の一部でありました。

 下に降りてみますよ。

遠景

 この橋の名は「(旧)深沢川水路橋」地図)。(別名「八乙女水路橋」)

見上げる

 見てのとおり、かなりの年代もの。

石灰質

 ネットのすき間から石灰質?がたれています。

注意書き

 天竜川右岸(※ 上流から下流を見て右側が右岸です。)を穀倉地帯として発展させた西天竜幹線水路は、1928年(昭和3年)に完成。

 天竜川の水を岡谷市川岸で取水し、伊那市の小沢川まで約26kmもの距離を運んでいます。

 ところが、箕輪町に入ると、どうしても深沢川を渡らなくてはならない。

 そこで、水を運ぶ橋を造ったわけですね。

東側

 新幹線の高架などでおなじみの、こうした構造の橋を「ラーメン橋」というそうで、耐震性に優れているそうです。

 なかなか壮観ではありませんか。

車

 ところが、この水路橋、管理が大変だそうで、1938年(昭和13年)にはサイホン(水路を地下に潜らせて谷を渡る)方式に変更されてしまいました。

 わずか十年ほどで水路橋としての役目は終わってしまいましたが、八乙女地区の強いご要望があり、現在は町道として利用されています。

斜めから

 広大な農村地帯の真ん中に、突如現れる鉄筋コンクリートの橋。(※ 高速道路からも見えます。)

 映画「さよなら、クロ」のロケ地となるなど、八乙女地区のシンボルともいえるこの橋は、「近代土木遺産」「信濃の橋百選」にも選ばれた、大変歴史的価値の高い橋なのでした。

 春日街道を通る際、ぜひお立ち寄りください。

 この橋の歴史をすらすら言えたら、きっと株が上がりますよ。 (momo)