前任校が落ち着いた学校だったため、「入室指導」というものを経験せずに今の学校に転勤となった。


今の学校にきて、授業に参加できていない生徒が多かったので、空き時間は当たり前のように「入室指導」だった。



○○は階段のところにいる、□□はトイレにいる、と学校中を走りまわっていた。



でも「さぁ!教室に行くよ」と声をかけたところで「ハイそうですか」とすぐに動いてくれるわけはない。


幸い、ワタシは無視されたり、「うるさい」などと否定的な返事がかえってきたことは、ほとんどなかった。


ほとんどが  「あとで行く」

でもそれも許せなかった。



どうして自分で教室に行けないのか?

どうしてワタシが呼びにこなければならないのか?


腹がたってしょうがなかった。


で、ワタシはいつも

「あとじゃなくて、今!」

とせかせていた。


時には腕をひっぱったりもした。


たいていの生徒が腕をひっぱられたり、無理強いされることを嫌う。


で、バトル勃発となった。


何度も経験した。


昔は「待つ」という余裕も知識もなかった。



今では

「じゃあ、あと何分?」

「10分」

「わかった。じゃあ10分したらまたくるよ」


・・・10分後

「10分たったよ」

「・・・え。もう10分。わかった」


と出来るようになった。確かに学校が落ち着いたという大きな背景もあるが、ワタシ自身に気持ちの余裕というか、無理強いすることの無意味さがわかったからではないか…と思う。



少しひいて、広い視野を持って、生徒と接することで自分に余裕ができ、その余裕が生徒との距離をちぢめてくれたように思う。少しひくことは、生徒との距離が遠くなるのではなく、その逆なんだな…と最近実感している。