武道武術における草履の効用 | 『合気道 MUTSURUGI おむすび会』

『合気道 MUTSURUGI おむすび会』

大阪市で合気道の同好会を開設しました。
特に中高年の方々のために、気楽に参加出来る雰囲気作りをしています。

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僕が年がら年中素足に草履なのは、実際に僕に会う人ならみんな知ってる。
靴を履くことは年に数回しかない。
おかけで靴を履いて5分も歩くと次の日には筋肉痛が起きる。
それはつまり、使用する筋肉が違うということを表している。

武術の要諦と言われるものは様々ある。
姿勢や目付けも要諦ではあるが、動く際の要諦は歩き方である。
日本武術をする人なら誰でも「摺り足」という言葉を知ってるであろう。
泥棒の「抜き足差し足忍び足」と違って、武術では「速さ」も要求される。
よく、「能」の動きを称賛する人もいるが、実は武術ではそれ以上の技量を求められるのである。
当たり前である。命が掛かっているのだから。
今でも北辰一刀流の道場では昔ながらの「豆まき稽古」を行う道場もあるそうである。
北辰一刀流は現代剣道のルーツの一つ。北辰一刀流では突き技を特に重視し得意としている。
この摺り足を使えば突き技の命中精度が格段に増すということである。
ただ北辰一刀流の道場でも、最初から摺り足を使えとは指導しない。
最初のうちは摺り足では現代剣道に通じないからである。
正確さが要求されるようになって、摺り足は必須になるのである。
ある程度の技量が備わってはじめて、摺り足の真価がわかるということだ。
しかし北辰一刀流の道場が摺り足の稽古をすると言っても、いつもやるわけではない。
年に数回、多くて月に一回くらいのものであろう。
そんなもので摺り足が本当に身にはつくはずはない。

僕が草履を履き始めたのは20年前。大阪で暮らしてる時からである。
もちろん普通の職業にはつけない。(笑)
吉野に行ってからも生活の場では草履履きを通していた。山仕事の作業時は地下足袋であった。
冬のさ中に素足だと、周りの人が寒そうな顔をする。
実は草履を履きだして1年目の冬は冷たかった、痛かった。
しかし2年目から平気になった。
人類の歴史においてはほとんど裸足であったわけやし、今でも裸足で暮らす人々もいる。
犬猫だって裸足で道を歩いている。
慣れりゃいいだけである。平気な体になる。人間も強いのである。
効用の一つは、霜焼けはもちろん、冷え性が無くなることである。
なので、冷え性が多いと言われる女性にも、ぜひ草履をおすすめしたい。

武術的な効用はもちろんである。
様々な武術で、「前に出るために蹴りださず膝を抜く」という動作が当たり前に出来るようになる。
いや、それ以外の出方が出来なくなるのである。
走る時も小走り忍者走りになる。(笑)
自分に摺り足が身についたら、他人の歩き方の歪みがわかるようになる。
上下のブレ、左右のブレ、動きの起こりが視える。
相手の動きを観るために必要なことは、自分がヒョコヒョコ動かないことである。
差異を知るためにはまず「基準」が要るのだ。
当然、草履を履いただけでは武術的効用は無い。
草履を履いてかつ観る目を養わなくてはならない。
チンピラみたいな歩き方しててはダメ。

ま、健康になるだけでもいいんじゃないかな。
道着姿や袴姿に運動靴や革靴では格好も悪いし。
買って損は無いと思うよ。