恋愛小説 17才の夏 第7話 | HUMMERの部屋

恋愛小説 17才の夏 第7話

17才の夏 第7話 ~思わぬ告白~
 




翌朝、聡が教室へと入ると、一部の女子から強い視線を浴びた。


「「何?どうした!」」


聡は、心でつぶやいた。


「「もしかして、紀子との事か?」」


ふと見ると、紀子のまわりを数名の女子が囲んでいた。


「「やっぱり、そうか! まぁ、いいっか!!」」


聡が、自分の席に行こうとした瞬間、るり子と視線があった。


「「何で・・泣いてるんだ!どうしたんだ!!」」


聡は、るり子がなぜ泣いていたのかが、理解出来なかった。
午前中の授業が終わり、昼休み時間に聡は、るり子に問いかけた。


「るり子、朝泣いてたけど、どうした?」

「なんでもないよ。」

「それなら、良いけど・・・?」


聡は、るり子の態度に何かを感じた。


「「いや、何かあったんだ!でも、何かあったら相談されるだろう!」」


聡は、自分に言い聞かせ、気にしない事にした。
午後の授業も終わり、放課後のダンス練習に入った。


「今日で、練習は終わりだ!いよいよ明日はキャンプに入る。」


毎年恒例の夏休み前キャンプだ!。
練習が行われ、聡と紀子の順番が来た。


「昨日は、ありがとう!」


紀子が先手に出た。


「言い方悪いけど、なんかまだ実感が沸かないんだ。多分、これからだと思うけど!」


ダンス中の短い時間では、一言、二言が限界だ。
続いて、るり子へと順番が回って来た。


「聡、今日時間取れる?」

「あっ、いいよ。」

「じゃ、練習が終わったら教室にいるから。」

「わかった。」


聡はやっぱり、るり子に何かがあった事を実感した。
そして練習が終わった。


「これで、練習は終わりだ。
 明日のキャンプ、みんな事故の無いように楽しむ様に・・・いいか・・・!」

「は~い!!!!」

「では、解散。」


聡は、紀子と交換日記を受け取る為、まっすぐにグランドへと向かった。
しばらくして、紀子がグランドへとやって来た。

「はいコレ!ノート。緊張して書いたから良よく覚えてないけど・・・?」

「うん。分かった。明日のキャンプ、楽しみだね!」

「そうだね!」

「まさか、高校生になってもキャンプやフォークダンスやるとは思わなかったよ。」

「先輩から、聞いていたから知ってた。ここの高校の伝統らしいよ!」

「でも、キャンプファイヤーが楽しみだよ。」

「夏休みが終わったら、すぐ学園祭だし。いろいろと学校行事があるか大変だね!
 仲間くんは、学園祭は何かやるの?」

「うん!まだ決めてない。どれぐらいの提案が出てくるか分からないし?」


この学校では、クラスで行う案件が2件まで、
グループ又は個人で行える案が2件までと決められている。


「明日のキャンプ、時間を取って会えるかな?」

「うん。会いたい!」

「じゃ、時間を見計らって会おうか?」

「うれしい。」

「じゃ、帰ろうか!」

「うん。分かった。途中まで、一緒に帰れるの?」

「ごめん!今日は、クラブの話しがあって、少し学校に残るから、一緒に帰れないんだ!。」

「バスケット?」

「そう!」

「わかった。あっ明日は、キャンプだから、ノートはその次ね!」

「分かった。じゃ、気をつけて帰れよ。」

「うん。バイバイ!!」


聡が見送る中、紀子が帰って行った。


「さぁ。教室へ行くか?」


聡が、教室へ入ると、るり子は待っていた。


「ごめん!遅くなって!」

「いいよ。」

「でっ!!どうした?」


るり子は切り出せなくていた。


「どうしたんだよ。朝泣いてた事と何か関係があるのか?」


るり子が切り出した。


「そう。聡・・・・!」

「なに!?」

「紀子と付き合ったんだって!」

「何で、知ってるの?」

「紀子とは、元々友達だったから、朝来たら嬉しそうにしていたから、
 どうしたのって聞いたら”私、仲間くんと付き合ったの!”・・・って
 嬉しそうに話してくれたの!それを聞いて、涙が出て来て・・・・。」

「どうしてだよ?」

「だって、私は聡が好きなの!!好きになったの!大好きなの!」


聡は、るり子の発言に戸惑いを覚えた。
しばらくの間、2人は無言だった。


「聡、ごめん!こんな時に、こんな話をして・・・!」

「お願いがあるの?もう、迷惑をかけないから」

「なに?」

「今日だけ私に、付き合って・・・?」

「どういう事?」

「私、聡の事諦めるから、今日だけ2人でいたいの?そしたら、必ず諦めるから。」


聡は、どうすればいいのか判断に迷っていた。
紀子と付き合ったばかりで、るり子との2ショットを誰かにでも目撃されたら、と思っていた。
聡は、考えた。
そして、


「分かった!。今日だけだよ!」

「本当・・本当に?・・・・。」

「あっ。いいよ。じゃ出かけよう!」

「えっ。どこに行くの?」

「黙って、ついて来いよ!」



聡は、積極的だった。

るり子への詫びのつもりなのか、るり子への思いなのか?





続く  17才の夏 第8話 ~幸せな時間~