恋愛小説 愛されたい私と愛したい私 第7話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 愛されたい私と愛したい私 第7話

愛されたい私と愛したい私  第7話 ~結末~





里菜は、自分の気持ちが分からなくなっていた。
好きになりかけていた、直樹に裏切られたと言う思いと
小出の思いを断ち切った事で心境は複雑になっていたからだ。

すると、携帯電話に1通のメールが飛び込んできた。
それは直樹からのメールだった。
里菜は、携帯電話の画面に表示された、直樹さんを確認した。
思わず携帯電話に手が伸びた。

---------------------------------------------
里菜さん、こんばんは。直樹です。

今週末の予定は如何ですか?
連絡待っています。
楽しみにしています。
---------------------------------------------

里菜はメールを見て、直樹の気持ちが理解出来ないでいた。

「なんで?あんな光景を見て、会える訳・・・ないじゃない!
 何故、平気なの?あの女性は誰なの・・・・?」

頭の中には、楽しそうに腕組みをしていた2人の姿が
しっかりと、刻み込まれていたからだ。

「やっぱり、遊びなのかも?きっと、愛されていないんだ!」

ふと、里菜はおかみさんの言葉を思い出した。

「「愛ってそんな簡単な事なの?」」

自分の愛を見つけに一歩踏み出したばかりの里菜は、
たまらなく寂しく、辛さが心に染みていた。

「やっぱり、簡単じゃないよね!でも、愛されたい・愛したい!
 だから、一歩踏み出したんだもん。でも・・・・・。」

とめどなく流れる涙に、色々な思いが一緒に流れ出る。

鉄平との事、直樹との事、里菜はこの”裏切り”と言う言葉が
強く心に刻み込まれていったのである。

涙は、枯れる事なく朝方を迎えた。
目は既に赤く、腫れあがっていた。

里菜は、側にあった鏡を取り、目の前に置いた。

「顔が、ブスになってるうぅ!こんなんじゃ綺麗になれないよ。
 綺麗になりたい・・・可愛くなりたい・・・。
 だって、女の子だもん・・・!」

里菜は、考える事に疲れたのかシャワーで全てを洗い流すかの様に
シャワーを浴びた。
そして、ベッドに横たわり無意識に眠ってしまった。

時計は10:00を回っていた。
そして、携帯電話が鳴り響いた。
でも里菜は、深い眠りに陥っていた。
それは、直樹からの電話だったのだ。

数時間が経ち、里菜は眠りから覚めた。
時計は、午後12時半を回っていた。

「うっ・・・!眠っちゃったんだ!・・・ん・・・?」

テーブルの上にある携帯電話の着信ランプの点滅に気がついた。
ベッドを抜け出し、テーブルの上の携帯電話を手に取った。
着信履歴には、直樹からの履歴が残されていたのを里菜は知った。

「お願い・・・!もう、連絡して来ないで・・・。お願い・・・!」

里菜の心からの叫びにも思える言葉だった。
すると、また携帯電話が鳴り響いた。
直樹からである。
里菜は、両手を耳に当て、携帯電話のベルを聞こうとしなかった。
やがて、ベルが鳴り止み留守番電話に切り替わった。
里菜は、とっさに両手を耳から離した。

---------------------------------------------
里菜さん、直樹です。

連絡が取れないので、心配しています。
とにかく、連絡待っています。
---------------------------------------------

「どーして・・・・。どうすればいいの?」

里菜は、今の状況から抜け出したかった。
そして、携帯電話を取り直樹にメールをしたのである。

---------------------------------------------
直樹さん、ごめんなさい。

どうしても、会って話がしたいので
夕方、直樹さんの家に行きます。
時間は、16:00。
---------------------------------------------

里菜は直接、直樹と会って別れを告げる為、会う決意をした。
すると、折り返し直樹からメールが入った。

---------------------------------------------
連絡があり、安心しました。
分かりました。では、待っています。
              直樹
---------------------------------------------

里菜は、出かける準備を始めた。
シャワーを浴び、メイクに入る。

「顔が・・・!」

里菜は、いつもより念入りにメイクをして、ごまかした。

「さて、次は洋服・・・?何、着て行こうかな?
 でも、デートじゃないし・・・。でも・・・・!!」

里菜は、着て行く洋服で迷っていた。
別れを告げるはずなのに、女性の本能なのか可愛い自分を
見て欲しいからなのか。

「よし・・・!これにしよう。」

準備が終わり、直樹から貰ったネックレスを手に取った。

「これを返して、終わりにしよう!」

そう言いながら、箱にしまい込み直樹の家に出かけて行った。
タクシーを捕まえ、直樹の家が近づくにつれ、緊張感が里菜を襲った。
里菜は、車の中で何度も深呼吸をし、気持ちを整えた。
やがて、直樹の家の前に車が止まった。
重い足を引きずるかの様に、玄関に向かった。

玄関から、直樹の姿が目に入った。

「里菜さん、何かあったの?」

直樹は、里菜の表情を見て何かあった事を確信した。

「・・・・。」

里菜は、言葉が出なかった。

「さぁ、入って・・・・。」

直樹は、里菜をエスコートし家の中へと入って行った。
すると、1人の女性が現れた。
里菜は一瞬、自分の目を疑った。
その女性は、直樹と楽しそうに腕を組んで歩いていた女性だったのだ。
里菜は、込み上げて来る涙をこらえた。

「お兄ちゃん・・・!その人が、里菜さん・・・・。」

その言葉に、里菜は驚いた。

「えっ・・・。お兄ちゃん・・・?」

「あっ、里菜さん。紹介します。妹のさやかです。」

「はじめまして、妹のさやかです。」

里菜の体から、力が抜けた。

「・・・。あっ・・・!はじめまして、伊集院 里菜です。」

「綺麗な方ですね!」

「お前は、もういい・・・。あっちに行けよ・・・。」

「はいはい・・・!お邪魔でした。」

さやかは、その場から去って行った。

「妹さんだったんですか?」

「そう。妹が何か・・・?」

「いえ・・・。」

里菜は、愕然としていた。

「「今まで、なんだったんだろう!!直樹さん、ごめんなさい。」」

里菜は、心で呟いた。






続く 愛されたい私と愛したい私  第8話 ~真実の愛~


ペタしてね