恋愛小説 17才の夏 第35話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17才の夏 第35話

17才の夏 第35話 ~2人の運命~



4人は、ヘルメットをかぶったまま2人に近づいて来た。
男が3人と女が1人のようだ。
そして、2人の手前で立ち止り、緊張感は最高潮に達した。

「何だよ・・・!お前ら!」

聡は、紀子をかばいながら言った。
相手は、無言のまま"クスクス"と笑っているかの様に思えた。
聡は立ち上がって、リーダーと思われる男の前に近づいた。

「何だよ!お前ら、誰だよ・・・!」

聡は喧嘩する覚悟を決めていた。
すると、4人は急に笑い出しヘルメットを脱いだ。

「何だよ!お前らは・・・。悪い冗談はやめろよ。」

4人は、聡の近所の友達だった。

「のっこ!もう、大丈夫だよ。こいつらは、近所の友達なんだ。」

「そうなの。でも、良かった。」

紀子は、ほっとした。

「わりぃ!ほんとごめんな。
 たまたま、通ったら、聡のバイクじゃないかなって思ってさ。
 今日、納車だったろ。朝、見たんだよバイク・・・!」

「あっ、そうだけど、もう・・・からかうなよ。」

「ほんとに、ごめんな。まさか、彼女と一緒だったとは思わなくてさ」

「もう、いいよ。紹介するよ、俺の彼女で紀子。」

「はじめまして、内藤です。聡がお世話になってます。」

「いいえ、こちらこそ。脅かしてすいませんでした。」

「こいつは、靖之(やすゆき)で敏和(としかず)と
 光太郎(こうたろう)とおてんば娘の多恵子(たえこ)。」

「誰がおてんば娘よ。聡、ひどい。あっ、多恵子です。よろしくです。」

「こちらこそ。」

「本当に悪かったよ。じゃ、聡!俺達、帰るわ!」

「おっ!分かった。静かに帰れよ。」

4人は、また爆音と立てながら、帰って行った。
いたずらではあったが、2人はほっとしていた。

「のっこ!ごめんな。あいつら悪気はないから、許してあげて・・。」

「うん!でも、良かった。どうなるかと思った。」

「本当に、ごめん!!」

聡は、紀子を抱き寄せ、気持ちを落ち着かせた。

「じゃ、俺も帰るよ。さあ、帰って寝るかぁ・・・。」

「疲れたんでしょ。ゆっくり休んでね。明日もあるから。」

「うん!分かった。」

聡は、紀子をまた抱き寄せ優しくキスをして、別れた。
紀子は、聡のバイクのテールランプが見えなくなるまで
見送っていた。

「聡、また明日ね!! お休み・・・!」

紀子は、そう言いながら、自宅に帰って行った。



続く 17才の夏 第36話 ~思い出の品~