アドレリアン本郷ひろなかの「嫌われる勇気」解説 第11会です。 どのような意味づけをほどこすか

実は、アドラー心理学は、過去の環境のような原因が決めてしまうという「決定論」は否定していますが、過去の環境の影響は否定しない「やわらかい決定論」です。

だからこそ、アドラーは、教育や子育てに興味を持ち、世界最初の児童相談所を作り、親や教師や医師の再教育の場としたのです。

親や教師や医師を再教育することで、子どもたちの成育環境を改善しようとしたわけです。

決定権は、過去の成育環境にあるのではなく、本人にあるのですが、「青年」のように「幼いころから優れた兄と比べられて育って来た」という環境に大きく影響は受けるわけです。

ただ、私たちは過去の成育環境を「原因」とは思わないで、ただの「影響」だと思い、その影響をもとに決定を下したのは本人だと思っているからこそ、救いがあると思っているわけです。

子どもの頃の決定は過去のモノなので、過去にさかのぼって覆すことはできませんが、決定権を有する「原因」ではないので、過去にさかのぼって覆す必要もないわけです。

決定権を持った本人が、子どもの頃に決定したライフスタイルを、幸せなライフスタイルに決定しなおせばいいわけです。

そして、その決定し直しの時に、競争の枠組みから離れて、他者を協力し合う仲間だと思う枠組みに決定しなおせばいいわけです。

そして、過去はすでにないため、それに対する現在の意味づけさえ変えてしまえば、世界はすっかりと変わってしまうわけです。

過去はないのです。過去の出来事についての 今の記憶 しかないのです。今の記憶=意味づけを変えてしまえば世界は変わるのです 

なぜならば、われわれは、現実そのものを直接見ることはできなくて、意味づけを通してしか見ることが出来ないからです。

意味づけ=ライフスタイルで世界は変わるのです。

アドラー派のカウンセリングを受けて、ライフスタイルを改善した人たちは、口をそろえて、過去の記憶が変わったと言います。

私も変わりました。過去の悲惨な体験の記憶が薄れたり、まったく違ったものに変わったり。

この体験をした人は、「ああ。トラウマってないんだ。」と分かります。

間違えないようにいますが、思い出すととてもつらい、苦しい記憶を持っている人はたくさんいます。それを「トラウマだ。」と呼んでいる人たちがいることも承知しています。

私たちは、それを「トラウマ体験」という原因によって必ずそうなっているという決定論を否定しているだけです。

アドラー心理学は「やわらかい決定論」ですから、原因だけが決定するという決定論は否定しますが、過去の成育歴のような体験の影響までは排除しません。

「体験」という影響を受けて、その「体験」を本人がどのように受け止めるかという「意味づけ」を通して、現在のライフスタイルを形成し、そのライフスタイルに合致する記憶を保持している。と私たちは思っているのです。

だから、「哲人」は、P101で、「過去の出来事にどのような意味づけをほどこすか。これは『今のあなた』に与えられた課題です。」と言っているのです。

引用元:本郷ひろなかの「嫌われる勇気」解説11 どのような意味づけを・・・
 
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