恋愛小説 17才の夏 第16話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17才の夏 第16話

17才の夏 第16話 ~アルバイト~


聡は、バイト先である友子の家へと入った。
友子のお父さんがいた。

「こんにちは!。おじさん、今年もよろしくお願いします。」
「おぉ。聡くん。今年も頼むよ!聡くんが、いないと大変だからなぁ」
「そんな事ないですよ。」
「いやいや。本当だよ。聡くんのような働き物はめったにいないからなぁ。
  本当に、世話になるよ。頼んだよ。聡くん。」
「ありがとうございます。頑張ります。」
すると、友子がやって来た。

「あっ、聡・・・。早いね?今年もお願いね!」
「任せなさい・・・!」
「ねぇ、聡?紀子と付き合ったの?」
「うん。付き合ってるよ。どうして?」
「先日、学校で聞いたんだ。びっくりした。でも、休み少ないから、会えなくても大丈夫なの?」
「しょうがないよ!事情は話して、理解してもらった。」

「聡は、もてるから今まで彼女がいない事が不思議だったんだよね?」
「そんな事ないよ。」
「今、クラスでも評判だよ。聡の事。かっこいいって・・。」

「休み明け、大変じゃない?紀子の事が知れ渡ったらさ・・・。」
「別に知れてもいいし、隠す気は無いから。」

「紀子がうらやましいよ。ホントに。あっぁ・・・私もファンだったのに・・・!」
「バカ言うなよ。」
「本当だよ。うちのお父さんも聡の事、凄く気に入ってるし。聡と結婚出来ないのかって」
「まだ、高校生だよ、俺達・・・。」
「そうなんだけど、ちなみに、お母さんも聡のファンだよ。」
「仕事、しにくいな?まったく!!」

「あっ、そう言えば去年いた、田中くんが辞めたんだ。代わりに今日新しく1人来るから、
  後で紹介するね!。」

「そうなんだ!。友子、実は今度人手が足りなかったら、俺に声かけてくれないかな?」
「良いけど、どうして?」
「うん、ここで働きたいと言う人がいてさ・・・。」
「分かった。その時は、相談するよ。聡の紹介なら、きっと無条件でOKだし。」
「頼むよ!」
「分かった。聡は、絶対に辞めないでね?」
「高校のうちは、絶対に辞めないよ。」
「良かった。安心した。」

「ね、満はいつから来るの?」
「確か、2週間後とか言ってたな?早く来てくれないと俺も大変だよ!」
「そうだね!満が復帰するまで、頑張るか?」

聡は、仕事でも評判が良く、友子家の人気物でもあった。
そして、いよいよ仕事が始まり、忙しく働く聡であった。
しばらくして、友子のお母さんが来た。

「聡くん。お茶入れたから、休憩しない!」
「はい。ありがとうございます。」
聡は、手を休め、休憩へと入った。
間もなく、友子が来た。
「聡、紹介するね!今日からの新しいバイト生・・・・・・・・?」
「るり子・・・!」
「やっぱり、知ってたか?同じクラスだもんね!」
「聡くん。よろしくお願いします。」

聡は、動揺していた。
「でも、なんでるり子が・・・?」
「たまたま、学校で仲良くなって、夏休みバイト無いかなって言ってたから、ちょうど田中くんが
  辞めたから、じゃ・・うちのバイトやって見る・・・って事になって」
「そうなんだ。」

「るり子とは、話した事あるの?」
「あるよ!だって部活のマネージャーだもん。」
「えっ、そうなんだ。じゃ、平気だね。」

聡は、平常心では居られなかった。そして仕事に戻った。
しばらくして、友子が来た。

「ねぇ、聡。るり子となんかあったの?」
「いや、別に・・何もないけど・・・」
「なら、安心した。なんか、さっき動揺していた様に見えたから、何かあるのかなって思ったてさ。」
「じゃ・・。よろしくね!」
友子は安心した顔をして、戻って行った。

聡は、この夏休みのバイトをどう乗り切るか不安を感じていた。
聡にとって、まさかの展開が待ち受けていた。
初日の仕事も終わり、聡は帰り支度をしていた。

友子が声をかけて来た。
「ねぇ聡。これから、ご飯を食べにるり子と行くんだけど、一緒に行かない?」
「えっ!・・ごめん!今日は、都合悪くて・・・まっすぐ帰るよ」

聡は、とっさに切り返した。
「うん。分かった。また今度ね!」
「ほんと、悪いな?」
「別に、気にしてないから。なんか変よ聡?」
「いや、急いでいるから・・・」
「そっか!気を付けて帰ってね!」
「おぉ。ありがとう。」

遠くに、るり子の視線を感じていた。
聡は、急ぐように、
「お疲れさまでした・・・。帰ります。」
「お疲れさん。聡くん。明日も頼んだよ」
「はい。それじゃ・・おやすみなさい。」
聡は、急いで出て行った。

帰る途中、心の中で考えていた。
「「やばいな?友子に怪しまれたかな? まさか、るり子!友子に話したり、しないよな?」」
「「るり子は、俺がバイトしている事を分かって来たのかな? まさか? 計画的??」」

聡の不安はどんどん広がって行った。
「「いや、もう終わった事だ。気にしないで、普段通りに接するしかないよ・・・!!」」
「「俺との出来事だけは、話さないでくれよ・・・! るり子??」」

聡は、心で叫んでいた。
自分の犯した、過ちでも紀子との関係を終わらせたくない気持ちで、いっぱいだった。
その夜、聡は紀子には電話はしなかった。携帯電話が普及していないこの時代では
電話は簡単には、出来なかったからである。


続く 17才の夏 第17話 ~一方で~