~王国騎士団領にサムソンが到着してから二日目の夜。王宮内
ディマリー「ほう・・その者が今回の「公文書」を作成したのか・・」
ニャン=ジュスト「作用です。巷では達筆のジョナスと呼ばれており通行書をはじめ、偽書作成に長けた者でございます」
ジョナス「ひひひ・・これはこれはディマリー夫人。いや、王妃様とお呼びした方が良いですかな。
この度はお招き頂き誠にありがとうございます」
ディマリー「うわべの臣下の礼はいらぬ。要求を申せ」
ジョナス「はい。こ度の件で夫人が王宮内の実権を手に入れた暁には、私めを正式に王宮の書記官にして頂きたく願います。老い先短いこの身・・余生を宮殿という華やかな場で終わらせるのも悪くはないと思いましてな・・ひひひひ」
ディマリー「ふん。最後の偽書はもう既に?」
ニャン=ジュスト「はい。こちらに」カサッ
ディマリー「ほう・・・・よく出来ているな。国王の字、そのものだ。
国王印も・・よくもまぁここまで偽造したものだな。お前ら「闇の住人」には感服する」
ニャン=ジュスト「国王の遺言書・・王国騎士団領の全ての権限はディマリー夫人、貴方に託する。そして現太子はクーデターの首謀者として死刑。アイザック様を正式な太子にする・・これで貴方の国盗りの画策は無事に終了・・という筋書きでよろしいでしょうか」
ディマリー「先の革命で行き場を失った軍を王国騎士団に置き、正当な軍としてその勢力を高める・・大胆な事を考えたものだな。革命の大天使よ」
ニャン=ジュスト「・・・」
ディマリー「フフフ・・短時間ではあったがそなたの事は多少なりとも調べさせて貰ったぞ。安心しろ。こ度の奸計はそなたの目的とわらわの目的が一致しただけの策謀・・。安心しろ。事が片付いても用いてやる。結果の運び次第では貴様を宰相府に任命してやろう」
ニャン=ジュスト「有り難きお言葉。では私どもはこれで・・」
ジョナス「失礼致します・・ひひひひ」
スタスタスタスタ・・
ディマリー「ザッコーニ。ニャン=ジュストから目を離すな」
そろぉ~り
ザッコーニ「は、はい。しかし夫人・・ほ、本当に国王様を・・?」
ディマリー「いずれは目論んでいた結果に、ニャン=ジュストという危険な劇薬を加え「事」が早急になっただけ・・。それにあの男と先の革命を生き抜いてきた屈強な猫兵の軍勢は使える。全てが片付き、奴らに叛の兆しが見えようものなら・・滅するまで。違うか?ザッコーニよ。フフフフ」
ザッコーニ「お、お素晴らしいご提案です!(ひいいいいいやっぱりこのお方が一番の刺を持つ「薔薇」であるのには違いない!!)」
「あたちのモンハン日記」
~紫の暁編
~イオ宅
イオ「どうなってんのよ!!もう!!バカ!!」
アクセル「落ち着け・・って言っても無理はねぇな。全部、ジークムントの不利な証拠ばかりだ」
メティス「ねぇ~イオ~これ、本当に太子様の字なのぉ~??」
イオ「たぶん・・それに何よりの証拠は国王印が押されていること・・。これが何よりの決定的な証拠だわ・・でも・・・」
ゲルハルト「みゃーん(太子が叛を起こす道理がないってんだろう?)」
イオ「そう。正式な太子であるジークムントがこんな形で盗賊団や賊を雇い国を乱そうとする理由が分からないのよ!」
ミッチ「じゃ、じゃあ、やっぱりこの手紙は偽物ってことっすか!?」
イオ「もう我慢出来ない!私も王宮に行ってくる!!」バッ
アクセル「ま、待て!イオ!!」ガシッ
イオ「きゃあああ」
ズデーーーーン
ミッチ「あ・・」
メティス「顔から転んじゃったねぇ・・」
イオ「あにすんのよ急に足掴むなんて!アクセル!!」
アクセル「ま、待てっつってんだ!アイザックが既に王宮に向かったんだろ!?
だったらその件は「王族同志」に任せるってのが筋だ!」
イオ「あによ!!私だって立派な太子の婚約者なのよ!それとも花嫁風情は国の大事を指をくわえて見てろって言うの!?そりゃ、私とジークムントの婚約は親同士が勝手に決めた話しだけど・・」
アクセル「イオ・・・」
ミッチ「イオ殿・・」
ゲルハルト「にゃいー(ここはアクセルの言うとおりアイザックに任せよう。それよりも俺たちには俺たちにしか出来ない事を優先するべきだ)」
メティス「あたし達にしか出来ないことぉ~?」
ゲルハルト「にゃんにゃ(そうだ。サムソンも捕まっちまった今、俺たちに出来ることは次に起こりうる事故を未然に防ぐことだ)」
イオ「ゲルハルト様・・じゃあ、おじさまはやっぱりわざと捕まったっていう事ですか?」
ゲルハルト「にゃいー(たぶんな何を考えていやがるのか分からねぇがな)」
メティス「そうだよぉ~。サムソン様はゲルハルト様とミッチに「イオの傍らを離れるな」って、あたしに伝言したんだよぉ~。きっと何かお考えがあるんだよぉ~」
アクセル「次に起こるかもしれねぇ事件からイオを守れってことか・・。
ケッ、イオには俺がいるんだから大丈夫だっつーの」
ゲルハルト「にゃんにゃい(なんにしても「こっち」の結束力を高めろってことだろうよ)」
ミッチ「なんか嫌っすね全てを見透かされた言い方で」
イオ「・・・(おじさま、どうかご無事で・・・それと・・アイザックも・・)」
アイザック「あんだとぉなんで親父(国王)に会えねぇんだ!!」
衛兵「・・・・・」
アイザック「なんとか言いやがれ!このデカブツ!!」
衛兵「・・・・・」
アイザック「きーーー!もういいわ!ええ!?もういいわ!!
こうなったら力づくでも親父に会わせて貰うぜ!!」
衛兵「!?」
アイザック「ちょいやー!!」ステテテテテ
「アイザック様!?」
アイザック「はい?・・・おわー」
ズデーーン
衛兵「・・・・・・」
~客室
アイザック「いちちち・・しかしなんだって俺まで親父に会えねぇんだよ!?」
ベルトホルト「うーん・・・おかしいですね・・」
アイザック「おかしいってお前、親父の世話係の側近だろ!?ベルトホルト!
俺は小さい頃から一緒だったお前が親父の側近についたから安心して王宮を出たんだぜ!」
ベルトホルト「アイザック様・・」
アイザック「それとそのアイザック様って呼ぶの昔からやめろって言ってんだろうよ
俺たちゃタメ(同い年)なんだからよ」
ベルトホルト「そういうわけにはいきません!
仮りにも貴方様は公妾の御子息であり、行く行くはジークムント様と共にこの国を支えていかねばならぬ身なのですぞ!そんな貴方を呼び捨てなんかに・・」
アイザック「説教混じりの言い訳は聞きたくねぇよ」
ベルトホルト「・・・・」
アイザック「お前が誰よりも・・お袋や親父よりも俺の事を心配してるのは分かっている。昔からお前はそうだったものな」
ベルトホルト「そうですぞ。
昔から無謀なハンターの真似事ばかりされては王宮を飛び出して行き、傷だからけで帰って来る貴方のお世話がどれだけ大変だったことか」
アイザック「わるぅござんしたねぇ」
ベルトホルト「それに貴方の事を心配しているのは私だけではございませんよ。
貴方もお気づきでしょう?メティスの事は」
アイザック「ああ・・」
ベルトホルト「国王様はご自分の代わりにメティスを幼少期より貴方のオトモとして・・」
アイザック「わかってるよ!!」
ベルトホルト「アイザック様・・」
アイザック「だがなぁ!俺は公妾の子だろうが何だろうが所詮、王妃の子じゃねぇんだ!
そんな王宮内のゴシップは常に俺とお袋の目の敵だった!
愛人の子は所詮、愛人の子だってなぁ!!」
ベルトホルト「・・・・」
アイザック「けどお袋は常に俺に言った・・「王の血を引く者として、毅然に振舞え」ってな」
ベルトホルト「・・・・」
アイザック「親父は俺に何も言わなかった・・。俺が何をしようがな」
ベルトホルト「それは・・」
アイザック「俺を信頼して・・って言うんだろ?
嬉しい限りだね。ろくすっぽ話をしたこともない息子を信用してくれてるんだからな」
ベルトホルト「それは違う!」
アイザック「!?」
ベルトホルト「国王様は常に貴方とジークムント様の事をお考えになられている!
今しがたもそのご心配をされ・・・ご自分のお体を治すことが先決なのに・・」
アイザック「ベルトホルト・・」
ベルトホルト「来るべき未来の国の為、太子様を支える為、貴方は敢えて王宮内の人間では学ぶ事の出来ない「外の社会」で人と土にまみえる事をお選びになられた。違いますか?」
アイザック「・・・ああ」
ベルトホルト「貴方も国王様と同じなのです。
言葉は交わさずともお考えになられていることは同じ・・この国の仁政を築くこと・・。
私から見ればお二人は・・いえ、太子様も含めたお三人は立派な父子なのです!」
アイザック「・・・・」
ベルトホルト「はっ・・すみませんついその・・」
アイザック「いや・・ありがとうよ。
どうも外にばっか触れてると自分の立場や誇りを忘れがちになっちまう。そうだろ?」
ベルトホルト「はい。ですからほどほどに」にこり
アイザック「だな。フフ・・」
ベルトホルト「フフフ・・」
コンコン
ベルトホルト「はい。どうぞ」
従者「失礼します」ガチャリ
ベルトホルト「どうしました?慌てて」
従者「これは・・アイザック様もご一緒でしたか!やはり太子様の事をお聞きに!?」
アイザック「どうした!?」
従者「大変なんです!
ジークムント様がクーデターの疑い有りという理由で牢に拘束されたと廷内に噂が!」
ベルトホルト「なんだって!?」
アイザック「俺もその話をしに来んだ」
ベルトホルト「アイザック様・・」
アイザック「ジークムントに会えるか?」
従者「本当に牢に投獄されたのだとすれば難しいのでは・・」
ベルトホルト「どうしてそんな大事な事が国王様に伝わってこないのです!?」
従者「ディマリー夫人から何人たりとも国王の間に通すなと命令が出ておるようでして・・」
アイザック「お袋が・・・ベルトホルト、どうやらお前は現状で唯一、親父に近づける人材の様だ。
いいか、お前は親父にこの件の事を聞くんだ。本当にジークムントがクーデターなんて馬鹿げた事をしているのかどうかを」
ベルトホルト「分かりました。アイザック様は?」
アイザック「俺か?そうだな・・・牢に忍び込んでみるかな」
~国王の部屋
国王「ゴホゴホッ・・・駄目じゃ・・横になっておれん。
どうも外が騒がし過ぎる・・・ワシが寝てる間に何かあったに違いない・・」
カチャリ
国王「ん・・?」
ヒュウウウウウウウウウ
国王「誰かな・・謁見の約束は聞いとらんがな」
「これは陛下。失礼致しました。
ですが事が予想より急を要したので参上致しました」
国王「ほう・・・して、何ようかな?忍びの者よ」
ニャ太郎「はい。我が姫の命により、陛下には死んで頂きます」
To Be Continued