恋愛小説 17歳の夏 第34話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17歳の夏 第34話

17才の夏 第34話 ~2人の危機~



聡と紀子は初めてのドライブを楽しんだ。
2人を乗せたバイクは海岸沿いを走り、夕日が海に反射し
た光を浴びながら紀子は、心の中で呟いた。

『聡・・・。聡、愛してるよ!』

紀子には、時間が止まっているかのようだった。

赤信号でバイクは停車した。

「のっこ・・・。もう食事して帰ろうか!」

「・・・・。」

「のっこ・・・?」

「う・・うん。」

紀子は、現実に引き戻された。
まだ、帰りたくないと言う気持ちとの格闘が始まった。

2人は近くのレストランで、食事をとる事にした。
メニューを手に取り、軽めの食事をオーダーした。

「ねぇ!聡。また、連れてって欲しいなぁ!!」

「あっ。でも、何で遠慮した言い方なんだ!」

「別に遠慮してないよ。本当に楽しかったから・・・。」

「でも、これからだんだん寒くなるから、バイクは厳しいね!」

「そうだね!もうすぐ、冬だもんね!」

「免許取るの遅すぎたからなぁ!」

10月も後半、秋も終わり、もうすぐ冬を迎える季節。

「聡、明日は?」

「別に予定はないけど・・・。」

「じゃ!明日も、どっか行かない?」

「のっこが予定ないなら、いいよ。」

「やった~ぁ!!じゃ、連れてって・・・。」

紀子は喜び、両手で小さくガッツポーズをした。
可愛く見えた紀子の仕草に、聡は優しく微笑んだ。

2人は、食事と明日の予定を決めレストランを出た。
すでに、7時を回っていた。
しばらく走って、紀子の自宅付近のバス停に着いた。

「聡!今日はお疲れ様でした。その辺で、少し休んで行く?」

「そうだな。少し疲れたし、休んでから帰ろうかな。」

「そこに小さな公園があるから、そこは?」

「あっ、いいよ!」

2人は、目の前にある小さな公園に入った。
時計は20時。公園には街灯も少なく暗かった。
公園のベンチの前で、

「聡。今日はありがとう!」

紀子は、そう言いながら聡に抱きついた後、優しくキスをした。
ベンチに寄り添うように座り、話をしていた。
しばらくすると、何処からか爆音が少しずつ近づいてきた。

「暴走族だな!」

「音が凄いね・・・。」

「俺の近所の友達が、暴走族やっているけどストレス解消なんだって。」

「ストレス解消は、良いけどかなり迷惑だよね・・・!」

「そうだな!でも、そいつは、良い奴なんだよね・・・!」

爆音は、公園の前を通り過ぎ、次第に音は薄れていった。
しばらくして、爆音がまた近づいてきた。
やがて、公園の前で爆音が止まった。

「聡・・・!怖いよ!!」

「大丈夫だよ。俺がいるだろ。」

「分かってるけど!」

紀子は、怖くなり聡にしがみついた。

暗闇ではっきりとは確認出来ないが、バイク3台と、4人のようだ。
聡のバイクの横に停め、4人は2人の方に近づいて来た。

その場に緊張感が走った。
聡は、戦闘体制に入っていた。

4人が、近づくに連れ、更なる緊張感が高まった。



続く 17才の夏 第35話 ~2人の運命~