ココナッツにとって、この4月はちょっと特別な気持ちで迎えた4月でした。


それは…「突発性難聴」という、耳の病気を発症してから、ちょうど1年が経ったからです。


ちょうど1年前の4月。土曜日の夜でした。


あっくん、かずちゃんと3人でお風呂に入ってる時、急に耳に違和感を感じました。


「耳にお湯でも入ったのかな?」と思いましたが、二人にパジャマを着せ、自分が着替え終わっても違和感は消えず…


どころか、ビーという小さな耳鳴りもずっと鳴り続いていることに気付きました。


パパ、やまくんはバスケ中。


帰ってきてから、「耳鳴りがやまないなんておかしいね」「でも一晩寝れば治るかもね」と言い、夕ご飯もあまり食べれず、早めに就寝しました。


翌日、目が覚めたとたん、ものすごいめまい。


ふすまがまっすぐ見えない。


よく、野球のバットを床に当てて、おでこにくっつけてぐるぐる回った後走る…みたいな競技がありますが、まさにそれをやったあとのようにぐるんぐるん回っています。


トイレに行こうにもまっすぐ歩けず、壁を伝って歩き、帰りには床をはいはいしていました(当時0歳10ヶ月だったかずちゃんも、まだはいはいで,二人ではいはいしてました


これはおかしすぎる。と日曜でもやっている病院をやまくんが電話で探してくれました。


幸い、ココナッツの父が仕事が休みで家にいたので、あっくんとかずちゃんを預け、病院に向かいました。


このとき、ぐるんぐるんのめまいで着替える気にもなれず、パジャマのままで車に乗りました。


でも、病院に着けば、耳や鼻から何か管でも入れて、プチってやればすぐ治るんだろう…なんて思っていました。


ところが、着いた病院では即入院を言い渡されました。


日曜なのに特別に聴力検査室を開けてくれ、調べた結果は70dbの難聴。


先生が左耳のそばで指をかさかさこすり合わせても、何も聞こえてきませんでした。


まだ、3歳のあっくん、0歳で母乳も毎日飲んでいるかずちゃん。


今から私が入院したら、二人はどうするの?と、不安な気持ちでいっぱいでした。


「二人のことは何とかするから、とにかく今は入院しよう。」


やまくんにそう言われ、入院することに決めました。かずちゃんには点滴の影響で母乳は飲ませられないので、しばらく母乳はお休みすることになりました。


そして、他県からココナッツの妹あみちゃんとその娘くぅちゃんがやってきてくれ、あっくん・かずちゃんのお世話をしてくれました。


この病気は突然、耳が聞こえなくなる原因不明の病気で、治る確率は50%。


めまいは、点滴でほぼ治るけれど、難聴と耳鳴りはもしかすると一生続くかもしれない。と先生に言われました。


始めは、入院したこと自体に落ち込んでいましたが、次第に治らないことへの恐怖に変わっていきました。


めまいは、言われたとおり入院2日後には収まっていましたが、聴力の検査は70~80db。


耳鳴りも、ひどい時は車のクラクションのように、大きく響きます。


このまま、耳鳴りが消えない私になったら、あっくん・かずちゃんにイライラをぶつけてしまうんじゃないか?


ママの笑顔が何よりも必要な時期なのに、いつも笑ってあげられなければ、精神的に不安定な子に育ってしまうんじゃないか?


それなら、早めに離婚して、いつも健康な新しい人を探してもらった方がいいんじゃないか?


そんな事を考えては、ベットでめそめそ泣いてばかりいました。


点滴を取り替えるたびに泣いている私を見て、看護婦さんが精神科の先生へ連絡し、ベットまで往診に来てくれました。


そして、「軽度のうつ病」と言われてしまいました。


抑うつ剤を出しますから飲んでみましょうか…という言葉に頷きかけていた私を、やまくんが遮りました。


「その薬を飲むと、また母乳はあげられなくなるんですか?」


そうですね…と言う先生に向かって、やまくんはこう答えました。


「それなら、その薬はいりません。彼女にとって、子供に母乳を与えることの方が抑うつ剤よりもっと、前向きになれて、自分を取り戻せる薬になると思うんです。」


「もし、右耳も聞こえなくなれば、家族みんなで手話を勉強します。」


「退院後、注意して彼女の様子をみて、またここ(精神科)に連れてきた方がいいと思ったときはきちんと連れてきます。」






この言葉を聞いて、ネガティブにばかり考えていた私も、「やってみなくちゃわからないな」と思えるになりました。


そして、妹あみちゃんにも


「お姉ちゃんは負けず嫌いだから、何も言わないけど、みんな、お姉ちゃんの力になりたいって思ってるんだよ。何でも言って?二人っきりの姉妹じゃない」


「今まで、お姉ちゃんは子育て人の3倍くらい一生懸命やってきたんだから、これで人並みになったと思いなよ。あっくんとかずちゃんならわかってくれるって」


と励まされました。


入院中、メールで伝えた友だちからも、たくさんの励ましのメールやお手紙をもらって、本当に私は、周りのみんなに支えられているんだなぁって、実感しました。


「健康なママでもイライラする時はある。それが人間なんだよ。だからココナッツはココナッツのままでいいんだよ。」


たくさんの言葉に、励まされました。


そして、退院の日。あっくんに「今日は病院でバイバイじゃなくて、ママも一緒におうちに帰るよ」と言った時の


「ホントに?!」と驚いたような満面の笑顔。


「あぁ、この笑顔を、私、一生忘れないだろうなぁ~。」と、思いました。


退院してから、あっくんは今まで以上に私を気遣ってくれる、優しいお兄ちゃんになりました。


まだまだ3歳なんて甘えたい年齢なのにごめんね…と思ってしまいます。


そして、何気ない平凡な毎日が、実はすごく幸せなことなんだなぁ~って、病気のおかげで気づけたような気がします。


すごく長くなっちゃって、ごめんなさい。


今では聴力は50~60dbに回復し、中度の難聴です。


耳鳴りは、健康なはずの反対の耳からも聞こえるようになっちゃって、左右で違う耳鳴りが続き、騒々しい頭の中です。


この病気は、特に痛みも無く、死に関わる物でもないので、あまり研究もされてないそうです。


病院に行っても「なる物だと思って気にしないことしか出来ない」と言われてしまいます。


死には関わる病気ではなくても死ぬまで付き合わなくてはならない。


いつか特効薬でも開発されないかなぁ。。。