恋愛小説 17才の夏 第45話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17才の夏 第45話

17才の夏 第45話 ~誕生日~




新年を迎えた6人は、お参りを済ませ境内を
うろうろして、全員でおみくじを引く事になった。
張り切っていた、満が先頭をきった。


「俺から引くよ、えぃ!凶だ!最悪・・・次、まどか!」

「いいわよ。・・・。中吉だよ・・・。学、次・・・。」

「よし・・・!末吉だ・・・。はい、るり子・・・。」

「うん!中吉だよ・・・。紀子・・・!」

「・・・・。あっ!中吉だ・・・・!」

「最後は俺!どれどれ・・・!わぁ・・・大吉だ!!」


凶を引いた、満が叫んだ。


「何で、俺だけが最悪なんだ!!なんでだよ・・・神様・・・!」


そんな満を見て、みんなは笑っていた。
結果は、聡と満以外は納得していた。
おみくじを引き終え、聡は満に言った。


「これからどうすんだよ、満・・・?」

「なんも考えてないけど?」

「おいおい!」

「ねっ!みんなで、初日の出見たくない!!どう?」


突然、まどかが言い出した。
そして聡が、提案に答えた。


「名案だな、まどか!みんなはどうだ。反対の人・・・?」


全員が賛成したが、満が疑問を投げかけた。


「もで、何処で初日の出見るんだよ?」

「まだ、時間あるし。とりあえず、俺の家に来るか?」

「そっか!聡の家の近くの海から、見られるか?」

「その通り。じゃ、みんな・・・行こうよ!」


初日の出を見る為に、6人は聡の家へと向かった。
紀子は、お母さん達に再会出来る気がして、嬉しかった。

しばらく歩き、6人は聡の家に着き、部屋で待つ事にした。
聡の部屋には、紀子と満以外は初めてだった。
まどか達は部屋に入るなり、驚いていた。


「何!聡のお部屋凄いね!!広いし・・・言葉がでないわ!」

「ねぇ紀子は、来た事あるの?」

「うん。あるよ!」

「あなた・・・いつの間に・・・・!!」

「つい先日、初めて遊びに来て、2日泊った。」

「えっ・・・!泊ったって・・・ここに!」

「うん。ご両親が泊ってもいいって言ってくれたから。」

「信じられないわ!」

「もう、お母さんとは仲良しになったよ。」

「ホントに紀子が、羨ましいわ・・・・!」

「おいおい!みんな、座れよ。飲み物持って来るよ!」


4人はソファーに腰をおろした。
聡と紀子は、1偕に降りて飲み物を取りに行った。
まどかは、部屋を見回し、1枚の写真に目がとまった。
そう、ウエディングドレス姿の写真だった。
聡と紀子は、飲み物を持って部屋に入って来た。


「紀子・・・!あの写真は・・・!何??」


すると、満が食いついた。


「おい、お前らいつ結婚したんだよ!!」

「違うよ!たまたま記念撮影があって撮った写真だよ!」

「やっぱり、紀子が羨ましいわ・・・!」


4人は、部屋中に飾られた写真を見て、聡が紀子に対する愛情の深さを感じていた。
6人はしばらくの間、テレビを見ながら、話しをしていた。
すると突然、まどかが聡に言った。


「ねっ!聡・・・。来月(2月1日)、紀子のお誕生日でしょ。
 みんなでお祝いしない?」

「そうだな!じゃさぁ2日の放課後、場所はここでしようよ!」


全員が賛成し、2月2日に聡の部屋で行う事で決まった。
紀子は、嬉しく思いみんなにお礼を言った。


「みんな、ありがとう!!」


紀子は、同じ学年だが早生まれだったので、6人の中では
年をとるのが一番遅く、16歳を迎える。
更にまどかは、聡に聞いた。


「聡は、何時だっけ?お誕生日!!」

「俺は、7月1日・・・・!」

「えっ・・・!偶然なの!あなた達、1日が誕生日なんだ・・・!
 こんな事ってあるんだね!まさに、運命の出会いなのかも?」


この時6人は、誰かの誕生日には全員で、お祝する事に決めた。
時計の針は、4時を指していた。
もうすぐ、日の入りの時間だ。
聡は、時計を確認した。


「なぁみんな!そろそろ時間だと思うけど、早めに行かないか?」


6人は出かける準備を始め、海へと出かけて行った。
外は、まだ薄暗く寒さが厳しくなっていた。

しばらくすると、水平線にかすかな光が見え始めた。
6人は、じっと水平線にくぎ付けになっていた。

徐々に、光が広がってきた。
そして、ついに太陽が顔を出し始めた。
その光景は、まさに絶景だ。
太陽の光と、波の音のコラボレーションしている。
6人は、大自然の素晴らしさに感動し、完全に心を奪われていた。
そして、個人の思い思いを心に刻み込んでいたのである。

体が冷え切っていた6人は、聡の部屋へと戻った。
そして、体が温まるまで、部屋で過ごす事にした。
時計は7時を回っていた。
夜更かしした6人は、徐々に眠気が襲いはじめていた。
そして、5人は帰る事になった。
1偕へとおりると、聡のお母さんが顔を出した。


「あら、いらっしゃい!みんなもう、帰るの?」

「お邪魔、しました・・・。」


その時、お母さんと紀子は目があった。


「お母さん、明けましておめでとうございます。
 今年も、よろしくお願いします。」

「おめでとう!こちらこそ、よろしくお願いします。
 紀子ちゃんも帰るの?まだ、居たら。」

「いいえ、今日は帰ります。」

「残念ね!そうだ、紀子ちゃん、ちょっと来て・・・・!」

「はい!」


そして、リビングへと行くと、お年玉を貰った。


「はい!お年玉・・・!」

「えっ・・・!ありがとうございます。」


紀子は、お母さんの気持ちに答え、素直に受け取った。
そして、紀子は玄関へと戻り、5人は自宅へと帰って行った。
残りの、お正月と冬休みは特に予定もなく、終わりを迎えた。

そして、3学期が始まり、6人は学校で再会した。
いつもの様に、時間が流れていった。
やがて、紀子の誕生日を迎えようとしていた。
誕生日の前日に、聡は紀子に声を掛けた。


「のっこ!日曜の夜、0時に電話する!」

「うん。良いけど・・・どうして?」

「だって、一番に言いたいから・・・!」

「聡、ありがとう!!じゃ待ってるね・・・。」


2人は、電話の約束をして、帰宅した。
そして日曜日夜、時計は0時(2月1日)を迎えた。
聡は、紀子に電話をした。


「もしもし、のっこ・・・・!」

「うん。」

「紀子お誕生日、おめでとう・・・!」


電話口で、聡が言った"紀子"に今までにない何かを
紀子は感じていた。

「聡・・・、ありがとう!!」

「それじゃまた、今日の放課後に!おやすみ!愛してるよ・・・。」

「うん、私も愛してるよ。おやすみなさい!」


そして、聡と紀子は電話の受話器を置いた。
紀子は、自分の誕生日がこんなに嬉しいと思ったのは初めてだった。
笑みがこぼれ、気持ち良さそうに、そのままゆっくりと眠りについた。

朝を迎え、紀子は目を覚ました。
何時にない、すがすがしい朝を迎えていた。

学校の授業がいつもより長く感じていた紀子に
幸せのチャイムが鳴った。


「♪キーン・コーン・カーン・コーン・・・♪」


紀子は放課後になるのを待ちわびていたのだ。
そして、聡が席に近づいてきた。


「のっこ・・・!改めて、誕生日おめでとう!」


聡は、紀子に誕生日プレゼントを渡した。


「聡、ありがとう!」


プレゼントを受け取った紀子は、とびっきりの笑顔を見せた。
紀子は、今回のプレゼントはぬいぐるみをお願いしていた。
そのぬいぐるみを聡だと思い、抱きしめて寝る為だった。
聡は、紀子の可愛らしい一面を知って嬉しく思っていた。

紀子は、この誕生日だけは聡と2人だけでお祝をしたかったが、
聡が反対していたのだ。
誕生日だけは、家族と一緒にお祝する様に言われていたからだ。

生んでくれた両親に感謝の意を示す為に家族だけで過ごし、
お祝をして貰う事が大事だと言う、聡の考えだ。

紀子は、寂しかったが聡の考えも理解出来るから我慢できた。


「のっこ!じゃ、明日みんなでお祝いするからね!」

「うん。楽しみにしてる!!」

「それじゃ、また!」

「うん。また明日ね・・・・!」


聡は、紀子の帰りを笑顔で見送った。
その日、紀子は家族から盛大に祝福を受け、幸せを感じていた。


翌日の放課後、6人は教室に集合し聡の家に向かった。
そして、聡の家族にも祝福を受けパーティーは盛大に行われた。

紀子は、16歳を迎え聡と言う人物に出会い、家族と友達の
大切さを教えられた気がした。


紀子は、また1つ大人へと成長していった。







続く 17才の夏 第46話 ~春休み~