みなさまごきげんよう。
突然ですがわたくしはラグビー日本代表に謝らなくてはなりません。
「もう145点取られんなよ┐( ̄ヘ ̄)┌」的なネタコメントをした翌日にまさかイタリア相手に勝利を収めるとは。。。Σ(=°ω°=;ノ)ノ
しかもスクラム全然負けてなかったじゃないですか
無礼な口を利いたことを地にめり込むほど伏してお詫び申し上げると共に秩父宮で大絶叫して喉を嗄らしたことをここにご報告いたしますm(_ _ )m
来年のW杯が楽しみ
さて恒例の7月刊ためし読みシリーズをはじめますよ
まずは待望の新作のこちら
ウルンジャー書店で買うと特典ペーパーがついてきますのでぜひよろしくお願いします
ウルンジャー書店のリストはこのあたりを見てね。
http://cobalt.shueisha.co.jp/news/support/
http://ameblo.jp/cobalt-shueisha/entry-11856332270.html
編集(て)
『響け!~できそこないの歌うたいと五線譜の絆~』
(希多美咲 イラスト/北沢きょう)
兄の失踪によって、レイルは是が非でも歌うたいにならなければいけなくなった。アークライドの血を引く限り、それを拒否することはできないのだ。ウィランの説得に応じてルビオスを出てきたのも、その使命感ゆえだった。だが、出来そこないの自分が果たしてウィランの期待に応えることができるのか、とても不安だ。
レイルは自然とウィランの持つヴァイオリンに目をやった。
(魔楽器……)
ヴァイオリニストのウィラン・シェアードは、兄と同じく特別な存在だ。
彼の操るヴァイオリンは普通のヴァイオリンではない。魔力を持つ不思議な楽器だ。アークライドの歌うたいが声で魔力を使えるなら、魔楽器を操る人間は楽器で魔力を使う。
この楽器は普通に演奏することもできるが、魔曲と呼ばれる曲を演奏すると、奏でる音色はとたんに魔力を秘めてしまうのだ。歌うたいの歌声と合わさると、その力は二倍にも三倍にもなる。
加えて、シェアード家のヴァイオリニストは、代々アークライドの歌うたいを守る責務も負っていた。それは、貴重な存在である歌うたいの命を脅かさないために、親戚筋のシェアード家が自ら課した使命でもあった。
家に代々伝わるヴァイオリンを継承したときから、シェアード家の魔楽器使いと歌うたいは対のような存在になるのだ。
もちろん、エリクスとウィランも例外ではなかった。だから、二人は幼いときから常に一緒にいたのだ。
なのに、エリクスは消えてしまった。
ウィランは、どんな思いでこの現実を受け止めたのだろうか。
「着きましたよ」
その心中を計りかねていると、不意にウィランから声をかけられた。
「あ、うん」
いつの間にか馬車が止まっていたことに気づき、レイルは慌てた。
窓の外には、大きな劇場がある。その前では、たくさんの人々が列をなしていた。
アリアル交響楽団の名声は、田舎町にいても耳に届いていたが、その人気は本物のようだ。
レイルは緩んでいたタイを締め直すと、馬車を降りていくウィランに続いた。初めて踏んだハングラッドの地に、ますます緊張が高まる。
これからどうなるかわからない不安のせいだろうか。
「――ウィラン!」
突然、背後から声がかかったのは、馬車がレイルたちを置いて格納庫に向かってからだった。
振り向くと、やけに派手な二人組が近づいてくる。目つきが鋭い赤毛の青年と、柔和な顔をした亜麻色の髪の青年だ。二人とも都会特有の華やかさを備えていた。
「遅かったじゃねぇか。弟君がダダでもこねてたか?」
「そんなに時間をくった覚えはないが」
赤毛の青年の言葉を軽く受け流し、ウィランはレイルを前に出した。
「エリクスの弟のレイル・アークライドだ。レイル、彼らは魔楽器使いのユウリ・サニウスとキアス・ダリエルです」
「魔楽器使い……?」
いきなり見知らぬ相手を紹介されてレイルは戸惑った。レイルの知る魔楽器使いはウィランだけだ。選ばれた者しか扱うことができない魔楽器を奏でることができる者が二人もいるなんて、正直驚いた。
「初めまして。レイル・アークライドです」
精一杯の敬意を込めてレイルが手を差し出すが、赤毛のキアスは握ろうとはしなかった。
「ふぅん、これがアークライドの出来そこないか」
じっくりと値踏みでもするように赤毛は上から下までレイルを眺める。
イヤな気分になって、レイルは無言で手を引いた。
「それは言うなって言ったでしょうが。お前の脳みそは空っぽなのか?」
キアスを軽く叱りながら、ユウリはレイルの手を握った。
「初めまして、レイル? 俺はユウリ・サニウス。君は思ったよりエリクスによく似てるな。特に目の形がそっくりだ」
「そ、そうですか?」
うれしくて頬を染めると、ユウリは小さく吹き出した。
「か~わいいねぇ。レイルはけっこうなお兄ちゃんっ子だな。こんなかわいい弟を置きざりにして、よくエリクスは平気だったな」
「ユウリ、それくらいにしろ」
ウィランがユウリをたしなめたが、ユウリは笑ってレイルの頬をつねった。
完全に子供扱いだ。
「こいつ、歌えるのか? 歌うたいとしては出来そこないでも、歌手としてくらいはどうなんだよ」
相変わらずキアスが身も蓋もない質問をぶつけてくる。レイルに初めて会う二人は、エリクスの弟に興味深々なのだ。
「歌は歌えます」
「ふぅん」
無礼なキアスに、精一杯の虚勢を張って答えると、キアスがなぜか周囲を見回した。
劇場前の客たちは皆、遠目にユウリたちを見ている。あの有名なカルテットがそこにいるのだ。音楽好きの人々が色めき立たないはずがない。
「そうだな。じゃあ、軽く歓迎会といくか」
「え?」
とても歓迎しているとは思えない態度で言われて、レイルは困惑した。
「歓迎会って……」
「まぁ、ついて来いよ」
キアスはいきなりレイルの腕を引いて走り出した。
「ちょ……えっ? な、なに?」
「おい、キアス!」
背後でユウリの声が聞こえる。キアスは振り向いてウィランとユウリに言った。
「お前らもついて来いよ! 歓迎会は全員揃ってないとな!」