~玄竜組突入まで10分前....マウロ・ボナッタルート
マウロ「ふぁ~あ・・・」ぼりぼり(滝前に置いてある大樽に肘を乗せながら天然パーマの頭を無造作に掻き散らす)
ちら(樽の上に置いてある砂時計を見る)
マウロ「そろそろ正午か・・・」(好き見切ったスカイブルーの空を見上げる)
兵士「おい、何をしにきた!」
マウロ「ん・・・・」ちら
・・・・・・・・・・・・・・
(少し離れた兵士の前におかっぱの少女とメラルーが立っている)
すあま「あんたに話があるんちゃう。そっちの天然パーマのおっちゃんに用があるんや」
リカ「す、す、す、すあまちゃん、やっぱり危ないよぉ~」あたふた
兵士「畑に戻ってろ。言うことを聞かないと・・」スチャ
マウロ「まぁ、いいじゃないか」スッ(背後から銃口を下げる)
兵士「ボナッタ軍曹・・なんでもこの子供達が軍曹に用事があると」
マウロ「天然パーマは俺だけだって?」にや
兵士「す、すみません」
マウロ「いいさ。それより警備を続けろ」
兵士「ハッ」
ザッザッザ・・(樽の方へ戻っていく)
マウロ「・・・・・・。で、なんの用だい?お嬢ちゃんたち」
すあま「聞きたいことがあるんや」
マウロ「俺にか?」
リカ「・・・・・・・・」こくり(オドオドしながら頷く)
マウロ「聞こうか」
すあま「その爆弾のことや」
マウロ「・・・・・・・・・・」
リカ「・・・・・・・・・」ガクガクガクガク(すあまに腕組みしながら震えている)
マウロ「何を根拠にそんなこと言ってるのか知らないが、余計な憶測はお嬢ちゃん達の大切な家族をパニックに陥れるだけだぜ?」
すあま「せやから爆弾を作ったあんたに直接聞きにきたんやないか」
マウロ「・・・・・・(このおかっぱ・・なぜ俺が作った事を知っている・・・誰かにそれを聞いた口の聞き方だな・・)」
すあま「身代金がきたら、ほんまにその爆弾を解除してくれるんやろな?」
マウロ「・・・・・(クソガキが・・・もうすぐ約束の時間だってのに、村人に問題を起こされちゃ困る・・・ここは適当にやり過ごすか・・)」
すあま「どうなんや?村のみんなに「私の勝手な憶測」を言いふらしてもええんやで」
リカ「パ、パ、パニックになりますが・・いいんですか?」ドキドキ
マウロ「・・・・・(ガキに脅迫されるとは・・・情けねえ)」ぼりぼり(上を見ながら頭を掻き散らす)
すあま「・・・・・・・・・」じー(凝視している)
マウロ「お嬢ちゃんの被害妄想にひとつ付け加えるのなら・・」
すあま「・・・・・・・・・」じじー
マウロ「約束は守る。それだけだ(悪いな、お嬢ちゃん。どっち道、お前らは農場ごとドカーンだ)」ぼりぼり(右上を見ながら答える)
すあま「・・・・・・・・・」じじじー
マウロ「満足か?分かったらパパとママの所に帰りな」しっし
すあま「・・・・・・・。わかった。いくで、細谷さん」ザッ
リカ「う、うん」ザッ
ザッザッザッザッザッ・・・・・
(村人のいる畑へと戻っていくおかっぱの少女とメラルー)
マウロ「ちっ・・・(あのガキども・・何が狙いだったんだ・・?まさか本当に爆弾のことを言いふらすつもりじゃないだろうな・・・)」
・・・・・・・・・・・・・・・・(村人の所に戻り、おそらく親であろう家族と共に、大人しく座っているおかっぱの少女とメラルー)
マウロ「おいおい。相手はただの田舎村のガキだぜ?被害妄想は俺の方が激しいようだな」ぼりぼり
兵士「ボナッタ軍曹!」(突然背後から名前を呼ばれドキっとする天然パーマ)
マウロ「なんだぁ~!いきなりでかい声で呼ぶんじゃねぇ」ぷんすか
兵士「身代金が到着しました」
マウロ「そ、そうか・・・(ホッ・・)」
兵士「現在確認作業を行っているかと」
マウロ「よし。何処でギルドの狙撃兵が狙ってるか分からねぇからな・・・ここからは慎重に行動するぞ。お前は村人の監視につくんだ。人質に張り付いている限り、連中は手を出せないからな。樽は俺が見張ってる」
兵士「ハッ」
ザッザッザッザッザ・・・・
マウロ「健気なもんだな・・・ほんとに・・(裏切られることも知らずにな・・)」
ザーーーーーーーーーーー
(樽の背後に見える滝の音だけが静かに聞こえる)
マウロ「・・・・・(一億だぜ?そう簡単に分前を譲れるかっての。取り分はこの作戦を考えたブラックモア少尉と、この偉大なる時限爆弾を作った俺様で半々ってわけだ)」にやり
ザッザッザッザッザ・・・
(爆弾の前に立つ)
マウロ「・・・・・(どこぞで全神経を張り巡らせながらこっちを監視しているギルドの連中やクルセイダーズのクソ共を油断させるために、農場内から俺たちは撤退・・・03小隊には後続の警備と嘯き、村に残す・・その間に現金を持った俺と、撤退の盾に使う村長を従えた少尉で村を脱出・・)」
スッ・・(樽を撫でる様に触れる)
マウロ「・・・・・・(小隊の連中には、この爆弾の爆破時刻は俺たち「全員」が撤退後、爆破すると伝えてある。本当はあと十分もしないうちに爆破だけどな・・・そして農場内に残された村人の安否を確認しに接近してくるだろうギルドの特殊部隊の前で、大炎上のフィナーレって寸法だ。ギルドもクルセイダーズも、まさか俺達の仲間が残っている状態で爆弾が爆破するとは夢にも思ってねぇだろうからな・・)」クックックック
ザッザッザッザッザ・・・・
(村の方から橋を渡ってくる一人の兵士)
マウロ「ビンゴだぜ・・・金は運搬したか!?」
兵士「ハッ!少尉にも伝令を放ちました!現金は命令通り麻袋に入れて、二名の監視と共に待機しています!」
マウロ「上出来だ。お前はあっちで村人を監視している連中に撤退を促せ。村人には身代金が来たことをまだ伝えるな。俺達だけで撤退を開始する」
兵士「採掘場のトンネル内にいる同志はどうしましょう?」
マウロ「・・・・・(そうだったな・・・万が一村人がトンネルから退避をしない様、警備につかせておいた連中か・・・どっちだっていいが・・・)」
兵士「軍曹?」
マウロ「トンネル内の連中には俺達が農場から撤退後、密かにトンネルの出口から退避するように指示してある。心配すんな。早いことみんなで大金と共に一杯やろうぜ(悪いがトンネルにいる連中には、中で生き埋めになってもらうぜ)」パチりん(ウィンクしてみせる)
兵士「自分も早く軍曹らと共に酒盃を上げたいものです。では!」
ザッザッザッザッザ・・・・
(意気揚々と畑の方にいる仲間の元へ駆けて行く)
マウロ「・・・・・・(すまねぇな。お前らは俺と少尉にとっては仕事仲間だけであって、プライベートな一杯を分かち合う友じゃないんだよ・・・・・ん・・)」ちら
・・・・・・・・・・・・・・・・
(畑のから視線を飛ばすおかっぱの少女)
マウロ「・・・・・・(あのガキ・・・気にいらねぇ生意気な面しやがって・・・・だが、あのガキの目つき・・・どっかで見た覚えが・・・・)」
兵士「軍曹。撤退を開始しましょう」(隊列している兵士達)
マウロ「そうだな・・・(嬢ちゃん、あばよ。お前さんの言う通り、こいつはとんでもねぇ高濃度の硝酸アンモニウムを詰め込んだ広範囲型の樽爆弾だ。農場はおろか、その爆破の衝撃で氾濫する川の洪水諸共、村ごと崩落しちまいな)」パチりん(おかっぱの少女に向けてウィンクしてみせる)
兵士「いきましょう!」
マウロ「おう!03小隊、撤退だ!!」
ザッザッザッザッザッ・・・・・
(マウロを先頭に農場出入口の架け橋を渡り、村へと入っていく03小隊)
兵士「ご苦労様です!」ビシッ(広場の中央に麻袋を置き待機している二名の兵士が敬礼をする)
マウロ「おう。さて・・一億ゼニーを拝むとするかな」
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・!!
(地震で大地が激しく揺れ動く)
兵士「地震だ!」
「ぎゃあああああああああ・・・・・!!」(畑の方から例の受付嬢の悲鳴があたりにこだまする)
マウロ「またあのガキか・・・だが、これであの悲鳴ともオサラバだな」
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・ゴ・ゴ・・・・・
兵士「・・・・・・・・・・・」
しーーーーーーーーーーん
マウロ「・・・・・・。さ、現金を見せてもらうぜ」
兵士「どうぞ」
マウロ「どれどれ・・・」ガサッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(麻袋の中で大量の札束が詰まっているのが確認出来る)
マウロ「・・・・・・(最高だぜ・・!旧大陸のゲリラ地区で育ったこきたねぇクソガキが、小銭稼ぎの為にはじめた火薬術の技能を活かし、新大陸の外人部隊へ出稼ぎに来てはや数年・・・・まとまった金をこうも簡単にGET出来るなんてな!!)」しっしっしっしっし
ドプーーーーーーーーーン
(目の前の外湯に何かが飛来する)
マウロ「ん・・・?」
兵士「軍曹!集会浴場から狼煙が上がっています!」(皆、そっちに気を取られている)
マウロ「ああ?」
ザボオオオオオオオオン!!
(突如、間欠泉と化す外湯)
マウロ「なんだ!?」
兵士「あちちちち!!」バシャーーーン(吹き上がった熱湯を浴びる兵士達)
マウロ「これは・・・(ギルドの罠か・・!?にしちゃ早すぎる!!)」きょろきょろ
ザボオオオオオオオオオオン!!
(別の場所からも間欠泉が吹き上がった音がする)
マウロ「ファック!!なんだってんだ!?」バッ(麻袋を抱きかかえる)
兵士「軍曹!煙幕です!!」
マウロ「!!」
モワモワモワモワモワ・・・・・
(自分たちのいる場所がすっかり煙に包まれていることに気がつく)
マウロ「これは・・・水蒸気・・・・」スッ・・(手のひらを広げる)
モワモワモワモワモワ・・・・・
マウロ「・・・・・(撹乱だ・・・ギルドかクルセイダーズか知らねぇが、視界を遮り突入を仕掛けてくるつもりなんだ!!)」
ズキューーーーーーーーーーーン
マウロ「!?」バッ
兵士「見張りが撃たれたぞ!!」
兵士「狙撃兵だ!!伏せろぉおおおお!!」
兵士「軍曹をお守りしろ!!」(霧に覆われ視界が悪い中、次々と仲間の声だけが飛び交う)
マウロ「クソが・・・!」ギュッ(麻袋を掴み上げる)
兵士「軍曹!」
マウロ「クソったれがぁああああ!!」バッ(霧の中、自分の方に向かってきた兵士からボウガンを奪い去る)
兵士「軍曹!?」
マウロ「ギルドだろうがクルセイダーズだろうが、ぶっ殺してやらぁあああああ!!」
ガガガガガガガガガガガ
ズキューーーンズキューーーーーーン
(霧の中、見えない敵に発砲しながら突き進んでいく)
マウロ「はぁ・・はぁ・・!!(渡すものか・・金だけは絶対に・・渡すかよ!!)」ダッダッダッダッダッダ
モワモワモワモワモワ・・・・・
(霧の中、広場の隅にある長椅子を見つける)
マウロ「合流ポイント!!少尉は・・・!?」きょろきょろ
モワモワモワモワモワ・・・・・
(依然として上官の姿は見えない)
マウロ「この混沌とした状況を回避する為、先に現金を確保したまま逃走・・・・という判断でもおかしくはないですよね?少尉」にやり
ダッ
マウロ「ヒヒヒヒヒ・・・!!一億だ・・・一億ゼニーがまるまる俺の懐に・・・はっ(殺気・・何処だ!?)」
バッ(集会浴場の方を見上げる)
パノ「・・・・・・・・・・・・」スチャ(霧の中、集会浴場の入り口で逆行を背に受けながら立つ女狙撃手が自分を捕捉しているのを確認する)
マウロ「なっ・・!!」
パノ「・・・・・・・・・・・」カチッ(迷いなくトリガーを引く女狙撃手)
ズキューーーーーーーーーーーン
マウロ「・・・・・・・(思い出したぜ・・・さっきのガキの目・・・スラムにいた頃、福祉センターの口が臭えジジイを睨んでいた、ガキの頃の自分そのものだったんだ)」
チュン(額を貫く弾丸)
マウロ「SHIT」
バタン
マウロ「・・・・・・(人は死と直面すると・・・ガキの頃の記憶が蘇るというが・・・あ~あ・・クソみてぇな人生だったな)」
ドガーーーーーーーーーーン
(薄れゆく意識の中、爆発音だけが微かに聞こえる)
マウロ「・・・・・・・・(死に場所もまたゲリラ状態か・・・俺の成し遂げた事・・・あの最高傑作の遺物と共に・・・みんな・・くたばりやがれ・・・・・)」カクン
モワモワモワモワモワ・・・・・・
「あたちのモンハン日記」
~Sanctuary of extinction~
~マウロ射殺と同時刻、あたちファーム内....すあまルート
すあま「謎や・・ミステリーやで・・」ふむぅ~
リカ「そんなこと言ってる場合じゃないよそれよりさっきの音って、やっぱり銃声だよねぇ~!?どうなっちゃうんだろう、あたし達」めそめそ
すあま「あの天然パーマ・・・」ふむ・・
リカ「ギルドの人達が来たのかな?それで戦闘になってるのかも・・」どきどき
すあま「嘘をつく時、人は右上を見るっちゅうが・・・それがほんまなんやとしたら・・・」ちら
ザーーーーーーーーーーーー
(滝の前にポツンと取り残された大樽)
すあま「約束なんて嘘や・・あの天然パーマ、そもそも解除らしい動きなんてしてへんかった!」
ズキューーーーーーーーーーーン
リカ「また銃声だわ!」
ドガアアアアアアアアアアン
リカ「ひーーーーーーーー!!」ぱたむ(両肉球で頭を抱え、その場に伏せる)
すあま「なんや・・戦闘がはじまったんかいな・・・」
雲平「すあま。今のうちに逃げるぞ」ザッ
すあま「おとうはん・・」
雲平「クサッチーニ君が先導してくれる。採掘場のトンネルから逃げるんだ」(その背後ではみんな立ち上がって採掘場へと走っていく)
すあま「・・・・・・・・・」
リカ「すあまちゃん達も早く~!!」(駆け寄ってきた両親共にいる)
ザバザバザバザバザバザバ・・・・
(畑の横を流れる大河から泳いでくるあやしげな男達の姿)
すあま「ん・・・なんや・・あれ・・・」ちら
雲平「む・・・・」ちら
玄竜「みんな逃げるんだ!!」バシャバシャ(全身ずぶ濡れで岸に上がってくる)
すあま「あれは・・川村んとこのおっちゃん・・・」
ミッチ「皆さん!今のうちに退避を!!」バシャバシャ
すあま「見張りのミッチや・・・そうか・・応援に来てくれたんや!!」(背後では村人が猛然とトンネルへと走って行く)
夜叉亥「砂漠の軍人が戻ってくるかもしれん!!如来衆、橋を封鎖しろ!!」バシャバシャバシャ・・(あやしげなブルファンゴマスクを被った大男と共に、これまたあやしげなやたらと図体がでかい僧侶達が岸に上がってくる)
すあま「誰や・・あれ・・」
雲平「あれは・・渓流に潜む破戒僧・・・・玄竜が連れてきたのか!」
玄竜「急げ!!橋は我らが封鎖する!!みんな早く逃げろ!!」(身振り手振りで村人を先導している。その後ろでは破戒僧達が猛ダッシュで橋へと走っていく)
すあま「川村のおっちゃん・・・まともやん・・」あっけらかぁ~ん・・
雲平「普段はおどけて見せているが、いざとなったら如何なる困難にも立ち向かう狩人・・それが私の誇れる同級生、川村玄竜という男だ。お前も誉に思うだろう?自分の通う学校長があの様に勇ましい男でな」
すあま「え」
玄竜「母さん!!さぁ、私に構わず行くんだ!!」(駆け寄るまさ子と抱擁し合う)
雲平「川村玄竜。現バベル中学の校長だ」
すあま「うそーーーーーーーーーーーん」
コノハ「ヨッコさぁ~~~~~ん!!」(トンネルの方から声がする)
すあま「遅番のおねえはん・・・・みんな・・・みんな来てくれたんや・・」ほろ・・
雲平「さぁ、すあま。我々もいくぞ」ザッ
すあま「待って、おとうはん!」
ぱぁ~~~~ぷぅ~~~~~~
(農場内に響き渡る角笛の音)
雲平「なんだ、すあま」ワアアアアアアア(村人がこぞって走りだしている)
すあま「おとうはん、先に行って!!」ワアアアアアアア
雲平「なんだと・・?」
すあま「私は川村の・・校長先生に伝えなあかんことがあるんや!!」ドシャーーーン(その背後の奥に颯爽と舞い降りて来た金色の雌火竜)
To Be Continued
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次回「あたちのモンハン日記」ザ・ストーリーモードはぁ~
1/6(火)0時更新 「最強タッグじゃないですか」の巻
をお送り致します♪今年も読もう叫ぼうのたうち回ろう