恋愛小説 17才の夏 第19話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17才の夏 第19話

17才の夏 第19話 ~再会そして休日~


紀子は、バスに揺られながら嬉しさを噛みしめていた。
やがて、待ち合わせの場所に着きバスを降りた。

「まだ、10時か・・・!少し、早いけど中で、待ってようっと」

そして15分後、聡が待ち合わせ場所に姿を見せた。

「10時15分か、まだ、少し早いから来てないよな・・・?」

聡は、レストランの中へと入った。
すると、紀子の姿が目に入った。
聡は、足早に紀子が待つ席へと向かった。
紀子が聡の姿に気がついた。
感極まって涙を浮かべた。
待ちに待った、2週間後の再会である。

「聡・・・!会いたかった・・・。」

「俺もだよ、のっこ・・・!」

2人は、手を握り締め、再会に感動していた。
すぐに、気持ちも落ち着き、夕食を済ませる事にした。

「のっこ、このレストランは俺達の思い出の場所だね!」

「うん。いつも、ここだよね!」

「そうだ!ここを、いつもの場所って事にしようよ! 
  ”じゃぁ、いつもの場所で・・・!” なんてね・・・。」

「なんか、ドラマの見過ぎじゃない? でも・・・、まっいっか!!」

「今日は、ゆっくりご飯を食べて、明日の事考えよう」

「そうだね。ねっ、聡・・・。また、隣に行っていい?」

「うん。いいよ、おいで」

紀子は本当に嬉しそうだった。
本来の笑顔を見せた。

「今日から会えるとは、思わなかったから、何も考えていないけど、
  今日も、あのホテルに泊るしかないな。それから、どうするか考えようよ!」

「うん。いいよ!」

決まった途端、2人は早めに食事を済ませ、ホテルへと向かった。
今回は2度目。
勝手は理解していた2人であった。
前回とは、違う部屋を選択し部屋へと入って行った。
部屋に入るなり、2人は抱き合いキスを交わした。

「聡・・・。なんか、夢みたい。」

「本当だな!」

今の2人には、多くの言葉は必要なかった。

しばらくして、明日の検討に入った。
色々な案を出し合い、結論が出た。
町を離れ、バスで1時間程行った都会で、約束のお揃いの時計を買い、
そのあとは遊園地や映画、ショピングをする事にした。
そこでホテルに泊まり、最終日はゆっくりと観光をして帰る事にした。

すでに、12時を回っていた。
予定も決まり2人はお風呂に入り、明日に備え抱き合いながら眠りについた。
朝7時、モーニングコールが鳴った。
目覚めの良い、紀子が起きた。

「聡、聡・・・起きて・・時間だよ。」

紀子は正直、もう少し寝かせてあげたかった。
きっと疲れているに、違い無いと思っていたからだ。
すると、聡が起きた。

「うぅ・・・・、おはよう! のっこ。」

「はおよう。今日は、すぐに起きたね。大丈夫。」

「だって、初めての旅行だよ。寝てたら、勿体ないよ。」

「そうだね。じゃ、シヮーワでも浴びてくる。」

「うん、一緒に入ろう。」

「うん。」

2人は、シャワーを浴び、出かける準備を始めた。

「のっこ・・・。その洋服、可愛いね。良く似合ってるよ!」

「ほんと!ありがとう。」

そんな会話をしながら8時には準備を終え、ホテルを出発した。
いつものレストランに行き、朝食を取り9時のバスに飛び乗った。
聡は、やはり疲れていた。
バスの中で眠ってしまったのだ。
紀子は、気を利かせ、そっと寝かせてあげた。
聡の頭が肩に掛り、紀子はその重さと幸せを感じていた。
やがて、バスは目的地に着いた。

「聡、・・・聡・・・。もう着いたよ。」

「えっ・・・!」

聡は、自分が居眠りをしていた事にようやく気がついた。

「のっこ・・・。ごめん。」

「いいよ。でも、ここからは、起きていてね!」

「うん。ほんと・・・ごめん。」

「全然、気にして無いから、側に入れるだけでも十分だもん。」

聡は、紀子の優しさを感じていた。
2人は、バスを降りた。

「おっ、ちょうど10時だ。お店も空く時間だね。」

「何処の、お店に行くの?」

「確か、あそこのビルの近くに、時計を売っている店があるはず。」

「じゃ、行って見ようよ。」

聡は、紀子の手を取り、店へと歩き始めた。

「あっ、ここだ!」

「大きな、お店だね!」

「えっと・・・時計は? あった、3偕だ。エスカレーターで行こうか」

3偕は時計専門店である。
2人は店内で時計を探しはじめた。

「あっ、これだ・・・。」

「わぁ、いっぱいあるね? 聡、どれが良いと思う?」

2人は、数ある中から、3つほど候補を挙げた。

「ねぇ、実際に腕に付けて見てから決めようよ。」

「そうだね。」

聡は、お店の人に選んだ品を出してもらい、実際に腕に合わせて見る事にした。

「これは・・・。なかなかいい感じ! じゃ、こっちは。」

「どれも良いけど、これが一番、聡に似合うかな?」

「俺もそう思う・・・。じゃ、今度はのっこ」

「どれどれ・・・。やっぱり、同じ物がいいかな?」

「そうだね。のっこも、これが、いい感じだね。」

「そうだね。じゃ、これに決めた・・・!!」

紀子は、上機嫌だ。
聡は、店員さんを呼んだ。

「すいません。これ同じものを2つ、お願いします。」

「すぐにご使用になりますか?」

「いえ、プレゼントにしたいので、包んで貰えますか。」

「分かりました。では、こちらで先にお会計をお願いします。」

「はい。分かりました。」

すぐに使うが、初めてのプレゼントだったので、演出を考えていた。
ようやく、2人はお揃いの時計を購入出来た。
すぐに店を出た2人は、近くの喫茶店に入った。

「はい。のっこにプレゼント。」

「わ~い、ありがとう・・・聡。」

「開けて見て・・・。」

「うん。」

紀子は、中身を取りだした。
聡は、紀子の腕に時計をしてあげた。

「ほんとに、ありがとう・・・聡。」

紀子は、嬉しそうに笑顔を見せた。

「じゃ、今度は私から、聡へプレゼント。はい・・・!」

「ありがとう、のっこ。中身は何かな? って、時計だよ・・・。」

「まさかの、1人ボケ・・・1人ツッコミ・・・。ふぅ~。」

「ごめん。」

「じゃ、今度は私が腕にしてあげる。はい、出来た。」

「ありがとう。」

2人は、お互いに見て、喜びを感じていた。
すると、紀子が1通の封筒を、聡に手渡した。

「なんだい? お金じゃないか。なんで・・・」

「聡の分は私が、買ってあげるって言ったじゃない。」

「それにしては、金額が多すぎるよ。」

「いいの。 残りは、宿泊代・食事代・遊び代に使って・・・全然足りないけど。」

「分かった。じゃ、遠慮なく貰って置くよ。のっこ、ありがとうな。」

「いいえ、どういたしまして・・・!!」

聡は、紀子の気持ちを理解していたので、お金を返す事はしなかった。
代りに、何かプレゼントをしようと考えついた。
そして、喫茶店を出た2人は、バスで遊園地へと向かった。
入園券と使い捨てカメラを購入し園内へと入っていった。

「さぁ、思いっきり遊ぶよ・・・! おいで・・のっこ・・・!」

「きぁ・・・!」

聡は、紀子の手を取り、急に走り始めた。
2人は、園内の乗り物を片っ端からのり始めた。
幸いにも、この日は利用者が少なかった。
昼食も取り、2時頃になっていた。

「あっ・・・。楽しいね。久々に遊んだって感じだよ。」

「ほんとに、楽しいね。写真もたくさん取ったし。言う事なし・・・。」

「結構、遊んだから少し疲れたね。園内のお店でも見てから、出ようか?」

「うん。そうだね。」

2人は、園内にあるお店を見て回った。
ある店で紀子の目が、ある物にふと止まった。

「どうしたの?」

「この、ネックレス可愛いなと思って・・・!」

「欲しいの?」

「いいの、無駄遣いだから。」

聡は、紀子の欲しそうな目を見て、考えた。

「ちっとトイレに行って来る。その辺で待っててよ。」

「うん。分かった。」

聡は、その場を離れて、紀子の様子を伺っていた。
紀子が、別の場所に移動したのを確認して、慌ててネックレスを購入した。

「ごめん、遅くなった。 じゃ・・・そろそろ、出ようか。」

2人は、遊園地を後にした。
次は、映画を見る予定だった。
今、話題の感動映画を見た。

「この映画、良かったな。感動しちゃった。」

「私、途中で泣いちゃった。」

「うん、分かったよ。俺も、うるうるしちゃったし。」

感動も冷めやまないまま、時間に追われていた。

「もう、6時か。近くのお店を見てから、夕食にする?」

「うん。時間経つの早いね・・・。」

2人は、雑居ビル内のお店をぶらぶらしていた。

「のっこ、このTシャツどうかな?」

「わぁ~。かわいい・・・。」

「安いから、ペアで買おうか。 夏だし、Tシャツは何枚あってもいいでしょ!」

「うん。これで2つ目だね。 ありがとう!!」

紀子は、嬉しそうに聡の腕に、しがみ付いた。
そして、夕食をとる事にした。
同じ雑居ビル内にある、オシャレなレストランで食事をする事にした。
食事を注文し終えた。

「なぁ、のっこ。まどかに連絡を入れて置いた方がいいよ。心配していると思うし?」

「そうだね!まどかに電話してくるよ。」

紀子は、まどかに電話掛けるため、席を外した。
しばらくして、紀子が帰って来た。

「まどかに連絡して来た。やっぱり心配してた。聡、ありがとう。」

聡は、何故かホットした。
やがて、食事が運び込まれた。

「やっぱり、ファミレスとは、ちょっと違うね。味が・・・。」

「普段は、食べないからね。でも、凄くおいしいよ。」

「そうだね。食事を済ませたら、ホテルを探さなきゃ!!」

「何処か、宛てはあるの? 突然行って泊まれるの?」

「分かんないけど、当たって砕けろ精神で・・・!」

「ちょっと、心配になってきた。」

「信じてないの?」

「そうじゃない。だって、泊れなかったらどうするの。」

「大丈夫!任せなさい!!」

聡は、最悪の事を考えていた。
食事を終え、お店を出た。

「とりあえず、駅に行こう。そこで、ホテル情報を探して見るから。」

2人は、駅に向かった。
そしてホテル情報を探し回った。

「わぁ・・・みんな高いな。ダブルかツインは、1名1万3千円以上はするな。」

「えっ、1部屋じゃないの。1名が・・・・。2名だから、倍の金額。高いね!」

「でもホテルは、こんなもんか。シングルは安いが、いやでしょ。」

「別々は、絶対にいや。」

「少しでも、安くするために、作戦Bを開始するか。」

「何・・・? 作戦Bって。」

「秘密・・・。」

「聡の意地悪。」

聡は、最悪の事を考え、情報を得ていた。

「なあ、のっこ。今日も、ラブ・ホテルでもいいか。」

「うん。嫌いじゃないし、いいよ。何、これが作戦Bなの。」

「そう、ほら見て。あそこは、ネオンで明るいだろ。昼間は、近くを通っても
 分からないけど、夜は場所が分かるよね。あの辺通ったの知ってた」

「覚えてないけど、夜は綺麗だね。」

「その時に、ちらっと見たんだ。宿泊だと、1万5千円だった。
 ラブ・ホテルの方が、安いんだよ。ただ、空いているかどうかが問題なんだけど」

「そっか、昨日のホテルも1万円ぐらいだったもんね。何で、普通のホテルより安いの。」

「俺には、分からない。」

「異議なし。安い方でお願いします。だって差額分で遊べるもんね!!」

「しかし俺、ラブ・ホテルにハマりそうだよ。」

「もう、ハマってると思いますけど・・・。なんて、私もだね。」

2人は、そう言いながら、ホテルのネオンを目指して歩き始めた。

「ここだ。ほら、金額が書いてあるでしょ!」

「ほんとだ、聡の言った通りだ。」

「ねぇ、空室って、空いてるんじゃない?」

「そうだね。ラッキーかも!」

2人は、部屋を取った。
宿泊が出来て、2人はホットしていた。
部屋に入るなり、聡は紀子を抱き寄せ、そっとキスをした。
しばらくの間、抱き合っていた。
2人には、言葉は必要なかった。
しばらくして

「わぁ、聡。やっぱり豪華で広いね。普通のホテルより絶対にこっちがいいよね!」

「そうだね。のっこ、ちょっと目をつぶってごらん。絶対に開けないでよ!」

「なんで?」

「いいから・・・!」

「分かった。」

聡は、購入したネックレスを取りだした。
そっとネックレスを紀子の首にかけた。

「目を開けてごらん。」

紀子は、驚いた。
ほんとは、欲しかったネックレスだったからである。

「なんで・・・なんで・・・! 聡、ありがとう・・・! 大好き・・・!」

紀子は、思わず聡の頬にキスをした。
喜ぶ姿を見て、聡は幸せだった。
2人は、お風呂に入り疲れを癒した。
はしゃぎ過ぎた2人は疲れからか、ベッドに入り、うとうとしていた。
いつも通り、抱き合いながら、眠りに着いた。
そして、2人の初日が終わった。


続く 17才の夏 第20話 ~休日そして別れ~