消費者心理とマーケティング -テレビCMの効果No3 Part1- | 消費者心理学とマーケティング - 消費者心理学・消費者行動論の研究より -

消費者心理とマーケティング -テレビCMの効果No3 Part1-

消費者心理とマーケティング -テレビCMの効果No3 として、消費者のCM に対する感情・親密感を通じた効果を主張するモデル を取り上げます。

前回は、消費者がCMに宣伝されている商品に非常に興味を持っていて、しかも充分にメッセージを理解する余裕がある場合に有効なモデル (hierarchy of effects model) を扱いました。また、ELM によって、消費者がしっかりとした情報処理 (例、注意、興味、願望、購買など) を行わないケースの重要性についても取り上げました。

前回のモデルでは、イメージを優先したCM や好感度の高い有名人を使用したCM の効果を説明できません。有名人が宣伝していても商品の価格・品質などは変わりません。

それでは、なぜCM 有名人を使用することや、有名人の好感度が重要なのでしょうか?

今回は、非認知的な要素 (non-cognitive factors) である感情や親密感 (familiarity) の働きについて説明したモデルを紹介します。

ポイントはCM に対する態度(例、好きか嫌いか)(attitude toward advertising (Aad)) ブランドに対する態度 (attitude toward the brands (Ab)) を分離して考えることです (e.g., Batra & Ray, 1986) 

A. CM に対する態度 (Aad) の重要性

CM に対する態度 (Aad) が、その後のブランドに対する態度 (Ab) 形成に大きな影響を与えます。具体例は下記の通りです。

1. 親密感 (familiarity) ブランド選択に影響を与える (e.g., Hoyer & Brown, 1990)

2. 好感度 (Aad) は、CM メッセージを受け入れる程度に影響を与える (e.g., Aaker & Stayman & Hagerty, 1986)。つまり、好感度が高いほど、CM のメッセージを真に受ける可能性が高くなります。

3. 好感度 (Aad) 程度が、CM の情報・刺激を受け入れるフィルターになる (Raaiji, 1989)。つまり、同じメッセージのCM を見ても、CM に対する好感度が高い場合はより好ましく部分を多く知覚しますし、好感度が低い場合は悪い部分を多く知覚したり、知覚する比率が減ります。

B. CMの知覚から購買意図の形成までの流れ

CMの知覚から購買意図の形成までは、下記のような順序をたどります (Mitchell & Olson, 1981を、広告例を用いて修正)

1. 広告メッセージに対するポジティブ・ネガティブな感情の発生

2. 消費者の広告に対する態度(好き、嫌い、親しみやすいなど) (Aad) の形成

3. 消費者のブランドに対する態度 (Ab) の形成

4. 消費者の商品などに対する考え(良い商品など)の形成

5. 消費者の行動(購買など)意欲の形成


Part2へ続く