恋愛小説 17才の夏 第10話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17才の夏 第10話

17才の夏 第10話 ~約束~




ふと、聡は眠りから覚めた。

「まだ、こんな時間か?」

朝の4時過ぎだった。

聡は、着替えて家を出た。
家のすぐそばにある海へと向かった。
聡は海をじっと見つめていた。

自分の心を洗い流すかの様に、押し寄せる波を見つめながら、
るり子との出来毎を思い出し、後悔していた。

「「よし、忘れよう!るり子とは、友達。紀子の事だけを・・・。」」

聡は、心の中で呟いていた。
ふと、交換日記の事を思い出した。
慌てて、家へと戻った。

聡は、交換日記を鞄から取り出し、読み始めた。

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 仲間くんへ
  付き合ってくれて本当にありがとう。本当にうれしかったよ。
  入学してから、仲間くんを見た瞬間、一目ぼれでした。
  自分からは言い出せなくて、友達には、話をしていたの。
  まさかって感じです。今でも、信じられません。
  あまり話すの得意な方じゃないし、面と向かって話せない事も
  手紙だと話せる気がしました。
  これからは、仲間くんの良い彼女になれる様に頑張ります。
  今後とも、よろしくお願いします。

  PS  
   これから、聡って呼んでもいいですか?
   実際、恥ずかしくて呼べるか分かりませんが!!

               大好きな大好きな、聡へ  紀子
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聡は、何故か涙が出てきた。
自分の過ちを深く反省していた。そして、更に紀子への思いを深めていった。

「「さぁ!!学校へ行くか!今日は、キャンプだ!!」」

聡は、キャンプの準備支度を始めた。
準備を終え、学校へと向かった。

「おはよう!!」

聡は、いつも通り元気に教室へと入った。

「おい!聡、それはなんだ?」

「ギターだよ!満(みつる)と今日の夜にプチコンサートでもやろうと思ってさ!」

「聞いてね~よ。そんな事」

「サプライズだよ。なぁ満・・・!」

「おう!」

聡は、中学の時からギターを覚え得意であった。

始まりにチャイムが鳴り、先生が来た。

「今日から、1泊2日間のキャンプだ。くれぐれも事故等の無いよう各自気をつける事」

「は~い!!」

「じゃ・・。全員、グラウンドへ集合。荷物は、体育館に置いて置く事。いいな。」

午前中は、昼食の準備が主な内容だった。聡のクラスは定番のカレーライスだった。

「おい!誰か?水を汲んで来てくれよ!」

「おぉ・・・!おれが行って来るよ。」

「頼む・・・。聡!」

聡は、積極的だった。大きな水を入れるボトルを持ち、周りに気がつかれない様に紀子を誘った。

「水汲みに行くから、手伝ってよ。」

「うん。」

紀子は、気持ちよく付き合った。

「日記ありがとう。読んだよ。呼び方、聡でいいよ。」

「うん!!分かった・・・。じゃ、私の事は何って呼んでくれるの??」

「そうだな?紀子はみんな呼んでるから、嫌だな?」

「じゃぁ・・・?何て・・・!」

「のっこ・・・・のっこはどう?」

「聡が、決めたならいいよ!」

「じゃぁ、のっこで決まりだ。でも、ちょっと恥ずかしいね」

「そうだね、慣れるまで大変かも・・・?お互いに・・・!」

「今日は楽しく、いい思い出を作ろうよ。」

「うん。凄い楽しみ。聡と一緒だし。」

2人は少しずつ、距離を近づけて行った。

やがて、昼食の時間となり、カレーライスを食べながら、クラス全員が盛り上がった。
聡は、るり子の事が気になっていたが、今日は元気に明るく振舞っているのを見て安心した。

昼食も終わり、

「じゃ、これからキャンプファイヤーの準備をするから、男子は木を運ぶ。
 女子は、昼食の後片付けだ。分かったな!」

「は~い!」

それぞれ、準備が終わり、夕食への準備と流れた。夕食はみんな大好きなバベーキューだ。
みんながバーベキューを楽しみながら、時間は流れた。

「キャンプファイヤーまで、あと1時間半ぐらいあるから、各自自由行動していいぞ。
 集合は、7時10分前だ。分かったな。」

「は~い!!」

満はクラスのみんなに、コンサートの話をした。

「これから、聡と2人でプチコンサートを行います。聞きたい人は残って聞いてください。」

満と聡は、準備に入った。
クラスのほとんどが、2人のサプライズにびっくりしていた。
他のクラスの人達も集まってきた。
プチコンサートが始まり、満と聡は熱唱した。
周りも感動したのか、泣く物さえ出てきた。
コンサートも無事終わりを迎えたが、周りからアンコールの声が上がった。

聡は、まさかのアンコールに一番得意な歌を熱唱し閉幕した。
満と聡は、この日をきっかけに人気物になって行った。

いよいよ、キャンプファイヤー。先生が火を入れ、火柱が上がって歓声が沸いた。
音楽もかかり、フォークダンスが行われた。

るり子の順番が近づいて来た。
聡は、普通に振舞う事にした。

るり子が話をして来た。

「昨日は、ごめんなさい。もう、大丈夫だから!。」

「コンサート、カッコよかったよ。更に、好きになりそうだよ・・・冗談・・?」

るり子は笑いながら、言った。
この姿を見て、聡は大丈夫のような気がした。

いよいよ、紀子の順番が近づいてきた。

「さっきのコンサート。聡、カッコ良すぎだよ。益々、好きになっちゃった。」

「ありがとう。凄く緊張して良く覚えてないんだ。」

「ライバルが増えそう!どうしよう?」

「何・・・言ってるんだ。また、後でね・・・」

やがて、キンプファイヤーも終わり、就寝まで自由行動となった。

聡は、紀子を呼び出した。

「のっこ・・・!教室へ行こうか?」

「うん・・・。」

2人は、こっそり抜け出した。

教室へ行く途中は暗く、月の明かりだけであった。

「のっこ、手・・・・」

聡は、紀子の手を取り握りしめた。
教室へ入ると、2人は夜の月を見て、しばらくの間、無言だった。

「のっこの事が本当に好きになってきた。こんな気持ちは初めてなんだ!
  今まで、女子と付き合った事が無いから、どうして行けばいいのか分からないけど
  のっこの事、幸せに絶対する。約束するよ!!」

「約束だよ!!聡・・・・。ありがとう。」

「じゃ・・指きり・・・!」

「指きりげんまん、嘘ついたら、針千本・・・飲~ます!指切った・・!」

「キャ~!!」

聡は、紀子を急に抱きしめた。
2人は抱き合いながら、そしてそっとキスをした。
そして、抱き合いながら、ゆっくりと時間が流れた。

「少し、寒くなってきたか?」

「そうだね!」

「今日は、ここで寝ようか?寝袋があるから、持って来よう。」

聡と紀子は、予備の寝袋を取りに、体育館へ取りに出かけた。



そして、大きめの寝袋を教室に持ち込んで、そり沿いながら、2人は教室で朝を迎えた。






続く 17才の夏 第11話 ~寂しさと不安~