~渓流、狩猟エリア外、森林地区
??「離せぇ~!!クソ!!ロープをほどきやがれぇ~~!!」グングン(大木にロープで縛られ拘束されている黒い軍服姿の白人男性)
僧侶「法師様、樹液を塗りますか?」(片手に木のバケツを持ち、袈裟を纏った坊主。背中には浮岳槍(でっかい数珠が盾、錫杖型の槍)を背負っている)
夜叉亥「構わん、濡れ」
僧侶「ハッ」ペチョリ~ん(バケツたっぷりの樹液をハケでひらう)
??「ヘイヘイちょと待て・・!一体何を・・・やめろぉ!!」ベチャベチャ(縛られたまま全身に樹液を塗られていく)
夜叉亥「よし。もういいだろう」
僧侶「ハッ」
??「てめぇら!!如来衆だな!?」グングン(暴れるも自身を拘束するロープは見るからに強靭な為、びくともしない)
夜叉亥「如何にも。我らが夢幻如来衆だ」
??「俺に何を塗りやがった!?」
夜叉亥「この渓流に潜むあらゆる虫、甲虫種が好む樹液だ」
??「なっ・・!?」
夜叉亥「樹液たっぷりの全身を虫共にかじられたくなければ、我らの質問に嘘偽りなく答えよ」
カサカサカサ・・・
(男が縛られている大木の上から早くも樹液を嗅ぎつけた「何か」の音がする)
??「ひっ・・・・」(上を見上げる)
夜叉亥「樹液を好むのは虫だけではないぞ」ちら(目配せをする)
??「はっ・・」
ぼへぇ~~~~~ん
(辺りの木々から「何やら怪しげな生物」が目を光らせている)
??「クソ猪野郎がぁ!!てめぇが渓流の破戒僧で有名な、あの夜叉亥だな!?」
夜叉亥「ブホッ(笑)だが決して破戒ではないぞ?戒律とは常に我の方寸にあり、その秩序を乱す者にのみ、我が棟梁、邪羅尼様に代わり制裁を下すのが私の責務だ」
??「ケッ!マフィアのクソ尼がてめぇらの聖母だってのか!?笑わせんな!!それより俺に何を聞きたいってんだ!?早くしろ!!」
夜叉亥「うむ。貴様が砂漠の艦隊所属、通称「アイアンダン」こと、ガストン=ダンだな?」
ガストン「ああ!その通りだよ!!それとてめぇらだな!?ニャゲハ(火山付近の地下クラブ)で飲んでた俺の酒に睡眠薬を入れやがったのは!?」
夜叉亥「あの地下の酒場には我らの「顧客」が多くてな。そのうちの一人から貴様が酒場に現れたという通報を受けたのだ」
ガストン「そうか・・・情報屋のメラルー、“ファッキン”ジェイソンの野郎だな!?あのクソ猫、てめぇらがこの渓流で栽培してるマジックマッシュルームのバイヤーだったのか・・・そして一人で飲んでいた俺の酒に睡眠薬を入れやがったのもあの野郎の仕業・・・気がつけば、この大木にぐるぐる巻きってわけだ。チキショー!!クソが!!」
夜叉亥「貴様、昨晩もニャゲハに現れたそうだな」
ガストン「ああ、そうだよ。すっかりあそこのダンサーにイカれちまってな。禁欲主義のてめぇらには分からねぇ境地だろうぜ」
夜叉亥「問題は昨晩、酔っ払った貴様が流言していた内容についてだ」
ガストン「・・・・・・ああ?なんだっけなぁ・・・」
夜叉亥「やれ」
僧侶「ハイーーーーーーーーー!!」ゴスン(錫杖型の槍でガストンの腹部を突く)
ガストン「うぷっ」
夜叉亥「血を吐けば、その匂いを嗅ぎつけた野生の迅竜も現れるぞ?いくら砂漠の軍人である貴様でも、その身動き出来ない体では狩猟は出来まい。さぁ、答えろ。昨日、貴様が酒場で言っていた目撃談についてだ」
ガストン「ハァ・・ハァ・・・分かった・・話すから、もうその物騒な槍で突付くんじゃねぇ」
僧侶「・・・・・・・・・・」ゴイン(槍を納刀する)
ガストン「目撃談ってのは、昨晩、俺がこの渓流で見た、全身ウルク装備のツンドラマフィアのことか?」
夜叉亥「そうだ。本当に「凍土の配下」をこの渓流で見たのか?」
ガストン「ああ、見たぜ。しかも何やら背中に樽を背負ってたな。何か「ブツ」を入れて走り去っていたが・・・それが何かてめぇらと関係あるのか?」ちら
夜叉亥「偶然にも昨晩、我らの所持する、とある採取エリアにて不遜にもそこで盗みをした者がいるのだ」
ガストン「ほぉ・・・それが俺の見たツンドラマフィアだって話しか。要するにだ!てめぇらの相手はこの俺じゃなくって、大事な商売品を盗んだエヴァーウィンターナイツだろうが!!分かったら離せ!!」
夜叉亥「なぜ「商売品」だと分かる?私はそうは言っていないぞ」
ガストン「そ、それは・・・」
夜叉亥「それから・・ぐっすり眠った貴様を地下酒場より運ぶ途中に、こんなものが貴様の懐から落ちてきた」スッ(手のひらサイズの香木を出す)
ガストン「!!」
夜叉亥「なぜ貴様が、昨晩盗まれた物と同じ「伽羅」を持っている?答えは簡単だ。貴様が凍土のマフィアの犯行と見せかける為に、奴らの人型配下であるツンドラマフィアの扮装を施し、我らの所持する沈香採取ポイントに侵入し、そして盗みを犯した。なぜ貴様が「アイアンダン」と呼ばれるのか・・それは貴様がランナー、腹減り無効、そして運搬の達人を備えた、鋼鉄の心臓を持つ運び屋だからだ」
ガストン「証拠がねぇ!!その香木だって・・偶然拾ったんだ!!」
夜叉亥「最初に言ったはずだ。嘘偽りなく話せと・・さもなくば・・」ちら(森林の奥深くを見る)
ドスッドスッ・・・・
ガストン「この足音は・・・アオアシラか!!」
夜叉亥「貴様に塗った樹液にはハチミツも含まれている。知っての通り、青熊獣の好物はハチミツだ。さぁ、答えろ。今回の貴様の犯行は単独犯によるものなのか、それとも他の誰かが画策したものなのか」
ガストン「そ、それは・・・・」
夜叉亥「早く決断しろ。凶暴なまでに飢えた青熊獣がここに来るまで時間はない。我らが貴様の縄を解いてやれる前に全てを話せ」
ガストン「・・・・・・・・!!」
ドスッドスッ・・・・
夜叉亥「答えろ」
ガストン「ハァ・・ハァ・・・・・」ちら(足元を見る)
ガサガサ・・ガサガサ・・・!!
(オルタロスをはじめ、得体の知れない虫達が足を登ってくる)
ガストン「分かった!!答える!!答えるからロープを解けぇ!!」するする(首元をヤスデが這う)
夜叉亥「その前に共犯者とその目論見、そして伽羅の入った樽を何処に隠したか答えろ」
ドスッ・・ドスッ・・・
(暗がりの森林からよだれを垂らしたアオアシラの光る目が見える)
ガストン「ひぃ・・・考えたのはビルだ!!」シャカシャカシャカ・・(顔の上をにが虫の隊列が這ってくる)
夜叉亥「誰だ、そいつは」
ガストン「ビル・バートン、通称「ショットガンビル」!!俺と同じブラックガーディアンの傭兵だ!!そいつが今回の作戦を考えた張本人だ!!」
夜叉亥「その目的は?」
ガストン「この前起きたニャンゴラでの解放戦争を傍観していた渓流と凍土の勢力を相打ちさせる為だ!!俺がツンドラマフィアに紛争し、あんたらの香木を樽に入れ盗み、それをエヴァーウィンターナイツの縄張りである永久凍土付近の高山に捨てる!!そして俺が至る酒場で樽を背負ったツンドラマフィアの目撃談を流言し、犯行を連中の仕業に見せかける!!俺の役目はそれだけだ!!信じてくれ!!ひぃ~!!」カリカリカリ(足元に張り付いているオルタロスが樹液たっぷりの太ももをかじる音がする)
夜叉亥「伽羅の採取場所をどこで知った?」
ガストン「ビルがあんたらから香木を買ったロックラックの金持ち爺さんから香木を盗んだんだ!!その香木を鼻の利くファンゴに嗅がせ、この渓流で誘導させたんだ!!あんたらの香木は他にはねぇ独特な香りを発するからな!!」
夜叉亥「伽羅の入った樽は永久凍土の高山の何処に捨てた?」
ガストン「覚えちゃいねぇ!!奴らの縄張りなら何処でも良かったんだ!!今頃はブリザードでとっくに雪に埋もれちまってるだろうよ!!だが、人型のツンドラマフィア共は知ってのとおり、永久凍土に古くから存在する先住民族がその構成員の全てだ!!連中はブリザードだろうが極寒だろうが関係なく、鼻と目が利く!!雪上ではハンターのスキルをも上回る超人なんだ!!」
夜叉亥「・・・・・・・」
ガストン「奴らが雪に埋もれる「お宝」を見つけ出すのも時間の問題だ!!そうなれば連中はあんたらの香木を別ルートで売りさばくに違いねぇ!!しかも香木の目利きが出来ねぇから、でたらめな価格設定でな!!そんなもんが市場に出回れば、一番被害を受けるのはあんたらだぜ!?今まで扱ってきた顧客の信頼も失うしな!!」
夜叉亥「そこで樽を探しに永久凍土へ出向いた我らとツンドラマフィアが交戦し、それを機に抗争が開始する・・また、連中が伽羅を売買しても我らの間に軋轢は生じざる得ない・・・とんだ二虎競食の計というわけか」
ガストン「俺を生かしてくれたら、もう一度高山に行き、連中よりも早く樽を探してやるよ!!なぁ!?悪くねぇ取引だろ!?」
夜叉亥「・・・・・。そうなっては貴様はビルを裏切ることになる。となれば、奴の隠れ家を話しても今更問題はなかろう?」
ガストン「ぐぬぬぬぬ・・・!!」
夜叉亥「こうなってしまっては貴様は我らの言うことに従う他ない。それが分かったらビルの居場所を教えるのだ」
ガストン「ロックラックだ!!ビルは都市内のスラムにあるボロアパート「スコーピオンヒル」の一室を借りて潜伏している!!日中はスラムのバー「ロックアラック」で飲んでるはずだ!!合流場所にそこを指定されたんだよ!!本当だ!!さぁ、喋ったんだからもう離せ!!」カリカリカリ・・・(顔、首筋を見たこともない虫達が舐めている)
夜叉亥「もうひとつ・・ビルはなぜ我らと凍土を揉めさせる?そこにどのような利益が貴様らにあるのだ?」
ガストン「このプロットを売りつけたんだよ!!如来衆とエヴァーウィンターナイツの抗争を望む奴に、ビルは計画を売りつけたんだ!!前金も既に貰っている!!更に成功したら莫大な資金が俺とビルに入る、そういう寸法だったんだ!!」
夜叉亥「抗争を望むのは誰・・いやどこの勢力だ?」
ガストン「知らねぇ!!それはビルだけが知ってるんだ!!俺はこの計画をビルに知らされ、それに乗っかっただけだ!!信じてくれ!!」
夜叉亥「・・・・・・・」
ガストン「・・・・・・・・」
夜叉亥「分かった。信じよう」
ガストン「なら早く縄を・・!」
夜叉亥「それがすまない。遅すぎた様だ」
バッ
(華麗に大木の枝に飛ぶ夜叉亥と連れの坊主)
ガストン「!!」
クマーーーーーン!!
アシラ「グルルルルルル・・・・!!」ペチョり~ん(すっごいよだれ)
ガストン「クソ坊主共めぇ~!先に極楽浄土で待っててやるから、とっととツンドラマフィアに殺されちまえ!!連中に手を出したら最後、同志の死に対する報復に、何よりもプライオリティを置く奴らのボス、デカダンスの守護女神に八つ裂きにされるがいいさ!!この俺の様に・・・なぁあああああああ!!!!」
グシャグシャグシャグシャグシャ
「あたちのモンハン日記」
~盗みは斬鉄漂う気まぐれな香り~
~ガストン・ダン死亡より数時間経過。渓流地区、夢幻如来衆拠点、本堂~
UBU「ほえ・・これが「きゃら」っていうの・・ふぅ~ん」くんくん(格式高い本堂の木の床の上であぐらをかき、香木を手にその匂いを嗅いでる我らが「あんまん女」。頭の上にはインコが乗ってる)
邪羅尼「馬鹿力でへし折っちまうんじゃないよ、お嬢ちゃん。さ、こっちに返しな」ちょいちょい(でっかい阿修羅像やら木魚とか置かれてる上座の前で豪勢な座布団に正座してる、紫色の袈裟を頭まですっぽり被った「ちいちゃい」婆ちゃんが手招きしてる)
六本木「UBU、バカヂカラ。UBU、モモゲジュウ」(UBUの頭の上にとまってるインコが喋る)
UBU「誰がゴリラだっつーの!!」ぷんすか(怒りながら香木を返す)
邪羅尼「ずいぶん教育されたインコだね」すっ(香木を受け取る)
UBU「ふん。六本木にはお勉強させても、そんなわけのわかんない木の破片を絶対に買わせたりはしないよ」
邪羅尼「あんたも年と権力を得れば、この伽羅が持つ香りの良さに気づくさ」ぱこ(香木を木箱にしまう)
UBU「「優美なる事、譬(たとわ)ば宮人の如し」だっけ?その香りを一度嗅げば、お淑やかで高潔な宮人の様な気分になれるって?あたちにゃまるで興味のない世界だよ」
邪羅尼「まったく・・少しは伽羅についての知識もあるようだね。お前さんのその意外性には舌を巻くよ」
UBU「」べー
邪羅尼「そうさ。この伽羅は香木の一種。確かな理由はさほど分かっちゃいないが、風雨や病気・害虫などによって木部が侵されたとき、その防御策としてその内部に樹脂を分泌、蓄積したものが乾燥し、その木部を削り取ったものが生木の伽羅というわけさ。沈香の中でも油分約50%以上の、最も品質のすぐれたものだ」
UBU「ほえ・・じゃあさ、「沈香木」ってなにさ?そっちも高いんでしょ?」
邪羅尼「沈香木ってのはその字の通り、伽羅の部位を持つを生木が倒れて、水中や地中に埋もれたものさ。その年月が長ければ長いほど、五味を潤す程の高潔な香りがするというわけだよ」
UBU「五味・・それ聞いたことある。六国五味だっけ?五味は、辛(カライ)・甘(アマイ)・酸(スッパイ)・苦(ニガイ)・鹹(シオカライ)の五つの味によって香りの違いが分かるっていうものでしょ?じゃあさ六国(りっこく)ってなにさ?ええちみこら」
六本木「デタ。UBUノ、イミフメイノ、アクタイ。ソレガ、「エエチミコラ」」
邪羅尼「お前さん、余程幼いころ教養に溢れた生活環境に居たんだねぇ。それが今じゃ立派な人殺しとは、お前さんに知恵を与えた師も悲しんでるだろうよ」
UBU「うるせえそれより六国ってなんだ!!そこの高そうな木魚、大剣で真っ二つにしちまうぞ!!ええちみこら!?」
六本木「バチニ、アタレ」
邪羅尼「いいかい、六国ってのは木所(きどころ)の品質によって香木を分類した総称だ。伽羅・羅国・真那加(まなか)・真南蛮(まなばん)・寸聞多羅(すもたら)・佐曽羅(さそら)っていう産地別の名前に、新伽羅を加えた七種の木所を称したのが六国というわけさ。それを五味によって識別するのが六国五味というんだよ」
UBU「ほえ・・なんだかただの物知り婆ちゃんみたいだね。本当の姿は、顎で部下に人殺しを命令する、性根の腐った拝金主義のクソババアなのにね」
六本木「ケイリュウマフィアノ、ボス。ソレ、シャラニ。オオ、コワイコワイ」
邪羅尼「あんたは焼き鳥にはしないから安心しな。それより年寄りの知恵は素直に褒めるべきだよ。お嬢ちゃんにさっき見せた伽羅はその中でも、より地中にて熟成された紫伽羅さ」
UBU「ほえ・・今のでいくらくらい?」
邪羅尼「そうさねぇ・・今のレートで十万Zくらいかね」
UBU「うげえええええ!!そんなにちっさいのに!!そんなにちっさい木なのに・・・十万ゼニーとなぁ~!!」ブブー(興奮して鼻血が出た)
邪羅尼「これよかもっと上等なものがある。それが龍伽羅さ」
UBU「りゅ、龍伽羅とな・・!?」ガガーン(鼻をおさえながら驚愕する、忙しい我らが「あんまん女」)
邪羅尼「大陸で最上級の伽羅さ。黒伽羅に竜種の何かしらの成分・・唾液、血液等を分泌したものが伽羅に入り混じったもので、それはもう際物中の逸品だ。大陸の象徴である、竜種の気高い香りさえ臭う極上品なのさ。世界中で欲しがる資産家は数知れないね。用途は多種多様。香水や石鹸に混ぜて使うも良し、スピリチュアルや宗教的儀式の香料の代わりとしても重宝もする。要するに金や鉱石と同じ、立派な資産価値のある資源、それが伽羅というわけさ」
UBU「そ、そ、そ、そ、その一番レア物の龍伽羅は・・お、お、おいくらほどで・・?」おそるおそる
邪羅尼「ちっこいのでも軽く百万Zは超えるだろうね」
UBU「うぎゃああああああああああああああああああ!!百萬ゼニーとなぁああああああああああああ!!」ブブブー(鼻血が噴き出る)
六本木「ものによっちゃ1000万を超える物もあるねぇ」
UBU「いち・・せんまん!!!!」ガガーーーーン
ぱたん
六本木「UBU、オチタ」
UBU「・・・・・(あたち達ハンターが長い時間と命をかけて「へえこらへえこら」とギルドの指定する乱獲値ギリギリまでモンスターを狩り、それをひたすら売り続けて得られる対価が・・・たかだかちょっと匂いのする、ちっさい木と同等なんて・・・・それもこれも大陸自然があたちに課した試練なのかしら・・・誰!?誰なの!?一体、誰がいけないっていうの!?)」(頭の中で壮大な銀河がとぐろを巻いている)
六本木「UBU、ホレ。キャラ、サガシテ、ホレ」
UBU「そうだ!!あたちが大陸初のキャラハンターになればいいんじゃない!!伝説のトレジャーハンター、フェルナンド・ピサロも真っ青のここ掘れワンにゃんハンターになるのよ!!決めた!!あたちはなる!!伽羅王に・・あたちはなる!!」むん
六本木「デタ。ナゾノトレハン、フェルナンド・ピサロ」
邪羅尼「素人がやめときな。例え探し当てたとしても、その資源欲しさの巨大組織に殺されるのがオチさ。それに近年では大陸汚染や過剰伐採の影響もあって、天然の沈香は年々減少しているんだよ」
UBU「じゃ、じゃあ、沈香のプランテーションをあたちが作る!そりゃあ、天然物よりかは希少価値は落ちるだろうけど、利便性と収益性は抜群じゃない!?市場価値の変動も少なそうだし、新たな大陸資産運用とそのポートフォリオをあたちが築くのよぉ~!!」ゴオオオオオオ(私利私欲の業火)
六本木「タイハイテキ、ゴウヨクノ、ゴンゲ。ソレガ、アンマンオンナ」
邪羅尼「夢を壊す様だが、今の大陸文明じゃ沈香のプランテーションは難しいね」
UBU「ほ、え・・!?」
六本木「ナゼ、「ホ」ト「エ」ヲ、ワケテイッタ」
邪羅尼「伽羅が成る「可能性」を秘めた木々を植えたところで、そのうちの何本から伽羅が生育されるかなんて、今の大陸生物学じゃ計り知れない。それにその森林をお前さん、どこでどうやって安全に管理するんだい?そもそも造林の専門知識や腐朽菌の対策案はあるのかい?ただ木々を植えるだけじゃ、森林愛好家にだってなれやしないよ。悪いことは言わない。あきらめな」
UBU「・・・・・・・・」しょぼん
六本木「タエタ。ハカナクモ、UBUノユメ、タエタ」
UBU「じゃあなんだよ!結局は独自の売買ルートを持ってて、対抗勢力とも同盟関係にある、あんた達犯罪シンジケートが有利だってこと!?そんなの認めない・・!!あたちは認めない!!そんなこと!!」ガッ(勇ましくガッツポーズをとりふんぞり返る、おお!我らが「あんまん女」)
邪羅尼「やれやれ・・それより本題に戻ろうじゃないか」スッ(座布団脇に置いてあるお茶セットに手を伸ばす)
UBU「って、どこまで話したんだっけ(ケロリと豹変)黒の軍人がファンゴを手なづけて、あんたらの伽羅を盗んで?猪和尚にひっどい拷問受けて、それからなんだっけ?忘れちまったよ。ひょひょひょひょひょ」
六本木「UBU、バカ。UBU、ニンチショウ」
邪羅尼「その話の途中でお前さんが伽羅を見せろと言うから話がそれたんじゃないか、まったく・・。問題は黒の軍人が高山のどこぞに落とした、伽羅の入った樽の回収だよ」コポコポコポコポ・・(きゅうすで茶を入れてる)
UBU「あ、そうだったね。それでさ、一体どれくらい盗まれたのさ?」
邪羅尼「大樽一杯分の希少な伽羅だ。中には龍伽羅も含まれているから・・そうだねぇ軽く見積もっても・・・」カタン(UBUに茶の入った湯のみを差し出す)
UBU「うんうん」(興味津々、ゼニゲバクソ女)
邪羅尼「ざっと一億Zは超えるね」
UBU「・・・・・・・・・」(死んだ)
邪羅尼「惜しいのは金額だけじゃない。凍土のマフィアがそれをうちとは別ルートで売り捌くことに問題がある。そんなことされてみな。うちを信用して買いに来てる顧客の信用はガタ落ちさ」コポコポコポコポ・・
UBU「・・・・・・・・・」(尚も死んでる)
邪羅尼「ツンドラマフィアは知ってるだろ?お嬢ちゃん」ズズズ・・(茶を飲む)
六本木「UBU、オキロ」コツン(くちばしでUBUのデコを突いた)
UBU「はっツンドラマフィア、知ってる知ってる。元はガウシカの放牧を営む遊牧民でしょ?」パチりん
邪羅尼「そう。凍土に属する人型はそのツンドラ先住民族から構成されてるのさ。連中ときたら、雪上ではハンター以上の超人だ。極寒の地で生まれ育ち、そこで代々引き継がれてきた血統と、その知恵の結晶を活かし、まるで普通の陸地にいるかのように五感を対応させるという」
UBU「EWN(エヴァーウィンターナイツ)のボスはその先住民達を統率するのに成功したんでしょ?すんごい人心掌握術よね・・」ふ~む
邪羅尼「確かにね。だが、あの子ならそれも可能だろうよ」ズズズ・・・
UBU「ほえ・・EWNのボス、オクサーヌ・ヴァレノフのこと知ってるの?」
邪羅尼「ふふ。どうだかねぇ・・・・・」ズズズズ・・
UBU「上手いことお茶を濁された。お茶、飲んでるだけに」
六本木「ソウイウモノカ?」
UBU「ま、いいわ。今は深入りしないでいてあげる。それよりさ、EWNのエリアはその雪上の超人達が警戒してるんでしょ?そしたら「金の樽」が嗅ぎつかれちゃうのも時間の問題じゃない?なにせ樽の中から凍土じゃ決して嗅ぐことの出来ない「大地の香り」がするんだから。あ、お茶頂くよ」ズズズ・・
邪羅尼「そこであんたの出番なのさ」にや
UBU「ちっ・・クソ尼め。ユクモ商店街のキノコ釜飯専門店「禅」で久しぶりに食べてたら、急にあんたんとこの生臭坊主が店に入ってくるなり「本堂に来い」なんて言うから来てみれば・・・それが狙いだったのね。あたちに樽を探して来いって言うんでしょ!」ぷんすか
邪羅尼「クエストの依頼さ。別にカーブー坊やに依頼しても良かったんだけど、聞けば坊やは今、東方に向かっているらしいじゃないか。だからこそのあんたなのさ」ズズズ・・
UBU「ちっ・・カーブーの野郎。こんなとこでもあたちに迷惑かけやがって。帰ってきたら耳を食いちぎって、その耳をこっそりヨッコが働くストアの棚に並べてやる」きー
六本木「ダレモ、トクシナイ」
邪羅尼「あたしらが凍土に出向くわけには行かないのさ。分かるだろ?」
UBU「渓流の破戒僧共がこぞってEWNのエリアでピクニック。途端に血のフォークダンスが始まるってシナリオね。黒の軍人もよくもまぁつまんない計画を考えたもんね」
邪羅尼「そこも問題なのさ。伝令の話しじゃ、この一連の計画を考えたビルっていう男はそれを実行して、見事渓流と凍土の間で抗争が起きたら、報酬を貰う予定になってるらしい。残念だがその勢力の名前までは尋問した男から聞き出せなかった。というより、顧客の名前までは知らされてなかった様だね」ズズズ・・・
UBU「とんだ不届き者だね、そのプロットを思いついた奴はさ。でもさ、そのプロットを欲しがる連中・・いえ、新大陸での大抗争を目論む、たった一人の猫の名前なら浮かぶわ」
邪羅尼「奇遇だね、お嬢ちゃん・・あたしも同じ名前が浮かんでるんだよ。そうか・・・お前さん達は何度か連中とやりあってるのか・・」
UBU「大抗争を目論むそいつの名は、猛豚軍軍事参謀ニャン=ジュスト・・通称「革命の大天使」。あたちなんかは直接会ったことはないけど、悪評だけは今大陸一の著名人かもね」ズズズ・・
邪羅尼「猛豚軍かい・・厄介なテロ集団だね。今じゃ連中の思想に共感した大陸中の猫共が海を渡って水没林に入植してるっていうじゃないか。ましてやこの前の解放戦争のおかげで、余計に水没林が猫族にとっての「反乱の聖地」と化しちまった。帝国軍も水没林に特別部隊を設置して猛豚軍の足取りを掴もうとしてるらしいが、マタタビのひとつも見つからぬ有り様。大方、古代遺産の洞窟か遺跡に逃げ込んだんだろうよ」
UBU「だろうね。ギルドが大陸遺産として認定する、それこそ聖地をこともあろうかギルドの軍属が土足で荒らすわけにはいかないからね。きっとありんごの巣みたいに水没林の地下道はなってるんじゃない?ほら、猫ってそもそも狭くてぎゅうぎゅうな所に好んで入るでしょ?この前も水没林に狩猟に出かけたタンジアのハンターが行方不明になったっていうし。きっと、猛豚軍が隠れてる「穴」でも興味本位で入っていったのよ。そしたらマンハントのブラックキャットに捕まり、顔面を斬り刻まれ、挙句、証拠隠滅の為、燃やされて、そうやってフィールドにまたひとつ達人ドクロや謎の骨が増えていく・・・ひいいいいいいい!!こわい!!あたちはこわい!!」(自分で言ってて怖くなった)
六本木「UBU、アホ。UBU、ヒガイモウソウ」
邪羅尼「まったくお前さんのオトモが起こした革命は、とんでもない悪霊共を生み出しちまったもんだね」
UBU「へへへへへ。面目ないでしょ」ケロりん
邪羅尼「反省してんだったらクエストを受けな」ぷい
UBU「ダアホウ!!なんでそうなるんじゃ!!そもそもはおめぇらが間抜けな黒の軍人に伽羅盗まれっからいけねぇんだろう!?茶~飲んでる暇あったら自エリアの警備にもっと人と金をかけろっつーんだよ!!おお!?」
邪羅尼「報酬、1000万でどうだい」ズズズ・・
UBU「ドラホウ!!どこの阿呆がたかだか1000万で・・・・1000万・・・1000萬ゼニーとなぁああああああああああ!!!!」ブブー(鼻血が噴き出る)
ぱたん(あぐらをかいたまま後ろに倒れた)
六本木「UBU、アホ。UBU、ゼニゲバ」パタパタパタパタ(一旦飛び上がって仰向けに寝転がったUBUのデコの上に止まる)
邪羅尼「不服かい?1000万じゃ」
UBU「やるだす」(仰向けで天井を見ながら答える)
邪羅尼「いい子だ。中立組織であるお前さんなら、仮にツンドラマフィアに見つかっても、うちほどはまずい状況にはならないだろうしね。それと、信用してないわけじゃないが、どうやって雪山に埋もれた樽をツンドラマフィアよりも早く見つける気だい?」
UBU「あんたらの伽羅採取ポイントから盗みをしたっていう黒の軍人がヒントをくれた・・」ほけぇ~(天井を眺めたまま虚ろに喋る)
邪羅尼「んん・・奴は確か、ファンゴにうちの伽羅の匂いを覚えさせ、その嗅覚を頼りに・・・そうか。お前さんところにも確か・・」
UBU「ふふふ。いるわよ。それも知的生命体種の頼れるドスファンゴがね♪」(天井を見て笑ってる)
六本木「ソノオトコ、ジョー。UBUノ、シンユウ、ジョー」
To Be Continued
ひと読みしたならボキっとな
UBU「ちぇりゃ~!!ランキング参加中なんだす!!皆様の「タックスヘイブン憧れ心」的な一票であたち達を応援してくだされね♪負けるな!消費税に!!」
BBB「またバカやってるな。このろくでなしめ」バーーン!!
UBU「ほえ・・またあんたが来たの?」
BBB「フッ・・まぁな」ほわぁ~ん
UBU「くんくん・・・なに、あんた。この前とは打って変わって、すんごい「いい香り」がするじゃんかよ」
BBB「トリートメントさ」キラァ~ン(黒毛が光る)
UBU「・・・・(きっと最近覚えたのね)」
BBB「さぁ、やれ。次回予告を叫べ。思いの丈をぶちまけるんだぁ~!!」
ひゅううううう・・・(風にのっていい匂いがする)
UBU「なんだかやりにくいけど・・え~さってぇ~、そんなわけでぇ~次回の「あたちなんかのモンハン日記」ディス・ストーリーモードはぁ~・・」
4/5(土)0時更新 「盗みは斬鉄漂う気まぐれな香り」~PART2
UBU「をお送りしますよぉ~ブベラッホ!!」ペッ(つばが飛ぶ)
ぺちょ~ん
BBB「・・・・・・・」(いい匂いのする黒毛についちゃった)
UBU「ほえ・・あ、ごめんよ。あんたが叫べって言うから、少し張り切っちゃったのよぉ」にんまり
BBB「・・・・・・・」わなわなわな・・
コノハ「わぁ~♪とっても素敵な香りですよぉ~、BBBさん♪」
ササユ「良かった♪私が選んだトリートメントがBBBさんにとってもお似合いの香りで」
ヨッコ「いっつもこのくらい小奇麗にしてなさいよね、黒猫」
クサッチーニ「なんていい香りなんだ!俺にも使わせてくれよ。ハッハッハッハッハ。ヒッヒッヒッヒッヒ」
BBB「ササユちゃんが・・選んでくれた・・・」
UBU「ほえ?」
BBB「みんなが・・・褒めてくれた・・・」
UBU「ほえほえ?」
BBB「俺のトリートメント効果を貴様は台無しにしたぁああああああああ!!」
UBU「ひいいいいいいいいいいいい」
BBB「全身の皮を剥いで炭酸水の入った風呂桶に入れてくれるわぁ~!!」むんず
UBU「いぎゃあああああああ!!そんなの「超ひりひり」するじゃんかよぉ~!!」
BBB「許さねぇ!!許さねぇ!!許さねぇ~!!」ガーンガーンガーン
UBU「ぼげぇおげぇうげぇ」
BBB「おらぁ!!おらぁ!!死ねぇ!!」
その後、BBBはUBUの返り血を散々に浴びてしまったので、小奇麗にする為、集会浴場へ赴く。もちろん、もう一度トリートメントをしてみんなに「褒めてもらう」為だった。しかし、その血まみれの「おっかない姿」に集会浴場の一同は騒然とし、挙句は警察を呼ばれ(陽子が連絡)、BBBは三日間勾留、及び、一ヶ月間の奉仕活動を命じられるのであった。哀れ、我らが悲しきブラックキャット・・ 完