恋愛小説 愛されたい私と愛したい私 第9話  | HUMMERの部屋

恋愛小説 愛されたい私と愛したい私 第9話 

愛されたい私と愛したい私  第9話 ~里菜と鉄平の過去~





「以前、私たち姉妹は2人でマンションに住んでいました。
 そして、それぞれ違う大学に通っていました。
 私は大学3年の時、同じサークルの人とお付き合いしたんです。
 そして、付き合い始めて2ヶ月過ぎてから、
 彼が、時々マンションに遊びに来る様になったんです。
 当然、姉にも彼を紹介しました。
 その後、彼は遊びにくるたびに私の体を求める様になったんです。
 私は何故か、彼を拒み続けました。
 次第に、喧嘩も多くなり私は彼と距離を置くようになっていました。
 それをきっかけに、彼は姉に相談する様になっていたのです。
 どんな相談してたかは、姉も教えてくれませんでした。
 そして・・・。」


里菜は、少し涙ぐんで来たのを直樹は気がついていた。


「そして、ある日の事です。私が、バイトから帰ってきたら、
 彼の靴が玄関にある事に気がつきました。
 部屋に入ると、リビングにも私の部屋にも、
 彼の姿はありませんでした。
 私は、姉の部屋にいると思い部屋を覗くと・・・・。
 姉は、彼に抱かれていました。」


里菜の目から、涙があふれ出ていた。

直樹は、里菜の思いを重く感じていた。


「私は姉に裏切られたんです。それ以来、彼とは別れました。
 そして、マンションを飛び出し、しばらくは友達の家に
 お世話になり、今は会社の寮に住んでいます。
 しばらくして、彼と姉も別れたそうです。 
 その日以来、姉とは会っていません。」


「里菜さん、すいません。そんな過去があったとは知らず・・・。」

「いいんです。直樹さんに話した事で気持ちが楽になりました。」


直樹は、里菜に掛けてあげる言葉が見つからなかった。


「だから、直樹さんと妹さんが仲良くしているのを見て羨ましくて。」


この時、直樹は里菜が姉との仲直りを望んでいるかの様に思えた。


「里菜さんは、このままでいいの・・・?」

「・・・・。」

「本当は、仲直りしたいんじゃないの?」

「はい。たった2人きりの姉妹ですから・・・。
 でも、もう少し時間がかかると思います。
 きっと、姉も同じ気持ちだと思っていますが、自分から
 言い出せないと思います。だから、私の気持ちが整理出来たら、
 姉を訪ねようと思ってます。」


直樹は、里菜の思いが嬉しかった。


「里菜さん、ありがとう!」

「どうして、ですか?」

「里菜さんが俺の事を信じて話してくれた事が、すごく嬉しかった。」

「直樹さん・・・。」


里菜は、直樹の言葉が嬉しかった。


「さぁ、直樹さん。この話は終わりにして食事、楽しみましょう!」


2人の顔に、笑顔が戻った。
2人は食事を楽しみながら、日曜日の約束をした。


「里菜さん、明日は何か予定ありますか?」

「今のところは・・・。」

「じゃ・・・、明日も会ってくれませんか?」

「はい!喜んで・・・・・。」


直樹は、里菜を自宅の送り帰って行った。

次の日。
里菜の寮の前に、1台の車が止まった。


「もしもし、里菜さん・・・。今、寮の入り口に着きました。」

「はい、すぐに行きます。」


しばらくすると、入口から里菜の姿が見えた。


「遅くなってごめんなさい。直樹さん・・・!」

「大丈夫、そんな待ってないから・・・。さぁ出かけよう!!」


直樹は、里菜を乗せ車を走らせた。
そして、ある店の前で直樹は車を止めた。


「ねぇ・・・!里菜さん。」

「何ですか?」

「これから、行きたいお店があるんだけど、いいかな?」

「いいですよ!何処に行くんですか?」

「ここの店・・・!さぁ行こう・・・・。」

「靴屋さん・・・?」


2人は車を降りて、店の中に入って行った。


「里菜さんに靴をプレゼントしようと思って・・・!」

「そんな・・・。」

「ヨーロッパでは、女性は素敵な靴を履きなさいって言われているんだ。
 そうすれば、靴が素敵な場所に連れてってくれるそうなんだ!」

「それって、素敵ですね!」

「里菜さんを素敵な場所に連れてって貰いたいから、プレゼントさせて。」

「直樹さん・・・・。」


里菜は、直樹の言葉が嬉しかった。
2人は店の中で、楽しそうに靴選びを始めた。
やがて、里菜はお気に入りの靴を見つけ、直樹にプレゼントして貰った。


里菜は、さっそく新しい靴に履き替えた。
そして、2人は店をでた。
店を出た瞬間、里菜は靴に話しかけた。




「靴さん・・・靴さん・・・。私を、素敵な場所に連れてって・・・!」











続く 愛されたい私と愛したい私  第10話 ~思い~

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