恋愛小説 17才の夏 第29話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17才の夏 第29話

17才の夏 第29話 ~聡と紀子の危機~  



数日間が過ぎ、聡と紀子が付き合っている事が、徐々に知れ渡っていった。
それでも、聡へのファンレターは激減する事は無かったが、ある日の事。
授業が終わり、聡は紀子に声を掛けた。

「のっこ!今日一緒に帰れる?」

「うん。いいよ!」

「じゃ!帰ろうか!!」

2人は帰ろうとして、聡が靴を履き替え待っていると、
紀子が遅い事に気がついた。
紀子の側に行ってみると、紀子は涙を浮かべて立っていた。

「どうした、のっこ・・・・?」

「うん!なんでもない・・・!」

「そんな訳ないだろう!何があった。話して!」

紀子は、そっと1通の手紙を聡に渡した。
渡された手紙を見て聡は、呆然とした。
その手紙には、聡と付き合っている事に対する嫌がらせの手紙であった。


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『ナイトウ ノリコ ニ ケイコク スル

  イマスグ ナカマ サトシ カラ スグニ ミヲヒケ

  ケイコクヲ ムシ スレバ ドウナルカ オモイシラセテヤル

                       ジゴクノ シシャ』

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「一体、誰がこんな事を・・・・。なんでこんな嫌がらせを・・・!」

聡は、無性に腹が立った。

「のっこ!心配すんな!俺が絶対に守ってやる・・・!」

「・・・・?」

紀子は恐怖心で言葉を失っていた。
聡は、優しく紀子を抱きしめた。

「家まで、送っていくよ。さぁ、帰ろう。俺が付いてるから心配ないさ!」

「うん・・・。ありがと。」

聡は、紀子を家まで送り、帰る途中で犯人を考えていた。


次の日、聡はまどかが気になって、満に聞いてみた。

「おい!満・・・!」

聡は、紀子に宛てた手紙の話しをして、まどかは大丈夫かを聞いてみた。

「いや、聞いてないなよ。でも、紀子にそんな事があったのか!まどかに聞いてみるよ。」

満は、まどかの所へ行き、確認した。

「私には、何もなかったわよ!私も、紀子から聞いてびっくりしたわ!」

「何かあったら、すぐに連絡しろよ。まどか・・・!!」

「うん。分かった。」

どうやら、紀子だけの様であった。
満は、聡の所へ向かった。

「なぁ聡・・・!もしかして・・・!」

「なんだよ。何か心辺りあるのか!」

「いや、確証は無いんだが、るり子じゃないか?」

「まさか?ファンレターの誰かって事も・・・!」

「いや、それはないと思うな。るり子ならありうる事だよ!」

「でも、なんで?なんの為に!!」

「だって、未だにお前の事が好きだって言ってたし、学園祭の事も気になるしな?」

「そう言えば・・・・!!」

「何か、あったのか?」

「いや!この前、仲直りした日に部活が終わった後に、教室でのっこが待っていたんだ!
 その時につい・・・るり子の目の前で、のっこを抱きしめだんだが?」

「いや、目の前でそんな光景を見せられたら、たまんねーだろ!るり子はどうだった?」

「気にしてなかったからな・・・?」

「お前、部活同じだよな!ここ数日間、様子を見てみろよ。信じたくは無いが・・・?」

そして、次の日。
クラス内では、聡と紀子が別れたと言う噂が流れていた。
そのい噂を聞いて、紀子は精神的に疲れていた。

「おい!聡・・・?噂は聞いているか?」

「何の噂だ!」

「お前と紀子が、喧嘩別れしたと言う噂だ!噂の出所はわかんねーが?」

「何・・・?一体、誰が・・・・?何が目的なんだ・・・・!」

「何故・・・!紀子なのか・・・だな!」

「関係のない、紀子をこんな目にあわせる奴は絶対に許さないよ!!」

この時、聡は本当に怒りを感じていた。

「なぁ、聡!やっぱり、るり子しか考えられないよ?」

その時、2人はるり子を見たが、平然としていた。

「あぁ!俺も良く考えて見たけど、もし学園祭の時のファンなら、満やまどかにも何らかあって
 不思議はない。でも、今回はのっこだけをターゲットにしている事を考えれば、俺に興味がある
 奴に違いない・・・!そう考えれば、納得できる。」

「聡、罠を仕掛けてみるか?」

「罠・・・?」

「あっ!今日、時間とれるか?」

「取れるが、どうやって・・・?」

「それは、今日の放課後にな・・・。まどかと紀子にも声掛けておくよ!とにかく、今日は
 紀子と話す事を控えろ!俺からも、紀子には言って置くから・・・!」

「あー、分かった!」

満は、何かを考えていた。

聡には、どうしても理解が出来なかった。
るり子だとすれば、何でここまで細工をするのか。
何故、紀子を辛い目に合わせるのか目的が分からなかった。

本当に、るり子の仕業なのだろうか。

そして、ついに4人の逆襲が幕を開けた。




続く 17才の夏 第30話 ~罠~