恋愛小説 愛されたい私と愛したい私 第10話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 愛されたい私と愛したい私 第10話

愛されたい私と愛したい私  第10話 ~思い~








里菜は、魔法の靴を手に入れたシンデレラ気分になっていた。
そんな嬉しそうな里菜の笑顔を見て、直樹は嬉しく思った。

この靴で里菜は、本当に新たな第一歩を踏み出したのだろうか。

「里菜さん、何処か行きたい所ある?僕が連れてってあげる・・・。」

「あのっ・・・・?お腹が空きました・・・!」

「あっはっはっはっ・・・。」

直樹は、思わず笑ってしまった。
里菜は、恥ずかしそうに下を向いてしまった。
デートの準備に追われ、朝ご飯を食べていなかったのだ。

「ゴメン!ゴメン!笑ったりして・・・。やっぱり、里菜さんは面白いね!」

「だって・・・、お腹がペコペコなんですもん!!」

「素直だね!わかった・・・。それじゃ、食べに行こう・・・!」

時計の針は、まだ10時半を指していたが、2人は近くのレストランに入った。
食事を取りながら、ゆっくりと時間は流れていった。

「これ、美味しいですね!!」

「里菜さんは、ほんとに美味しそうに食べるんだね・・・!」

「だって、美味しんですもん!!女性は食べてる時が一番幸せなんです。」

「えっ・・・!食べてる時が、一番なの?」

「いえ・・・っ!二番・・・、三番・・・・・かも?」

「じゃ、一番は・・・・!」

「えっ・・・・と・・・・・・。」

里菜は、答えに困った。

「俺は、里菜さんといる時が、一番なんだけどな!」

「・・・・・・。」

里菜は、直樹が言い出す事を予測できたが、自分も一番だと
改めて言い出す事が出来なかった。

すると、レストランの入口から入って来る1人の女性に里菜の目が止まった。

「あっ・・・!牧野さんだ!」

「突然、どうしたの・・・!知り合い?」

「はい!同じ会社の先輩なんです。」

「そうなんだ!でも、こんな場所で偶然もあるんだね!!」

牧野は里菜の存在に気がついていなかった。
店員に案内されて席に座った。

しばらくして里菜は、牧野と目があってしまった。
里菜が、軽く頭をさげ急に落ち着きがなくなった。
直樹は、里菜の態度が急変した事に気がついた。

「里菜さん、お店出ましょうか!」

「大丈夫です・・・。」

牧野は、里菜の様子を伺って苦笑いしていた。
それを見た里菜は、心で呟いた。

「「なんか感じ・・・悪っ・・・・!!」」

すると、入口から1人の男性が入って来た。
その男性は、佐々木だった。
佐々木は、牧野の席に向かって腰を下ろした。
2人は、里菜の方を何度か見て話をしていた。
そして、里菜は、佐々木の存在に気がついた。

「えっ!!佐々木さんまで・・・。」

里菜は、思わず声が出てしまった。

「彼も、同じ会社の人・・・?」

「そうです。2人共同じ職場の先輩なんですよ。」

「あの2人は、恋人同士みたいだけど?」

「そうなんです。会社では、あんな光景見た事無いですけど・・・。」

直樹は、里菜の心境を察したのか、お店を出る事にした。

「里菜さん、やっぱりお店を出ましょう!!」

「・・・・・。はい。」

そして、2人はお店を出て行った。

「直樹さん・・・!すいません。なんか・・・・!!」

「どうして、謝るの?」

「いえ。直樹さんに不愉快な思いをさせた見たいで・・・!」

「そんな事ないよ!居心地悪かった見たいだから・・・。」

「すいません。」

直樹の言う通り、里菜は居心地が悪かった。
2人は食事を済ませて、デートを楽しむ事にした。

「さぁ!何処に行こうかな?ドライブしながら、横浜に行こうか?」

「横浜ですか?」

「他に何処か行きたい所ある?」

「いいえ、特にないです。横浜でいいですよ。」

「実は、連れて行きたいお店があるんだ!」

「えっ・・・!すごい楽しみです。」

直樹は車を走らせた。
2人の乗せた車は、ランドマークタワーを横目に、ベイブリッジが
視界に飛び込んできた。

「あっ!あれが、横浜ベイブリッジですか?」

「そう!夜は、綺麗なんだよ!」

「直樹さんは、横浜が好きなんですか?」

「うん。結構好きで良く来たりする!!」

「じゃ、色々連れてってください。」

「そのつもりだよ!」

直樹は、途中で高速を下りた。
しばらく、市街を走り住宅街にある1件のお店に車を止めた。

「さぁ、着いたよ。ここのお店・・・!」

「ドルフィン・・・・?」

2人は車を降り、お店の中へと入って行った。

「オシャレなお店ですね!」

「ここの店に入るのは、初めてなんだ・・・。」

「えっ・・・!そうだったんですか?」

「彼女が出来たら、絶対に来ようと思って・・・。」

「何か、理由があるんですか?」

「いや、昔からユーミンの曲が好きで良く聞くんだけど、
 ここのお店は、ユーミンの曲に出てくる店なんだよ。
 気になっていたお店で、どうしても来たかった店なんだ!」

「えっ、凄いお店何ですね・・・・。何て言う曲なんですか?」

「荒井由実時代の『海を見ていた午後』って言う曲で、山手のドルフィンって
 ここの店なんだよ。でも、この景色は綺麗だね!夜も綺麗だろうな?」

「そうですね・・・!また今度、夜に来ませんか?それまでに、
 ユーミンの曲を聴いておきたいので・・・!」

「そうだね!でも、ごめんね!俺の勝手な思いで連れて来てしまって・・・。」

「結構、ロマンチックな場所は大好きですよ。」

そう言いながら、直樹は曲に出てくるドルフィンソーダを注文した。
2人は、窓から見える横浜の海をしばらく眺めていた。

「さぁ・・・!次、行こうか!!」

「はい・・・!」

2人は、店を後にして横浜を観光して回った。
夕食を済ませ、港の見える丘公園へと車を走らせた。
時計は既に、夜の8時を回っていた。
公園内の駐車場に車を停め、海を一望出来る高台へと歩いて行った。

「わぁ~!すごいきれい・・・・・!」

「そうだね!」

目の前には、横浜ベイブリッジやランドマーク、コスモワールドの観覧車が
色とりどりの光を放ち輝いていた。
2人はしばらくの間、言葉を失っていた。

直樹は里菜にもう一度、自分の思いを伝えたのである。
誤解が解かれたと言え、中途半端な状況にあると直樹は思っていたからだ。

「里菜さん・・・。改めて、自分と付き合って貰えませんか。」

「はい!喜んで・・・。よろしくお願いします。」

里菜は、笑顔を見せた。
直樹は、里菜を引きよせ、優しく抱きしめた。

里菜は、幸せな気持ちで胸がいっぱいになっていた。
しばらく、2人は抱き合いながら時間はゆっくりと流れた。

「里菜さん・・・。」

「何ですか?」

直樹は里菜にやさしく、キスをした。




続く 愛されたい私と愛したい私  第11話 ~噂~

松任谷由美 ”海を見ていた午後
※視聴出来ます。 ↑:クリックしてね!




ペタしてね