留学して1ヶ月近くたち・・・



特に仲良くできる友達もできず

学校が終わってからは、ふらふらと

1人でショッピングセンターにたちよるか、

まっすぐホストファミリーの家に帰っていた。





語学学校の下の方のレベルのクラスには

日本人と韓国人ばかり。

下のクラスの英語を話せない日本人は、

よく日本人同士でかたまっている。

孤独に耐えてるのは私だけじゃない。



私も一緒にいるのが誰でもよければその輪に

加わったかもしれない。



でも・・


一緒にいたいと思わない人たちといても

余計むなしくなるだけだと思いあえて孤独でいた。




それか・・


あの輪にいるのは20才前後の子たちばかり。

20代後半、30近い私は

頭が少し固くなっていたのかもしれない。








留学に来ている多くの子が

日本でいろいろな問題にぶつかり

疲れて海外にやってきている事を知った。






仕事でウツになり自宅休養していた人


最愛の「この人がいないと生きられない」と思った相手が急に音信普通になってしまった人


5年以上にわたる不倫で疲れ果てた人


ダメ男と別れるために勢いで海外に来た人







私だけじゃないんだ。


ちょっと救われた気になった。










ある日、ひょんな事から親しくなった

韓国人の男の子ジェイ。






中国人や韓国人は英語の名前を持っている子が多かった。

彼らの国の名前は外人には発音が難しいから

あえて自分の好きな英語の名前をつけていた。




韓国人の男の子ジェイと携帯電話番号の交換をしてからジェイは毎日電話やメッセージを送ってきた。





ー 今どこ



ー 家だよ



ー 何してるの



ー う・・ん、なにもしてない



ー 暇だったら遊びにきなよ



ー ホームステイだから出られないよ



ー 大丈夫、つまらないでしょ、おいでよ



ー だめだよ、もう遅いし



ー 大丈夫、来てよ、待ってるから



ー 行けないよ



ー 来て、一緒に遊ぼうよ、何時に来れる?



ー むりだよ・・



ー 待ってるから、1人でいたってつまらないでしょ、



ー うん・・でもむり




ー 大丈夫、何時に来られる




ー だめだよ、




ー おいでよ、9時前には来れるよね、待ってるからね






毎日、こんな会話を交わした。

こんな強引さは初めてだった。




ホストファミリーはみな夜9時過ぎには就寝。

確かにとてもつまらなかった。



ジェイが電話などしてくる時は、何もすることがなくて

途方にくれていることが多かった。

海外の薄暗い電気の元、勉強や本を読む気にはならない。




かと言って、夜遅くにバスにのって数十分もかけて

出かけるなんて・・・






最初は戸惑っていた強引なジェイの誘いも

そのうち心地よくなってきて・・





次第に




葛藤していた心が動き始めた。




つまらないんだから遊びに行ったっていいよね・・








ホームステイ生活がくずれていった。