サウダージ/THE VIRGINS | 冷やし蜥蜴

サウダージ/THE VIRGINS

true-氷川丸

↑ 氷川丸。
今年は横浜開港150周年ということで、ポスター風に加工してみました。

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆










ールデンウィークは、二年ぶりの街に訪れた。
そこは十年以上前に住んだことがあり、ロンジ家の菩提寺がほど近い。
勝手知ったる街であることと、宿の数の多さから、
墓参りのたびに必ず二、三日滞在するのが恒例になっている。

その日は周辺の観光スポットに案内してから、
ホテルへと戻る前にショッピングモールへ寄った。
その郊外型のショッピングモールへは、
いつもホテルへ持ち込むための一寸した酒のつまみや、子供の菓子類を買いに寄る。
ついでに夫の実家へ地酒を手配する店舗がある筈の一角が、
今年はお洒落なカフェにとってかわっていた。
なんだか寂しいねと夫と喋りながら、
コリアン・ショップのキムチを左手にぶら下げて自動ドアを出た。

辺りはすっかりと藍色の夜に覆われていたのだが、
だだっ広い駐車場と、その向こうを横切る国道のバイパス道路は
オレンジ色の灯が煌煌とともっており、
今、私が住居を構える街と同じような灰色の建造物がボンヤリと浮き上がっている。
どうやら対面のコンビニ、私が家庭教師をしていた頃、
テスト問題のプリントをコピーしに寄った店はなくなったようだ。


私たちは車を置いてきたBブロックの駐車場を目指して歩き出したが、
子供たちは逆方向へ向かい、「あれに乗ろうよ」と人差し指を空に向けた。
そこには、みどり色のライトを点灯させた観覧車がある。
昔、私が当時の男性と買い物へ来る度、「あれに乗ろうよ」と誘い、
「今度ね」という返事とともになんとなく乗らずにお互い引っ越してしまった、
あの観覧車だ。

夜空を舐めるように回っているゴンドラは、もう私の気を惹かなかったが、
今なら彼が発言を撤回したいであろう、こっ恥ずかしい睦言の数々を思い出し、
あのひとは私がいなくなったらどうだとかこうだとか云っていたけれど、
実際には痛風を患ったくらいで今も普通に生活しているじゃないのと、
私たちの若かった日々を密かに嗤ってみた。


私は、期待に瞳を輝かせている子供たちの手をとり、
「今度ね」と観覧車に背を向ける。
その拍子にキムチの汁がレジ袋の中に漏れ出たらしく、
独特の臭気が懐かしい街の夜に立ちのぼっていた。















本日のBGM:THE VIRGINS
RICH GIRLS



ザ・ヴァージンズ/ザ・ヴァージンズ

今日のご紹介は、先月4月に発売した
THE VIRGINS(ザ・ヴァージンズ)のデビューアルバムからの一曲。
海外TVドラマ『Gossip Girl』の挿入歌ですね。
アルバム全体的に
インディーズ風の荒削りなポップ・ロックですが、
『粗』さえもお洒落に聴こえるから不思議。
チープな雰囲気も緻密に計算されたものなのでしょう。
2009年の『フジ・ロック・フェスティバル』に
出演が決定しているそうです。






人気ブログランキング(音楽&主婦日記)に参加しています♪
↓ 1日1ポチして貰えると、大変励みになります (@^∇^@)

人気ブログランキングバナー