この日の出張先は中川村。
中川村について私が知っていることといえば、「日本で最も美しい村」連合に加盟しているということくらいでしょうか。
「日本で最も美しい村」連合は、失ったら二度と取り戻せない日本の農山漁村の景観や文化を守る活動を進めているNPO法人です。
きっとすばらしい景観にめぐり合えるに違いありません。
国道153号を南下し、坂戸峡交差点から天竜川を渡ると、中川村の中心街に向かうことができるそうです。
そろそろ天竜川を渡る頃かな、と思った瞬間、なかなかモダンな橋が私を出迎えてくれました。
坂戸橋です。 (地図 )
手前にちょっとしたスペースがあり、坂戸橋の歴史について展示されていました。
<木橋から吊橋、そして永久橋へ>
冒頭の写真を見てわかるとおり、このあたりの天竜川はとても深い。
古くから、いかにこの橋が大変貴重な交通手段だったかがうかがえます。
記念碑の説明書きによると、その歴史は、災害や戦争との戦いでした。
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<来 歴>
明治22年 最初の木橋を築造するも、その後、洪水で2回流失
明治36年 新式の吊橋を架橋
明治44年 大改造
大正 8年 郡道に編入、その後県道へ
昭和 4年 高坂応平県議が県知事に架替えを請願
昭和 6年 県会承認
昭和 7年 県直営施工
昭和 8年 鉄筋コンクリートアーチ橋開通(現在の坂戸橋)
戦 時 中 親柱が金属供出で切り取られる
平成 3年 親柱・街路灯を復元
平成 3年 補修調査設計
平成4~6年 補修工事
平成22年 国の登録有形文化財に登録
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昭和初期までは、木橋や吊橋だったわけで、この高さの不安定な橋を使って人や物資を運んでいたかと思うと、当時の苦労がしのばれます。
そして、やっと完成した念願の鉄筋コンクリートアーチ橋。この橋には、構造上の大きな特長がありました。
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<特 長>
橋長77.8m、幅員5.5mの鉄筋コンクリートアーチ橋で、当時、この構造の橋としては日本一の規模を誇っていました。
昭和6年竣工の山梨県祝橋の51.5mが最大であった最大支間長(アーチが跨ぐ幅)を70m(1連のみ)まで伸ばしたのです。
その後、岐阜県大牧橋や東京都万年橋がこの記録を上回りましたが、いずれも現存せず、現存するものとしては最大となっています。
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設計者の思い入れを感じさせる近代的なデザイン。
街路灯がなかなかモダンではないですか。
橋を渡った先にも駐車場があり、水神様が祀られていました。
こちらからは、通路を使って数メートル川に降りることができます。
後刻、中川村役場に立ち寄ったところ、敷地内の「基幹集落センター」にマンホールの蓋が。
「坂戸橋の清流と果物」 この橋は村の象徴なのですね。
春になると、桜が開花し、すばらしい景観が楽しめるそうです。
来年の春、また坂戸橋に行ってみましょう。 (momo)