『自分』と『私』の違い | 西守 騎世将『折れないハート』ブログ

『自分』と『私』の違い

今の世の中、『自分』と『私』は国語の文法的に


一人称として同じようなくくりで理解され、使われて


います。


『自分ち』、と『私んち』は同じ意味ですし、


『自分のこと』、『私のこと』も同じ意味。



『私』は一人称でそのままの意味です。


でも、『自分』とはちょっと異なります。



『自分』とは『自』らの『分(ぶ)』と書きますよね。


『分』(ふん、ぶん、ぶ)は、時間やモノのの単位として


理解されていますが、実はこれ、元々は儒教の教えで


『全ての物や人に対する、個々の正しい位置』という意味が


あるんです。



『貴様、その分際で!』というのは


『そのポジションのくせに、なんだ!』という意味だし、


(ぶ)をわきまえよ』というのは


『己のをよく考えなさい』ということ。


『俺の取り分、よこせ』というのも


正しい位置で線引きして私に渡せ』という意味です。



また、ちょっと前に木村拓也主演の『武士の一分(いちぶん)』


いう映画が公開されていましたが、これは


『武士としての心構え、身構えの正しい置きどころ』という


意味です。



ですから、『自分』というのは


『自らの正しい位置』


という意味なんです。



よく『自分探し』と言いますが、『私探し』とは言いませんよね?


『自分探し』とは、『自らのの正しい位置を探す』ということで、


『私探し』だと、単なる迷子です。



では、自分の正しい位置を探す、とは、どういうことでしょうか。



僕は、『自らはどんな人間に成りたいか?』だと思っています。


ですから、方法や手段ではありません。


例えば、松下幸之助さんみたいに成りたい、と思って電気屋さん


始めたって、それだけでは松下幸之助さんみたいには成れません。


また、本田宗一郎さんに憧れてバイクを作っても、これまた


違うと思います。


この人達は、方法や手段ありきで成功したわけではなく、


その人間性が基盤となって成功されました。


その情熱や考え方、人柄などから協力者が増え、また


発想が生まれ、とことん諦めずに続けることによって、


知恵と工夫が生まれ、それが技術や知識になって


いったのだと、僕は思っています。



ですから、例えがどうかは別として、別に電気屋さん、


バイク屋さんでなくとも、寿司を握っていたって、


ビルの窓拭きをしていたって、松下さんや本田さん


になれる、と信じています。



学生さん達と対談していると、多くの人達が


『やりたいことが見つからない』と言います。


もちろん、やりたいことが明確にあればそれにこした


事はありませんが、僕だって元々パイロットや


飛行教官に成りたかったわけではありません。


最初は大工だった親父に言われるがまま、大工として


現場で家建ててました。


大工は大工で面白かったのですが、もっと面白いことが


あるはず、と自分で独立して今の会社を興し、不動産の


仕事を始めました。


ここで家を売るとき、大工だった経験が活きました。



やがてひょんな事からヘリの自家用ライセンスを取り、


中古の古いヘリを買って時々フラ~っと飛んでいたら


人が集まってきて、『ヘリに乗りたい、免許取りたい』と


言われ、今度は操縦士の学校を作りました。



訓練できるヘリポートを作るには、広い土地が必要です。


ここで今度は不動産の知識と経験が活きました。



生徒さんを集めるには、それなりの営業力が必要です。


なにせ特殊な分野ですから。


今度は高額な商品を売ってきた不動産営業の知識と


経験が活きました。



生徒が来ると今度はいろいろな事を教えなきゃいけません。


これは、社員を教育してきた経験が活かされ、また人に


物事を教えるのが自分は好きなんだ、という事を認識しました。



そんなこんなが折り重なって、今の僕がいます。


最初からピンポイントでベストアンサーなんて出ないです。


今まで述べたように、大工→不動産屋→操縦士養成学校


って、全然繋がらない職種であっても、それぞれがきちんと


リンクして、今の僕を支えてくれているんです。



今、サラリーマンやっていたって、OLやってたって、


今の己の本分、つまり『今の本当の正しい位置』で


目いっぱいやる事、目の前にある物事をやりきること、


それこそが自分探しの第一歩なんでしょうね。


一生そのままで終わる事はありませんから。



ちょっと上手くいかなかったり、飽きたり、嫌な思いを


しただけで、『これは違うな』と他へ移っても、また


同じ事を繰り返すだけです。


地味な仕事だって、きつい仕事だって、奥は深いし、


学べる事は山ほどあります。



そんな『自らの正しい位置』、という自分を


見つけるべき、だと僕は思います。






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