最近、上伊那郡内の出張はできるだけ午後に組むことにしており、お昼休みを使って現地の名物料理を食べ歩くのがマイブーム。
この日は、駒ヶ根市への出張ということで、駒ヶ根駅前の水車さんでお昼を食べることにしました。
私の半分しか生きていない部下は、駒ヶ根のソウルフード「ソースかつ丼」を注文。
そのレポートは前回の記事のとおりですが、私にはどうしても気になるどんぶりがありました。
「井月丼」
いげつどんではありません。せいげつどんです(笑)
井月といえば、幕末から明治にかけて伊那谷を中心に活動し、放浪と漂泊を主題とした俳句を読み続けた俳人「井上井月」(いのうえせいげつ)のことではありませんか。
私は伊那に赴任するまでその名を知りませんでしたが、後世の芥川龍之介や種田山頭火などにも影響を与えた偉大な俳人なのだそうです。
その俳人とどんな縁があるどんぶりなのだろう。
壁に貼られたチラシにちゃーんと解説がありました。
「 井上井月は、天竜川の鰍(かじか)・能登ぶり・松茸の塩漬・茄子漬などを好み、特に冬のいのしし鍋は薬喰いと言って格別に喜びました。 「漂泊の俳人 井上井月記」(中井三好著)より
癖がなくサラッとした味わいは若い方や女性にも人気です。ビタミンB1や不飽和脂肪酸を多く含むいのしし肉のどんぶりです。どうぞ当店の(くすり喰い)をご笑味下さい。」
(※「ご笑味」という言い回しが洒落てますね。)
ほぉ、井月は冬のいのしし鍋が無類の好物だったんですね。
そして、栄養価が高いので、まるで薬を喰っているようだとたとえたわけですか。
実に面白い!これ食べたい。
近代の食べ物は部下に任せて、私は迷うことなく井月丼を注文。
幕末から現代まで百五十年ほどの時を経て、井月のいのしし鍋への想いは駒ヶ根駅前で松本出身のおっちゃんに受け継がれるのでしたw
しばらくすると井月丼(950円)が姿を現しました。
ルックスは結構地味。いのしし肉と牛蒡が煮てあるのかな。
ねぎは斜め切りと白髪ねぎの2種類の切り方で乗っています。
そして半熟卵。いただきましょう。
おぉっ、香ばしい。 煮たのではなく、どうやら炒めてあるようです。
いのしし肉は全然臭くない上に、牛蒡と一緒に炒めたためか、香ばしさが増しています。
そして、このタレ、ねぎ、卵のバランスは、まさにすき焼き風ですね。
冬のいのしし鍋とは、すき焼きのようなものだったのか。
これは素朴で香ばしく、そして風味豊か。実においしい!
ほぉ (いちいちおっちゃんらしいリアクションw)
山椒があります。
こちらのお店はうなぎも出しているので、こういう発想になるのでしょうか。
肉にふりかけて口に入れると…
いのしし肉と牛蒡の香ばしさに山椒の風味が重なると、香りの層が増しますね。
おいしー♪
ご飯には薄味のつゆが程よく染みて、とても食べやすいです。
今日ももちろん完食。
いのしし肉のイメージがイマイチだった私ですが、予想外のおいしさで、大変満足でした。
こちらのお店には、井月丼のほか、井月蕎麦、きじそばなど、珍しい料理があるそうですから、どうぞお試しください。
さて、楽しい時間が終わってしまった。仕事に行かなくちゃ… (momo)
追記)水車さんのメニューは千円弱のものが多いと思ったら、さにあらず。
ランチタイムメニューは500円でコーヒーまで付くのでとてもお徳です。
ソースかつ丼、きじそばの次に食べてみたいと思います。
<割烹食堂 水車>
住 所 長野県駒ヶ根市中央4-19(地図
)
電話番号 0265-83-3635
営業時間 11:30~21:30
定 休 日 年中無休
駐 車 場 駒ヶ根駅前市営駐車場2時間無料
ホームページ http://www.suisha-katudon.com/